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アルバあれこれ。

 

◇ジョレンテ会長「この怒りはアルバ交渉に影響しない」

ゴール目前と言われ続けながらも、そこからが長くなっているジョルディ・アルバ移籍交渉。このオペレーションは競合するクラブがなく、2クラブ間による交渉であるだけにハラハラ感は特にないのが特徴です。アルバのバルサ入団は数ヶ月前からの既定路線となっていて、急ぐ必要のなくなったバルサとバレンシアによるじりじりとした交渉が背後で進められているものと推測します。ただ、その過程において交渉の妨げになるかという”事件”が発生していたのですが、バレンシア側は”それとこれとは別問題”との姿勢をとっています。

その”事件”というのは、バルサによるバレンシア・カンテラ少年の引き抜き。”チェ”のアレビンチームに所属しているふたりの少年、エンリク・マルチネス(メディオセントロ)とアベル・ルイス(デランテロ)をバルサが引っこ抜き、バレンシアがこれに大きな不快感を示したのであります。COMラジオの取材に応じたマヌエル・ジョレンテ会長はこの件に関し、このようなコメントを出しています。「私たちはバルセロナに対して怒っている。彼らが私たちのカンテラから10歳や11歳の子供たちを連れていく必要性があるとはどうにも思えないからね」

バレンシアがバルサに激怒し、アルバの件はなかったことに!とするのではないか、という報道も一部では見られました。しかしそこはそこ。ジョレンテ会長はこの一件が両クラブの交渉に「影響を及ぼすことはない」とも語っています。「ジョルディ・アルバの件はプロフェッショナル・フットボルにおけるテーマで、カンテラのこととは別問題だ」と。

ちなみに、アルバの交渉の進捗状況はどうなのか、という質問に対しては、ジョレンテ会長はこう述べるに止まりました。「選手に関心を持っているのはバルサであり、私たちは単に交渉の席についているだけだ。したがってその質問に答えるべきは私たちではなく、彼らだよ」

 

◇エンリクとアベル

バレンシアが怒っている件について補足しておきます。バルサはこの6月の半ば頃、バレンシアのカンテラに所属するふたりの少年たちを獲得しました。エンリク・マルチネス(10)とアベル・ルイス(11)。どちらも将来を期待された宝石の原石たちで、なにかの大会に出場すれば、どちらかがMVPを獲るといったクラスの才能を持っているそうです。5月のベナルマデナでのフットボル7大会では、バレンシアはアトレチコに敗れて準優勝ながら、5得点(大会2位)のアベルがMVPに輝きました。

バレンシアが怒っているのですから、その獲得過程に問題があるということになります。バレンシア系のスポーツ紙SUPERDEPORTEによると、バルサのスカウトたちが少年たち側に接触したのは前述のベナルマデナでの大会直後だそうです。ここでバレンシアに問い合わせをしていればまだ良かったのでしょうが、接触したのは少年たちの家族。アーセナルがセスクやフランたちをロンドンへ連れて行ったのと同様に、まず家族を陥落し、そしてラ・マシアへと呼んだのがバレンシアの怒るところとなります。

SUPERDEPORTE紙によればバルサはこのエンリクとアベルだけでなく、インファンティルの左ラテラル、イシエルテという少年もパテルナから獲得済み。昨年もセントラルのロドリ・タリンとメディアプンタのフラン・ビジャルバをラ・マシアへ呼んでいるということです(ビジャルバ少年は結局バルサに入団せず、数ヵ月後にバレンシアへと復帰)。

これらの件に対しては、バレンシア方面は”強奪”という言葉を使ってバルサを非難しています。”世界一のカンテラを維持するために、今日もバルセロナは国内の有望株を刈り集めている”というのが、期待の少年たちを持っていかれたクラブ側のファンの見解。ただ”バルサに誘われ、希望に胸膨らませた子供を留め置くのは非常に困難”と、諦め模様でもあるようです。

 

◇プランBはウディネのアルメロ

ジョルディ・アルバのバルサ移籍はあまりにも鉄板視されているため、メディアに登場するニュースも”いつバレンシアとバルサの交渉に折り合いがつくのか”に集まり、他のケースにあるような代案はほとんど登場していません。けれども皆無かというとそうでもなく、土曜日のSPORT紙には、万が一アルバの交渉が決裂した場合のプランBとして、ウディネーゼのコロンビア人パブロ・アルメロの名が挙がっています。

アルバがダメになった場合、バルサが狙うのはやはりお手頃価格のラテラルとなります。なんでもSPORT紙の記事ではバルサは、優秀な若手を育ててはマーケットに出すウディネーゼの選手には常にチェックを入れているそうで。アレクシス・サンチェスの件でオーナーのポッツォ一家と親しくなったこともあり、数ヶ月前にはこのアルメロについて一応問い合わせもしているみたいです。

例によってどんな選手か全然知らないので調べてみると、黒人系ということでスピードにはかなり定評があってフィジカルも抜群。ドリブルによる突破や破壊力あるシュートなど、攻撃がセールスポイントのセリエを代表するラテラルだとか。バルサのウワサはまだまったくですが、ミランやナポリなどが関心を示していると言われています。

 

◇7年間の修行の旅

ジョルディ・アルバはいわゆる”出戻り組”ですが、昨年のセスク・ファブレガスのような復帰賛成・反対の議論は巻き起こってはいません。むしろ、おかえりなさい!といったムード。移籍金が莫大ではないというのも一因でしょうが、最初のバルサの去り方がトラウマ的でなかったのが大きいでしょう。実際、アルバがどこでバルセロナを出たのかなど、当時は話題にもなっていません。

1989年にロスピタレで生まれたジョルディは、1997年にラ・マシアに入寮しています。しかしチビッ子エストレーモだった彼が、2012年のユーロでは大会NO.1ラテラル(byカタランメディア)になろうとは、当時はクラブの誰も予測することは出来ませんでした。2005年にはバルサでの夢破れ、ひっそりとクラブを去ってUEコルネジャへと入団。つまりはこの子はバルサでは成功することはないだろう、とテクニコたちに思われたわけです。

しかしカンプノウから遠く離れることになっても、アルバはバルサカンテラで培われた連係プレーやテクニック、攻撃的プレーを失うことはなく、彼の中に守備的なポテンシャルを見出したウナイ・エメリによってラテラルとして開花したと、MUNDO
DEPORTIVO紙は書いています。彼の土台となっているのは紛れもなくバルサのDNAで、バレンシアはそれを見事に発展させたのだと、感謝含みの表現となっている感じです。

ということで、ほとんど誰もが思っているように、ジョルディ・アルバの奇妙なる7年間の旅は無事終了の時を迎え、カンプノウへと”帰って”くるのでしょうか。もうそろそろ、交渉成立のニュースを聞きたいなぁ。

 

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