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嗚呼ティト!

 

病によって破れたビラノバの夢。

7月19日午後、バルセロニズモをまたも残酷な知らせが襲いました。ティト・ビラノバが病のためにバルサの監督を退任する―の報は、まさに青天の霹靂。その記事を読んで数時間経った今でも、まだウソでしょ?と信じられないくらいです。後に開かれたサンドロ・ロセイ会長とアンドレ・スビサレッタSDの記者会見によれば、「ティトは新たな治療を受けねばならず、それは監督の責任を遂行できるものではない」ことによる退任。ティトのプライバシーへの最大限の尊重を求めるということで、詳細は明らかにされていませんが、病の再発とみるのが妥当で、とにかくショックなのであります。

 

突然の会見招集、告げられた悪い知らせ

19日(金)の午後、ロセイ会長とスビサレッタSDが20時30分より緊急記者会見を開くとの情報が突然流れました。その日ビラノバは朝9時よりトレーニングの指揮を執っていて、土曜日のポーランド遠征への準備がごく普通に進められていた。その様子がごくごく自然だったことから、まさかそのティトがいきなり舞台を下りることになろうなど、誰も予想できないことでした。その時点ではまだ、夕方のセッションはキャンセルされていません。

しかしSPORT紙の記事によれば、ミスターはすでに定期検診の残酷な結果を知っていました。そして練習終了後にロッカールームで、自分が監督の座を降りることを伝えた。もちろん午後のトレーニングはキャンセルとなりましたが、選手たちはその後も全員がトレーニング場に残り、会長たちの会見を最前列で見守っています。ミスターの悲報に選手たちはみな呆然とした様子、視線も虚ろでした。

会見は短時間で終わっています。ロセイ会長曰く、「今日私たちがここに出てきたのは、決して発表したくはない知らせを伝えるためです。ティト・ビラノバが今週受けた定期検査の結果、病をコントロールするための新たな治療を行う必要が生じました。そしてその治療はバルサの監督を務める責任とは両立できないものでした。ティト・ビラノバの家族の名により、プライバシーを最大限に尊重いただくようお願い申し上げます」

そしてビラノバ監督の後任は来週にも発表する予定であること、土曜日のグダンスクでの親善試合は延期になることが告げられると、最後に会長はバルセロニスタにこう語り掛けました。「人生は続きます。当然ながら、これはバルサにとってあまりに手痛い打撃です。けれどもバルサは過去にも多くの打撃を受け、それらをいつも乗り越えてきました。今回の出来事も例外ではないでしょう。(記者の)みなさんにはできる限りのご理解をお願いします。まず人を第一に、クラブはその次に考えてください」

 

悲しみに沈んだロッカールーム

SPORT紙によりますと、ティトから病についてまず知らされたのはサンドロ・ロセイ会長でした。トレーニングとテージョの会見当番が終わり、一息ついた午後一番。ミスターは会長へと電話をかけ、病状が思わしくない件と監督を辞任する旨を報告しました。その後、ロッカールームでのミーティングがあり、アンドニ・スビサレッタに付き添われたビラノバから選手たちに、病を克服するためには新たな治療が必要となったことと、これまでの仕事への感謝が伝えられたのです。その目に涙を浮かべ、ティトはこう語りました。

「戦い、前進しなければならない。そしてそれは全員のためなんだ。キミたちが私をガッカリさせないことは分かってるよ。キミたちはベストだ。この何年間にキミたちが私に与えてくれたもの全てに対し、感謝を述べたい

ティトがバルサの監督として成功するためにどれだけの努力をしてきたかを知り、彼を敬愛する選手たちは、ミスターのそんな言葉に茫然自失状態だったようです。ティトと抱擁を交わしあう選手たち。ロッカールームに響くすすり泣きの音と、悲しみに不条理さへの怒りの混じった嘆きの声。そんななか、スタッフ(カルラス・ナバルとペペ・コスタ)が今は休暇中の選手に対し、悲報を電話連絡していったのでした。ウワサ話として知っていた選手もあり、衝撃に絶句した選手もあり、とのことです。

サンドロ・ロセイ会長がシウター・エスポルティーバに到着したのは、ミーティングが始まって少し後のこと。ティトから電話を受けた会長は急きょ休日を中止し、130kmの距離をかっ飛ばしてバルセロナへと戻ってきています。

そしてミーティングの終了後にビラノバはオフィスへと戻り、会長たちの記者会見が始まった少し後、自らの運転する車にてシウター・エスポルティーバを後にしています。彼が記者会見に出席しなかったのは、ショック状態で報道陣に対するのは厳しかったのもあるでしょうが、主役になることを好まず、脇役であることを優先する性格によるものだそうです。ペップへの返答がバルサ監督として最後の会見だったなんて、悲しすぎます。

 

全員一致で親善試合を延期

バルサは20日(土)、ポーランドのPGEアレナにてレヒア・グダンスクとプレシーズン最初の親善試合をプレーする予定となっていました。しかし監督からこのような知らせを伝えられた翌日に、試合はとてもじゃないがムリ。土曜日の親善試合をキャンセル出来ないか、とまず提案したのはカルレス・プジョルだったそうです。そしてチームの全員がこれに賛同。ロセイ会長もまた選手たちの決断を全面的に支持し、試合の主催者たちに電話をして回りました。これによって週末は行事がなくなりますので、チームは月曜まで静かに、この残酷な現実と向き合うことが出来ます。

43,000枚のチケットを売り、バルサの来訪を心待ちにしていたレヒア・グダンスク。金曜には試合のプレゼン会見も行っていたらしいので、キャンセルの要求が届いた時にはさぞかし驚かれたことでしょう。しかし彼らはバルサの現状を理解し、罰金条項も発動させないということなので感謝。スケジュールに空きがないだけにプレシーズン中の実施は難しいでしょうが、バルサもなんとかこの試合を実現すべく調整を進めているとのことです。

そしてチームがピンチに陥った時、現れるのがカピタン。月曜日の選手会見ではカルラス・プジョルが報道陣の前に座り、私たちクレを励まし、勇気付けてくれることでしょう。頼んますぞ、カピ!

 

ANIMS TITO!

さて同じくSPORT紙の伝えるところによりますと、ティト・ビラノバは火曜日より腫瘍との戦い第三幕をスタートします。場所はニューヨークではなく、2011年11月に耳下腺腫瘍の摘出手術を行ったバルセロナのベイダブロン病院(Vall d’Hebron)。その分野の専門医たちが総力を結集し、前(涙)バルサ監督の治療にあたるそうです。今回、専門医たちはNYでティトが受けていたよりもアグレッシブな治療を行う予定だと見られています。

先週、定期検診の結果を聞きにいったティトは、これまでと同じように「異常ありませんよ、経過は順調です」とドクターに言われ、「じゃあまた来月」と挨拶して帰宅するものと思っていたことでしょう。それまで検査は順調な結果を示し、ドクターたちはみな彼に監督続投の太鼓判を押していたのです。しかし残酷な現実はビラノバ家の生活を一瞬にして一変させました。念願だったルビの招聘も終わり、今度こそチームに専念できると意欲を燃やしていたところでの終了通告。その衝撃は想像するに余りあります。

メディアには早速、ティトの後任候補の名前が幾つか挙がっていますが(ルビが内部昇格する説、タタ・マルティーノが有力だとする説、そしてTV3はルイス・エンリケが選ばれたと報道)、今はまだそちらの話題でヤキモキドキドキする精神状態にはなく。ただティトがこの難関を乗り越えられるよう、なにに対してなのかはよく分かりませんが、祈るだけです。ルビをチームに迎えたビラノバが、どんなふうにチームを作っていくのか、ネイマールを活かしていくのかが本当に楽しみだっただけにショックでショックで。元気になってまたバルサへ戻ってきてね、ティト!ANIMO!

 

コメント

  1. takuton with FCB より:

    ティトの強さを信じます! そしてティトと彼の家族に近い将来勝利の喜びがもたらされることを祈っています。ティトのバルサ帰還が最重要ミッションです!!