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マスチェラーノ「一つのゴールで僕の人生は変わらない」

メッシはバルサ史に最も影響した選手だとヘフェシート。

卓越した危機察知能力と闘志あふれるプレーによって、バルセロニスタから絶大な信頼を集めているハビエル・マスチェラーノ。しかし彼への信頼感はそんなプレーによるものだけでなく、ピッチ外で語る言葉の謙虚さ、端々から感じられる人格によるものです。バルサの14番は木曜夜、TVEの対談番組 Efectivament にゲスト出演。三冠を目指すチームの今やバルサ成功の秘密、引退後のプランなどについてたっぷりと語りました。マスチェ好きとしてはスルーするわけにもいきますまい。

逆境を乗り越えることで強さを増したチーム

ハビエル・マスチェラーノがバルセロナに入団し、早いもので5年半が経過しました。入団会見の日は「キャリアの中で最も幸せな日だった」と振り返るヘフェシート。「3日おきに試合のあるこのクラブでは、年月は飛ぶように過ぎていくんだ」と話す彼は、現在のチーム状態について、逆境を乗り越えてきたからこそ好調さがあると強調しています。

状況はすごく良いね。シーズン開幕当初にこういう風になっているかも、と想像することは出来るけれど、このチーム状況の良さは僕らが3つのコンペティションで上手くいってるだけじゃなく、チームとして良い感触を得ているからだ。でも先はまだ長いからね。僕らはここまで良い仕事をしてきたけれど、仕上げをしっかりしないといけない。このクラブで求められるのはそれなんだ」

チームは逆境に苦しみ、それらに耐えてきたよ。夏にはチームの12番目、13番目の選手たち、つまりチャビペドロが退団したうえ、開幕してすぐに14番目の選手ラフィーニャもいなくなったんだ。チャビはカピタンで、最初の交代カードとしてたくさん試合に出ていた。ペドロもまたすごく重要な存在だったよ。ラフィーニャもよく試合に出ていたね。さらにはレオが2ヶ月不在になったり、ネイマールがおたふく風邪にかかったり… ムンディアリート初戦には二人とも欠場していたんだ。でも僕らはそういった逆境を乗り切り、それによって強くなった。そういった状況で前へと進む時、チームは成長するんだ」

トリプレーテ

ルーチョバルサはここ36試合負けを知らず、巷では日増しに2年連続トリプレーテへの夢が膨らんでいます。しかしマスチェラーノはいつものように慎重さを忘れてはいません。

「正直に言って、個人的には統計データはそんなに気にしてないんだ。長らく負けずに来たことで、今のチーム状況になったのは事実だよ。でもシーズン最初の日に決心したのは全てのコンペティションで優勝するために戦うことであって、無敗記録や得点数、無失点試合数のことは考えないからね。後になって人々が思い出すのは、タイトルを獲ったかどうかだ」

三冠達成については、僕はかなり慎重だよ。タイトルを一つ獲得することの難しさを僕は知っているし、優勝の可能性が目前へと迫るまで、僕は全てが起こりえると考え続ける。シーズンは非常に長く、1つか2つ悪い試合をしたことで重たい罰を受けるかもしれないんだ。(去年の)トリプレーテは起こるべくして起きたと思う。僕らはそのことを考えず、勝ち進んでいた。すると気が付いた時には三冠になってたね」

「チャンピオンズ1/4ファイナル?そのためにはまず、相応しい敬意を持ってアーセナルを破らなければならない。その次の対戦相手は、相対的なものだよ。去年の僕らはカンペオンになるために4大リーグの王者たちを乗り越えなければならなかった。大事なのは交代選手も含めてチームが健康で良いレベルにあることさ。これからはチーム全員の力が必要となってくる。もし1/4ファイナルに進んだなら、簡単な相手はいないんだ。苦しむことを僕らは知っている」

バルサの秘密

ルイス・エンリケ率いるバルセロナが何故こうも強いのか。その秘密としてヘフェシートが考えるのは、チームの一体感です。指揮官ルーチョの果たす役割も大きい、と彼は説明します。

チームがブロックのようにひとつになっていること。それは秘密じゃなく現実だよ。前線の三人は破壊力のある選手たちで重要だけれど、彼らに良いボールを送り届け、彼らを輝かせるまでには70mあるわけでね。フットボルは攻撃だけじゃなく、いろんな局面が存在する。プレッシング、守備、トランジション… そこで見られるのがチームとして機能しているかどうかだ」

この数年間、チームの雰囲気は常にすばらしかったよ。勝っている時はそりゃ心地良い雰囲気になるし、人間だから難しい瞬間だって過ごさなければならないけど、そういうことが僕らをより強くしてくれた。カピタンの役目?雰囲気作りはカピタンのテーマじゃなく、個人個人のテーマだよ。良い人たちのテーマだ」

「チームが機能している理由として、ルイス・エンリケの功績を認めないのは大きな間違いだよ。バルサは11人の個人の集まりではなく、一つのブロックだから、機能させるための監督が必要となる。全てが機能するためには一つの理念を持たねばならず、その理念が成功するためには監督が全選手を納得させなければならないんだ。ルイス・エンリケの功績は良いプレーをするかどうか以上のものだよ。彼が来たことでチームはすごく進化した。もし5~10分耐える必要があるなら、今の僕らは耐える。そういう状況で、以前の僕らは苦労していた」

ちなみにネイマールがブラジルで休日を過ごした件については、SPORT紙は監督とカピタンの許可を得て旅立ったと報じていましたが、マスチェによると「カピタンは関与してない。監督が決めたこと」だそうです。

自分はメディオセントロ

ハビエル・マスチェラーノのバルサ移籍は、出場時間を求めたヤヤ・トゥレが退団することを受けてのものでした。しかしペップ・グアルディオラによって彼はセントラルへとコンバートされ、バルサに不可欠な守備の要となりました。

「僕はチームの手助けをするために来たのであって、トゥレの後釜になるためじゃないよ。メディオセントロとしての出場はすごく少なかったね。自分がどういうチームに行くのかを分かっていたし、先発にはなれないだろうとは思っていたよ。でもバルサは年間60試合以上をプレーするチームだから、セルヒオ・ブスケツも休まなければならない。そこで最大限の結果を出すのが僕の考えだったんだ。自分が競う選手が自分より優れていることを認めることに、僕はなんの問題もないセルヒオは世界最高の、バルサに理想のメディオセントロさ。メディオセントロとしてプレーした時に受けた批判?誰かがレオの代わりにプレーする時のようなものだよ。セルヒオもまた唯一の選手だし、誰であれ不足は感じられる。自分をセルヒオのようだと思いたがるのは間違いだろう。守備に組み立てに、彼は完璧だ。僕は人生において組み立てるって行為をしたことがなくてね。僕に組み立てられるのは娘のための人形の家だけだよ。僕は守備の人間だ」

「これからずっとセントラル、ということはないよ。いつか別のクラブでメディオセントロとしてプレーするだろう。クラブと代表でポジションが違うのは普通じゃないかもしれないけど、チームは別なわけだし、どちらのポジションも僕はすごく好きだよ。でも僕のポジションはメディオセントロ。そこは譲らないね」

スポーツの世界ではよく“プレーを楽しむ”と言ったりもしますが、マスチェラーノは「楽しんでいない」と言います。「緊張感と精神集中が支配する環境の中では、楽しむことはできない」のだそうです。

将来について

先にも、いつか別のクラブで、と語っていたマスチェラーノですが、バルサでの未来については次のようにコメントしています。

「あと何年自分がバルサにいられるのかは分からないよ。僕だけでどうにかなるものでもなく、クラブの考えも見ていく必要があるからね。僕としては心配はしていないさ。セントラルの補強?バルサでは全てのポジションに最高の選手が求められる。自分のポジションの選手をバルサが獲得しないだろうなんて考えるのは愚かなことだよ。物事が上手くいっていたとしてもね。チームは再編成され、改善されていく必要があるんだ」

「決まっていたことかどうかは知らないけれど、確かに退団の可能性はあったね(2014年夏)。自分のサイクルは終わった、と僕は理解したんだ。それで当時のスポーツディレクター アンドニ・スビサレッタにそう言ったら、彼の返事はNO、クラブは僕を戦力と考えているとのことだった。その後ルイス・エンリケが監督となって、彼は僕に残留するように言ったよ。でも人生には不可欠なものなんて何もないからね。ベニテスのナポリ?誰とも話しはしなかったけれど、選択肢の一つではあったね」

「僕が退団した後は、ありのままに、気取らない人間だったなと思い出してほしいね。好いヤツがここに居たなと思い出してほしいんだ。一番大事なのは、良い人間と認められることだから」

将来は監督業を目指していくだろうね。監督になるために生まれてきたというような選手も時々いるけど、いざ実際に監督になるとなれば難しいものだよ。僕としては目指していきたい。バルサで?ノー、アルゼンチンでだね」

バルサでいまだ無得点

マスチェラーノは現在、バルサのフィールドプレーヤーとしての連続無得点記録を着実に更新中です。それは彼ほどの選手には相応しくない、とペナルティで良いからネットを揺らしてほしいと望むファンもいますが、小さなボスにそれを受け入れる考えはありません。「無得点のままバルサを去る可能性は十分だね。レイジハーの記録をずいぶんと塗り替えたし… でも気に病んではいないよ。一つのゴールで僕の人生が変わることはない。ペナルティキック?蹴らない」やはり^^

長くなりましたが、最後に挙げますのはレオ・メッシについてのヘフェシートの言葉です。「彼は唯一の選手だよ。僕が見た中ではフットボル史上最高の選手。競争力の度合いが恐ろしいんだ。彼はバルサがより偉大なクラブとなる手助けをしたし、このクラブの歴史に最も影響を与えた選手だよ。モニュメント?メッシは銅像以上に、このクラブでの人生によって思い出されるだろう。まあ急ぐことはないさ。時間はまだあるんだ」

 

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