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クーマン「監督が力を持たなければならない」

システム、選手起用などバルセロニスタの関心事について、見解を語ったバルサ監督
周囲に漂う疑念を振り払うことが重要だったと会長発言を称える

ここ数日、バルサ界隈で話題の中心軸となっているのが、クラブがロナルド・クーマンに対して行ったという契約更新オファーです。更新の条件として、結果だけでなくシステムや選手起用に関することが含まれていたらしいとのことで話題となっているのですが、、昨日は当人クーマンがバルサ系スポーツ新聞2紙のインタビューに応じ、ウワサ他についての見解を述べています。

ラポルタに続き、クーマンがインタビューで語る

去る9月2日(木)、バルセロナ系メディアにロナルド・クーマンの契約更新に関するニュースが流れました。FCバルセロナが監督に対し、条件付きでの契約更新オファーを出したというのですが、その条件が
■ ラ・リーガもしくはチャンピオンズ優勝
■ 4-3-3を使うこと
リキ・プッチウンティティを起用すること
だったという。主要タイトル獲得は理解できるとして、その他の二つはどうなんだ、と以降の数日はあれやこれやと議論されているところです。

昨日は地元テレビ局 TV3 のインタビューにジョアン・ラポルタが登場しており、それらを受けてのクーマンインタビューとなっていますので、ところどころでラポルタ発言も取り上げつつ、クマさんのコメントを紹介していきたいと思います。
クーマンはSPORTとMDの両紙それぞれの取材に応じているのですが、こちらではMDインタビューの方を参照しています。

4-3-3は必要に応じて変える

まずメディアに条件付き契約更新のニュースが報じられた件に関しての反応ですが、前日のインタビューにてラポルタが報道内容を否定したのに対し、MDのクーマンは特に否定はしていません。記者さんの聞き方によるかもしれませんが、その語り方を見ると、その通りではないにしても全然ないってわけでもなさそうだなという印象です。

システムについては、クーマンとしても4-3-3自体は好きなので基本としては使っていくけれども、試合展開に応じて変化させるし、一つのシステムに固執するつもりはないとの立場です。
選手起用についても同様で、ラポルタからの助言には耳を貸すにせよ、誰を先発にすべきだ、などの干渉には従わない。

チーム運用に関する決定権は監督になければならない、それがクーマンの主張です。

「クラブ内部で話されていることが、外部に出てはいけないね。私たちがいくつかのテーマについて、将来や選手について、たとえばシステムについて話をするのは普通のことだし、私は4-3-3を支持している。けれども試合やシーズンのある瞬間においては、それも変わり得る。昨年のデータでは、最も良い数字を残したのは3-5-2だったんだ。作り出した得点機の数、ボール保持率、被得点機、全てのデータにおいて3-5-2がベストだった

「バルサは4-3-3だと知ってはいる。とはいえ今日のフットボールは大きく変化しているんだ。スカッドの選手次第でもある。去年の私たちは前線で人が足りなかったし、攻撃参加するセントラルやラテラルもたくさんいた。それにブスケツのパフォーマンスを最大限に引き出したいのもあったんだ。基本システムが4-3-3なのは知っている。知っているんだけれど、シーズンの間には変わり得る瞬間もある」

もし必要だと考えれば、同じように4-3-3を変えていくだろう。そしてシステム変更には別の選手が必要となれば、そうする。それは私がチームやクラブにとってのベストを探しているからだよ。最終的には結果次第だと知っているし、自分自身に言い聞かせる必要はない。けれどもどのシステムを使うか、どの選手が先発でプレーするかは、監督が指示することだ」

ラ・リーガ開幕からの3試合を見た感想としては、クーマンがパズルの最適解を見つけられるかどうかは不安の方がだいぶ強めですが、、、来週に控えたバイエルン戦はどうなりますか。

リキとウンティティ

ではクラブの“戦略的選手”だとメディアが言っているリキ・プッチウンティティについてはどうか。クーマンは果たして彼らを使っていく考えはあるのでしょうか。監督の言葉を見る限りでは、割とチャンスはありそうに思えます。どちらも選手たち次第ですが。

試合に勝つことを求め、クラブのための最善を求めながら、選手たちには出場機会を与えていくさ。ウンティティリキのことは話したくない。話したいのはチーム全般のことだよ。監督は常にチームがより強くなることや各選手が出場機会を手にすること、そしてトレーニングで選手たちが自分にはもっと試合に出る値打ちがあると監督に示せることを求めている。競争があるのだから、決断は監督のものだ」

ウンティティはトレーニングで最大限を出そうとしてるよ。それにこの2週間では、フィジカル面では去年よりも良い状態となっている。そしてもしフィジカル状態が良いなら、ウンティティはとても良いセントラルだ。リキは私たちがプレシーズン中に話したことを改善しなければならない」

どこを直すべきか、「トレーニングや試合の中で彼に教えている」と指揮官は言います。そして「今日のセントロカンピスタは、穴のない選手でなければならない」とも。 「ボールがある時も、ない時もね。これはどの若手選手にも言えることだし、競争もある。良いセントロカンピスタたちがいるから競争があるわけで、チャンスを得るには、非常に良くないといけないんだ」

現状ではリキは彼よりも若いガビよりも後列にいるように見えます。プレシーズンに呼ばれた時はまだ16歳だったガビの、「トレーニングにおける落ち着きぶり、質の高さ」に驚いたというクーマン。バルサ風味抜群の彼をどう育てようかと、わくわくしてるんじゃないでしょうかね。
数年後、クーマンはおそらく“あのぺドリガビニコを昇格させて育てた監督”と記憶されることになる。若者たちの準備が整っているなら、積極的にチャンスを与えてほしいです。

一方、先日トルコへとレンタルされたピアニッチが、クーマンの自分に対する扱いはちょっと不可解だと語った件については「理解はするけれど、私たちのプレースタイルやプレーアイディアの中で、彼は他のメディオカンピスタたちとの争いに負けた。それだけのことだし、彼の最良を願っているよ。難しかった。私たちは色々と試した結果、他の選手たちの方が彼よりも良いと考えた」と説明しています。

クライフ流とルーク・デヨング

クーマンはインタビューの中で、自らが“クライフィスタ”だと宣言しています。クラブの監督室には、クライフの大きな写真が飾ってあるそうです。でも全てが御大と同じようにとはいかない。二人の個性が異なるからです。
「ボールを保持し、プレッシングし、攻撃的にプレーし、守備ではリスクを冒す。それがヨハンのスタイルだし、私はそのスタイルの信奉者だよ。けれども試合においてはリアリストでもあらねばならない。私は元デフェンサで、ヨハンは元アタッカーだったしね。私は攻めるのが好きだ。一方でリアリストでもある」

その御大が旋風を巻き起こしたドリームチームには、空中戦担当のデランテロがいた。途中交代の王、フリオ・サリナスです。先日入団したルーク・デ・ヨングに期待するのも、そのサリナス的な働きとなる。オランダの長身デランテロについて、監督はこのように期待を寄せています。

「私は最初、バルサにはベストの瞬間(ペップ黄金期?)でさえ、ルークのような選手がいなかったことに驚いたんだ。彼はチームの他のアタッカーとは異なる選手だと思う。よりターゲットになるし、試合を変えられるタイプの選手だよ。実績もある。彼とはオランダ代表では2年間一緒にいたし、多くの試合において、バルサのレベルにあることを示している」

「8月の初めから、彼とは連絡を取っていた。彼のような選手がスカッドに欲しいと、クラブには最初から言っていたからね。アグエロアンス・ファティデンベレコウチーニョが怪我で、攻撃陣に人がいなかった。それに私にとっては、彼は他と異なる選手なんだ。そこを使っていくし、私たちにはこの選手が必要だ。準備をしていたことで、短期間での獲得が可能となった」

一方でグリーズマン放出に関しては、「彼のポジションは埋めがたい」と残念がっています(グリーズマンはバルサが必要としたデランテロではなかった、と評価したラポルタとは対照的)。
しかしクラブにとっては「残り契約3年分の給与を節約することが非常に非常に非常に重要だった」ので、その手助けとして放出を認めなければならなかった、と述べているクーマンです。 レオ・メッシがいなくなるのだからグリジは留めておきたかった様子。

会長からの援助は重要

ラポルタは月曜日のテレビ番組内で、クーマンの代理人ロブ・ヤンセンと契約更新について話をしていると認めています。そしてクーマンについては「彼が可能なかぎり心地よく仕事ができるよう、私は彼に全幅の信頼と敬意を持っている」とコメント。 春の時点ではなかなかこのように信頼を明言しませんでしたが、今回のジャンはその点で完璧でした。

会長からの信頼発言は、監督の立場を強化します。なのでクーマンも満足そうです。
「そうだね、私からはあまり言いたくはないけれど、月曜日の会長はとても上手くやったよ。会長としてするべき、監督への疑念を消すことをきっちりやった。どの監督も、結果次第ではあるけれどね」

「けれども疑念があったと私は思うんだ。プレーシステムやらリキ・プッチウンティティのことがメディアに出てきてね・・・ 私はいつでもオープンで、ここに何年も残りたい。しかし力は監督のものでなければならない。疑念があってはならないのは、疑念があると監督がこの力を持てないからだよ。私のメンタルは強い、しかしクラブからのサポートは必要としている。だから誰もがこの件について知るために、会長の発言はとても重要だった」

ラポルタとは過去に二度、難しい瞬間があった。昨シーズンの終わりと、先週だね」と明かしつつも、今は良い関係にあるとクーマンは語っています。先週(笑)試合前日会見で不満をぶちまけてましたからねぇ。

将来性は抜群だが、現実的には厳しい

では、契約更新の条件がラ・リーガもしくはチャンピオンズ優勝ってのは、クラックたちが次々に放出されて新たにチーム建設中の現状では厳しすぎやしませんか、との問いに対しては、「バルサにいるのだから、どんな年であろうとも最大限を欲していかなければならない」とクーマンは認めます。

ただ、「チームがどこにいるのか、現実的でもなければならない」とも言う監督。このバルサには将来有望な若手がたくさん出てきましたが、彼らが真の競争力を持つのは、数年先になるでしょうから。 代わりに将来性は抜群です。クーマン曰く「この若手選手たちとなら、4年のうちにバルサは強力なチームを手にすることだろう」「このチームには大きな未来がある」。楽しみ。でもそれまでは少々の忍耐も求められます。

そんなバルサがタイトル争いを行っていく条件は、何か。クマさんの見解はこうです。
「もし全ての選手が起用可能なら、私たちは非常に強力なチームで全てを狙っていける」
監督の起用法、フィジオたちの準備、医療部の適切な治療、それらが揃わなければ離脱者のほぼいないチームが出来ませんから、一丸でいい仕事をしてくださいよ。

「シーズンが終われば、私たちが何を勝ち取り、何を失敗したのか、その結論を導き出せる。そして監督について最後の言葉を持っているのは常に会長だ。とはいえ、私がスタッフテクニコとしてやって来てから、バルサが何を手にしたのかは知らなければならない

メッシのBurofax事件に始まり、スアレスの放出やバルトメの退陣、ラポルタ新理事会の発足、そしてメッシの電撃退団にグリーズマン放出といろいろある中でのチーム運営ですから。

今のバルサに大きな期待を寄せているクレは少数派でしょう。
ジョアン・ラポルタが出演した番組内で行われた視聴者アンケートでは、61%が「このバルサには期待していない」と回答しています。苦笑。なのでクーマンとしては、気が楽っちゃあ、楽ですかね。とはいえ失望の指笛は容赦なく吹かれますから、ファンが希望を取り戻すべく、ファイトだクーマン。ダメで元々、当たって砕けろ。いや、できれば悲観論を打ち砕いて。

コメント

  1. トム より:

    2トップでのハイプレスには3バック、引いて守る相手には4バック基本で良さそうですけどね。
    デパイとデヨンクなら2トップも機能しそうなので、昨シーズンよりは3-3-2-2も有りだと思います。
    でも昨シーズンと同様、クーマン式3-3-2-2はCB3人残しで前線の人数が少なすぎるので、引いて守る相手にこれ使うと苦しむと思います。

    しかしこの時期にクーマンとの契約更新話が出るとは思いませんでしたので、ちょっと良く分かりませんね。
    先週何かあったというなら、クーマン側から何らかのプレッシャーかけたのでしょうか。
    契約更新するならこれくらいは、とラポルタが出した条件と言う事なのか。
    今のクーマンと長期契約を結ぶ利点があるとも思えませんし。
    また条件に、リキとウムティティ使うとか意味が分かりません。
    4-3-3強要という話も前に出てましたが、ラポルタ自ら否定してるのにまた入れるとはとても思えない。攻撃的サッカーを、という程度なら分かりますが、あえて条件に入れるでしょうか?
    どうも何らかの意図があって、誰かがリークしたような感じですね。

    結局はまあ、リーガかチャンピオンズ優勝したら契約更新してくれ、という約束を取り付けたって事じゃないでしょうかね。
    それを単なる口約束にしないため、ぼかしつつ嘘を交えてマスコミにリークして、証拠としたみたいな。
    ラポルタがクーマンと喜んで契約更新したがるとはとても思えないので、そういう邪推をしておきます。

  2. サイ より:

    現地のクレがこのバルサには期待していないが半数以上。悲しいですね。笑。でもドイツの怪物ムココ、ドイツの新星ヴィルツがバルサのファンですから腐ってもビッククラブバルサです。クーマンの戦術はあまり期待できないですが、ラポルタの強運に期待してベテラン好きバルトメウとは違う新しい政権に自分は期待してます。笑。アンス、ペドリ、ガビ、ニコ、バルデ、二人のデミルにこれからクラブに来る10代の新星達に期待してます。

  3. バルサ より:

    とりあえずは来週、スカッドが固まったバルサが休養十分の状態で、CLバイエルンと戦うのが楽しみです!
    会長とクーマンの発言は興味深いですね。確かにやや小粒ではありますが、役者は揃っていると思います。これから数年のクーマンバルサ号に期待ですね。