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ラポルタ理事会:最初の100日を振り返る

徐々に形を見せ始めたラポルタのバルセロナ
いくつかのタイトル獲得、重職の解任と新加入があったこの3ヶ月余り

ジョアン・ラポルタ会長率いる理事会が発足してから、先日で100日が経過しました。通常、この期間は新理事会が本格始動するための土台固めで、ラポルタにしてもそこに変わりはないのですが、彼らの場合は前のピッチャーが火だるまになっての緊急登板の色も濃く。まずは出来る範囲で最初の夏を乗り切りつつ、クレに希望を取り戻すミッションに挑んでいるところです。

変革の100日

またまたニッチな記事になります。でもアクセス数に見切りを付けてしまえば、怖いものはない(笑)。バルサにとって区切りとなったり、意味を持つポイントを粛々と取り上げていくだけです。

ジョアン・ラポルタの最初の100日間における動きを一言でまとめるなら、【変革】でしょうか。「バルセロニズモに喜びを取り戻させる」と約束した会長はここまで、いくつもの部門で組織再編を行っています。
そのなかには予想外であったり、突然であったり、物議を醸す人事もいくつもあった。バルサB監督の交代なんて大半が目を疑いましたし、ロナルド・クーマン続投を巡ってもグダグダしていました。両監督は解任/続投と結果は異なれど、扱い方に敬意を欠いていたのが残念だった点で共通しています。

背広組では、CEOのオスカル・グラウ、法務部門責任者のゴメス・ポンティなど重役が複数解任されている。この動きはこれからも続いていくでしょう。

クラブの組織再編とともに、ラポルタが実行した処置の中で重要なものが、ゴールドマンサックス社と5億2,500万ユーロのリファイナンス(借り換え)で合意し、短期的な資金調達ができたことでしょうか。金融分野は詳しくないので、知ったかぶりですが。

以下、ラポルタ理事会最初の100日間における主な出来事です。

ラポルタ理事会のここまでの主な出来事

いきなりの混乱:ジャウマ・ジロの離脱(3月13日)

こちらは理事会の正式発足前の出来事につき、104日前くらいになるのですが、ラポルタが選挙キャンペーン中に自陣営の目玉にしていたジャウマ・ジロが突然の離脱を発表しました。金庫番副会長という重役になるはずだった彼、仕事の都合でロンドンに行くことになったことをその理由としていますが、、、信じた人は少数。人事を巡ってラポルタと意見が合わず、陣営を去ったと見られています。

補償金をどうにか確保(3月16日)

FCバルセロナは規約の上では全てのソシオに会長職への道が開かれていますが、LFPが求める補償金1億2,460万ユーロを用意できる人は限られている。ラポルタたちもこのお金の調達には苦労をし、締め切り目前の3月16日夜、ようやくサバデイ銀行とAudax Renovable(AR)社から融資を取り付けています。
カギになったのは7,000万ユーロを保証したAR社で、こちらの副社長エドゥアルド・ロメウがご褒美として金庫番副会長に就任へ。

ラポルタ理事会、発足(3月17日)

19人の理事たちと共に、ジョアン・ラポルタ理事会が正式に発足です。スポーツ部門担当副会長はラファエル・ユステ。経済部門は前述のエドゥアルド・ロメウなどなど。
会長就任式典はカンプノウの正面スタンドで行われました。ラポルタはその就任スピーチの中で、出席していたレオ・メッシに対し「メッシが残留するために全力を尽くします。そしてこの場で話すことを許してほしいのですがレオ、キミは私がキミをとても尊重していることやバルサがキミをとても愛していることを知ってるよね。もし試合の時にスタジアムが満員に埋まるなら、キミは出て行けないと私は確信しています」とメッセージを送っています。

クーマンバルサ、国王杯優勝(4月17日)

セビージャのラ・カルトゥハにおいてアスレティック・クルブに0-4で快勝し、国王杯のタイトルを獲得。ラ・リーガでも快進撃が続き、国内二冠の夢が膨らみました。ただ、ラポルタはまだクーマン続投を明言せず。その2日後、クーマンやカピタンたちと共にバルサ博物館にトロフィーが展示されました。

スーペルリーガ創設への支持を表明(4月22日)

フロレンティノ・ペレスが主導した欧州スーペルリーガ構想に、クラブ公式声明を通じて支持を表明しました。これに対してUEFAは激怒し、参加予定だった12クラブのうち9つが早々に撤退を決定。レアル・マドリー、ユベントス、そしてバルサだけが残され、新コンペティション創設は暗礁に乗り上げています。ラポルタは現時点でもスーペルリーガ構想を支持。

バルセロナ市長と面談(5月6日)

カンプノウ周辺の大規模改修プロジェクト“エスパイ・バルサ”を進めるために、クラブ代表団がバルセロナ市の幹部担当者たちと面談。工事期間中にムンジュイックにあるエスタディ・オリンピック・リュイス・クンパニィスを借りたいとの要望を伝えました。

ハンドボール部の監督とマネージャーを解任(5月10日)

フットボールファンには知られていませんが、ラポルタはハンドボール部で圧倒的な結果を残しているチャビ・パスクァル監督と、ダビ・バルフェ・マネージャーの解任を発表し、大きな物議を醸しています。記憶が確かなら、今季は国王杯、リーガ、チャンピオンズなど6大会優勝(61戦全勝)なる異次元の成績を残しており、リーグでは10連覇なる偉業を達成しているだけに疑問視された決定です。

バルサカフェ、オープン(5月14日)

カンプノウ内に新たなスポーツバーとなる“バルサ・カフェ”が開店。

バルサ女子、欧州制覇!(5月16日)

フットボール女子チームがチェルシーに0-4で完勝し、クラブ初となる欧州制覇を達成しました。男女の両チームがチャンピオンズを制したのは史上初の快挙。その一方でカンプノウでは男子チームがセルタ・デ・ビーゴに逆転負けしてラ・リーガ優勝が完全消滅していて、以後の主役は女子たちとなっていきます。
ラポルタはUEFA会長アレクサンデル・セフェリンと挨拶を交わすも、スーペルリーガの件があるので空気は冷え冷え。

男子フットボールチームの「刷新」を宣言(5月18日)

カタルーニャスポーツフェスタに出席し、バルサ女子のカタルーニャ年間最優秀チーム賞を受け取ったラポルタ。会長はその後の記者会見にて「一つのサイクルが終わった。私たちは刷新過程にある」とコメントして大きな注目を集めています。
あれから1ヶ月ちょっとが経過し、その刷新の気配は未だない。カギとなる構想外選手の放出で大苦戦している模様です。

チームへの警告(5月28日)

ラポルタが記者会見を開き、クラブの各状況について説明。フットボールチームについてはプロジェクトに移行期はないと繰り返し「私たちの理事会においては、負けて何事も起こらないなんてことはない」と警告を発しています。

女子チームが三冠を達成(5月30日)

バルサ女子チームが女王杯も優勝し、リーガ、チャンピオンズに続く主要3冠を達成しました。歴史的偉業!

クン・アグエロ、エリック・ガルシア獲得(5月31日、6月1日)

マンチェスター・シティからクン・アグエロの獲得を発表。翌日には同じくシティからエリック・ガルシアの移籍も発表されました。どちらも契約期間終了による自由移籍。この夏を象徴する“ローコスト補強”ですが、バルトメウ時代から進められていたオペレーションにつきラポルタ色は出ていません。
ワイナルドゥムはPSGとのマネーバトルに敗れ獲得ならず。

クーマン続投を発表(6月3日)

長く宙ぶらりんが続いていたロナルド・クーマンの去就問題がようやく解決です。5月13日、レストラン Vía Veneto での面談から3週間。後任監督が見つからなかったことによる続投でしょうが、これでスカッド計画を進められる環境ができました。
と同時に、クラブは御大ヨハン・クルイフの息子でありバルサ選手でもあったジョルディ・クルイフの帰還も発表。役職はスポーツ顧問だそうで、会長は「緊急事態のためのジョーカー」だとも述べています。

妹を登用(6月4日)

クラブが職員を対象に、「文化的多様性のために働くことを目的とした新しい役職を作る」とメール送信。その責任者としてマイテ・ラポルタが任命されました。会長の妹(姉?)です。
怪しくて印象が悪いのは、理事会がその数日前にクラブの倫理規定を修正している点。州政府幹部に適応されている規則に準じ、「親または子」との契約を禁じるよう修正し、兄弟姉妹や従兄弟を登用することは倫理違反にはならないのですが・・・
ちなみに2010年にサンドロ・ルセイ理事会が承認した倫理規定では、理事の家族は四親等までは一切契約できない決まりになっていたそうです。会長の妹と契約するために修正したと批判されて仕方ない。

ちなみにマイテ・ラポルタさんはマーケティングやEコマース分野の専門家とのこと。2016年からはジョアンの情報分析チームに入り、先の選挙キャンペーンでも重要な役割を果たしたようです。

また、従姉妹である マルタ・セグという人もバルサ財団の専務理事に就任すると19日のEL PERIODICO紙は報じています。前理事会のジョルディ・カルドネル副会長の信任厚かったマリア・バリェス氏が解任され、その後任になるという。ファミリーの立て続けの登用は、、ねぇ。

ガルシア・ピミエンタ解任(6月11日)

バルサBを2シーズン指揮し、その若手育成手腕が高く評価されていたガルシア・ピミエンタの解任が突如発表されました。セグンダA昇格プレーオフに2度失敗したこと、給与が高かったことなどが理由とされますが、来季もフィリアルを率いるとされていただけに驚き。
クラブはまた、ファーストチームと理事会の橋渡し役ギジェルモ・アモールの解任も発表しています。こちらは謎の役職だったので波紋はありません。

セルジ・バルジュアンと契約(6月17日)

バルサBの後任監督として、元バルサ選手でスペイン代表だったセルジ・バルジュアンの就任が発表されました。セルジは会長選挙キャンペーン中からラポルタを支持していた人物で、“ご褒美”的な選定にも見えます。能力面でも問題のない人選であることを願う。

異例のソシオ総会(6月20日)

そしてこのラポルタ理事会最初の約100日間における、最新の重要イベントが先週末のソシオ総会でした。COVID-19の影響により、クラブ史上初となるカンプノウ開催。8ヶ月前にバルトメウ理事会によって提出されるはずだった2019/20シーズンの収支報告と2020/21シーズンの予算がようやくソシオによって承認されたわけですが・・・ クラブの最上位運営機関と規約で定められながらも、手続きに成り下がっている総会はこのままでいいのか。

 

それにしてもです、この100日ちょっとでもいろんなことがありました。さすがバルサというべきか。いかにもバルサ的なラポルタとその仲間たちに新時代の透明性は期待できないと思っていましたが、しれっと妹のために新しい職を作っていたり、その他にも見えないところで後々の騒動の種は着実に蒔かれているんだろうなとの印象を受けます。2008年のようなスポーツ的大成功が出来ればいいけど、現状はより厳しい。でもとりあえずは未来に期待を寄せたいと思います。バモス、バルサ。

 

 

コメント

  1. しんのすけ より:

    お疲れ様です。僕は、2000年ころから読み続けてます。たんたんと、などとおっしゃらずどんどん記事更新してください。引き続き楽しみにしています。ビスカ、バルサ。ビスカ、カタルーニャ!

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