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チャビが“解決策”ではないタタ

残念ながら、思惑通りには運んでいない。

シーズンを通してはアヤックス、アスレチック戦に次いで3度目、リーガでは2度目の敗北となった先日のバレンシア戦。この試合における戦術・采配についての疑問の1つが、2-3で負けていた65分に行われた、チャビを下げてイニエスタを送り出す選手交代です。試合終了後の記者会見でのヘラルド・マルティーノ監督はこれに「ゲームを作る選手が余っていて、攻撃を繰り出す選手が必要だったのでチャビを犠牲にした」と説明しているのですが、ここに1つの傾向があります。バルサが敗れた今季の3試合ではいずれも、監督はチャビを途中でベンチに下げているのです。

負けた3試合ではいずれも、チャビが途中でベンチへ

この事実に関してはSPORTとMUNDO DEPORTIVOの両紙が指摘しています。特にSPORT紙のXavi Torresさんによる分析記事が詳しいので参照しますと、試合に行き詰まりを感じた時、ヘラルド・マルティーノ監督はチャビ・エルナンデスをピッチから外す傾向があります。アムステルダムでは74分、セルジ・ロベルトと交代。続くサン・マメスでも同様に77分、バルサの6番はロベルトと交代でベンチへと退いています。そして土曜日のバレンシア戦では65分にイニエスタと交代。残念なのは、これら3つのケースではいずれも監督の思惑通りに事が運ばず、スコアが動くことなく敗れていることです。

その他、バルサが引き分けに終わった6試合のうち、3試合でもタタさんはチャビを途中交代。アトレチコとのスーペルコパ第1戦(1-1)、オサスナ(0-0)、レバンテ(1-1)とのリーガがそうです。ただし、アトレチコとのスーペルコパ第2戦(0-0)、ミランとのチャンピオンズ(1-1)、アトレチコとのリーガ決戦(0-0)といった重要な試合ではフル出場しています(スーペルコパの第1戦も88分にソングと交代で、ほぼフルではある)。

一方、チャビが途中から出場して流れを変えた試合としては、リーガ第16節のビジャレアル戦(2-1)があげられます。

ダイレクトな攻めに、チャビは不要?

チャビが途中交代する理由の1つに、彼のフィジカルを気遣っているのはあるでしょう。疲れが出てくる試合終盤に、無理をさせたくないので代える。しかしチャビはインタビューなどでは常に「フィジカルは良好」と繰り返していますし、バレンシア戦での交代が戦術的な理由によるものだったとミスター自ら説明しています。よって局面を打開するための策として、タタさんはパスによる組み立てを象徴するチャビを外し、より縦に動くセルジ・ロベルトに代えたり、セスクを活かそうとしていると見るのが妥当な感じがします。

ペップ・グアルディオラやティト・ビラノバが試合に勝つ手段として、相手エリアを包囲し、ハイスピードのワンタッチパスで崩すことを選択していたのに対し、マルティーノは試合終盤に局面を動かしたい時にはダイレクトなプレーを選びます。プランBの必要性は常々言われていたので、それは悪いことではない。しかし結果が上手く伴っていないことから、監督の目指すフットボルを実践するには、まだピースが足りないのだろうと推測できます。

バレンシア戦でタタさんは、チャビを外してイニエスタを送り込み、その後セスクも下げてテージョを投入。メッシを中盤に配置しています。レオはこのところラストパスで良い仕事をしていたので、それ(+悪魔的突破)を期待してのことだと考えられますが、セントロカンピスタが1人いない中でのその戦術はプレッシングをより機能させなくし、効果的なポゼッションもなくし、カウンターにも脆くなってしまいました。メッシがアシスト役をするにせよ、隣りに中盤の選手がしっかりと居ることが重要であり、終盤の唯一のチャンスがイニエスタとレオによる鮮やかな壁パスでの突破だったことからも、現状では細かい崩しがより有効ということでしょう。

チームで最も正確で効くパスを出せ、バイタルエリアにも入ってボールを回せるチャビを外し、かつメッシを下げてデフェンサの壁に突っ込ませるのは、効果が薄い案であることがバレンシア戦で示されました。試合ではまず先手を取り、有利なスコアで進めていくのが肝心ですが、そうならなかった場合の打開策には修正が必要。スーペルな選手であるレオ・メッシの起用方法がポイントとなりそうですが、プランBであろうと正確なパスやゲームコントロールは欠かせませんので、チャビは使えるなら使うべきでしょう。その上でどうタタ流の味付けでバルサ対策に対抗していくか、、、真実の時はもう目前。良い案を見つけて、タタ!

 

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