カンテラ+クラックパワーで勝点3を確保。
この火曜日のバイエル・レバークーゼン戦は正直なところ、特に前半は見ているのが苦しい試合でした。あまりに簡単にボールを失い、中盤は無きが如しで上手く事が運ぶ気配はせず、アンドレス・イニエスタが負傷して残り時間もあと10分・・・。レオ・メッシがおらずとも勝てるところを示すべき状況で敗れ、負のスパイラルに入るのではないかとも思われました。しかしその時、セルジ・ロベルトがハートの感じられるプレーで同点ゴールをねじ込み、さらに2分後にはムニールの粘りとルイス・スアレスの驚異のゴラッソで見事逆転に成功。これだけダメな試合でも最後は勝点3を手に入れるところが、前年度王者の勝負強さといえましょう。気持ちで勝った、そんな試合でした。
残念だった前半のパフォーマンス
前日会見にて、「レオ・メッシ不在はチームにとって刺激となる」と前向きに発言していたルイス・エンリケでしたが、レバークーゼン戦前半のバルサはそれはもうため息が出るほどに残念な出来でした。監督が警戒していたドイツチームの前線からのプレッシングによって、バルセロナは全く落ち着いてボールを持たせてはもらえず、かつて至高のポゼッションを誇っていたのがウソのように簡単にボールを喪失。バルサ公式ウェブのデータによるとルーチョチームは88回もボールを失っており(セルタ戦と同数)、後半は持ち直していたことを考えると、前半は本当に次々にレバークーゼンの網に引っかかっていたことが分かります。
その出来の悪さの主な理由は、選手たちの運動量の少なさにありました。レバークーゼンの走行量が際立っていたとはいえ、バルサ選手の動きは少なく、ピケやマスチェラーノが前へボールを送り出せない。ブスケツがボールを持つと一瞬で取り囲まれ、前線へボールを送ることも出来ませんでした。アルベス、マテューの両ラテラルも効果的にプレーに絡めず、背後のスペースを利用されること多数。前半浴びたシュートは8本、作られた決定機は4回。1失点で凌げたことも逆転へのポイントです。
見るからに良くなさそうな、バルサのチームコンディション。三冠王者となったが故にハードだったプレシーズンのスケジュール、底意地の悪いFIFAとかいう組織の制裁でアルダ・トゥランやアレイシ・ビダルを起用出来ないこと、フィジカル状態の悪化や不運による怪我人の続出、選手層が薄くなって無理がたたる悪循環、、、この試合ではそのうち負傷しそうだと恐れていたアンドレス・イニエスタが早くも負傷し、バルサとクレがいくら逆境に慣れているとはいえ、もうやめてと叫びたくなるほどの厳しさです。
カンテラーノが奮闘
この試合では、後半のルイス・エンリケの采配(システム修正と選手交代)が功を奏しました。チームを救ったのは過去数試合はいまひとつだったムニール・エル・ハッダディと、ラテラルでは活躍していたものの本職のインテリオールでは輝けていなかったセルジ・ロベルト、そしてルイス・スアレスのパンチ力。ジョルディ・アルバの存在も効いていました。なかでもロベルトがついに期待されたその能力を開花させてきたことには感無量です。彼にとっては、チームの苦しい台所事情(+ルーチョのラテラル抜擢)が出場時間と自信をもたらすチャンスとなりました。押し込めばよかった同点弾は、ボールが来ると思ってエリア内にいたからこその得点。そのメンタルが重要です。
こういう試合で逆転勝ちを収められるところが、“カンペオンのチーム”と呼ばれるチームの強さですし、カンテラーノが意地を示すことで達成されたことがクレの喜びを大きくしています。逆転の土台となったのは、最後まで勝負を諦めずゴールへと向かっていく忍耐と執拗さ。それが最終的にご褒美となってバルサの元へと届きました。毎回ハートが物事を解決することはないですが、こういう意地とハート(しかもカンテラーノ)でなんとかする試合も時には良いです。ゴラッソを決めた後、マテ茶友達メッシへ向けメッセージを送るスアレスの姿はクレの心を温かくしました。
ただし、こんな劇的な勝ち方はそうはないので、ハートではなく効率性や正確性によって試合を解決する術を身に付けなければなりません。特に求められるのは、引き続き守備の再構築です。今回は両ラテラルの出来が非常に悪く、ジェレミー・マテューのサイド起用はやはりダメだと確認されました。これはジョルディ・アルバの復帰やアドリアーノ、ベルマーレンの回復でカバーできるのですが、困るのはダニ・アルベスの不調。イニエスタが負傷したことでセルジ・ロベルトは中盤起用が増えますし、ダニがピリッとしてくれるしかありません。もしくはドグラス・・・。怪我人が多発している今、プレーできる選手たちがそれぞれ一歩前に進み出ることが大事です。そして戦力が整うまでは、美しくなくとも勝点を拾っていくこと。今は我慢の時です・・・。
その他のトピック
■アンドレス・イニエスタの負傷
バルセロニスタが恐れていたアクシデントが、またもや発生しました。アンドレス・イニエスタが右ハムストリングス(大腿二頭筋)を傷め、ジョルディ・アルバと途中交代(60分)。クラブ医療部からは「トレーニングへの復帰時期は経過次第」とのみ発表されていますが、SPORT紙などは全治4週間の怪我だろうと報じています。
ラフィーニャが長期離脱となった時、ラキティッチとイニエスタが揃って1月まで無事でいられるとは思えなかったのですが、その悪い予感が的中。10月にはいれば国際マッチによるリーガ中断がありますので、ドンを失うのは4試合ほどで済みそうですが(対セビージャ、ラーヨ、BATE、エイバル)、それでも痛いことに変わりはありません。こういうことになると、コンディション作りを難しくした夏の興行ツアーが恨めしくなります。
■UEFAに指笛
試合開始前にスタジアムに流れたチャンピオンズリーグアンセムに対し、バルセロニスタは大きな指笛を鳴らしました。これは昨季のベルリン決勝において、バルサファンがカタルーニャ独立を表す星付き州旗を振りまくったことにUEFAから罰金3万ユーロを科せられたことによる抗議なのですが、、、横浜のムンディアリートでもFIFAアンセムが流れるなら、クレからでっかい指笛があればいいのに、、、と思います。無理な注文なのは分かってますけど。
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