チャンスメイカーとなったレオ・メッシがまたも大暴れ。
毎週末に言っていることではありますが、FCバルセロナがまた一歩、リーガ連覇へと近付きました。今回カンプノウにて破ったのは、残留争い真っ最中のヘタフェ。主力選手を大幅に欠いた相手チームだったとはいえ、バルサもまたローテーションを行ってなおヘタフェを圧倒していたのは、現在のバルセロナの好調さを物語っています。ルーチョチームのフットボルSHOWをリードしたのは、またもやメッシ。アシストを連発したかと思えば自らもゴールを奪うなど、どれだけ引き出しがあるのかと感心するばかりです。
ハロウィーン事件にゴレアーダで返答
4ヵ月半ほど前、コリセウム・アルフォンソ・ペレスのロッカールームにて発生した“事件”を覚えてますでしょうか。バルサ選手たちが試合終了後、ハロウィーンの仮装パーティで羽目を外した選手たちが記者会見室に乱入したり、ロッカールームを汚した疑惑が持たれたりしたアノ出来事です。
今回はその因縁のヘタフェがカンプノウを訪れるということで、現地メディアは“グラウンドにてそのお返しをしようぜ!”とチームを鼓舞。今年初めての平日に試合のない一週間でリフレッシュした選手たちが、欠場者だらけのヘタフェを文字どおり一蹴したのでありました。ホラー映画の仮装をしたバルサ選手たちは別に怖くはないけれど、フットボルマシンと化したバルサは相手チームに恐怖を与えるね、という次第です。
遠征先ロッカールームでのバカ騒ぎはもう控えてほしいですが、グラウンドでのフットボル的大騒ぎであれば、クレとしましては大歓迎です。今回のヘタフェ戦はバルセロニスタにとって終始安心して見られる試合となりました。ペナルティキックをまたしても決め損ない、クロスバーに2度シュートを弾かれながらも、60分の時点で6-0。前半は特に圧倒的で、ヘタフェに1本のシュートも許してはいません。セルヒオ・ブスケツとルイス・スアレスを欠きながらもこれですから、さすがです。
メッシを筆頭に、全員が会心の出来
試合終了後にアレイシ・ビダルが「最初からヘタフェにプレッシャーを与えていけば、ダメージを与えられると知っていた」と語っているように、バルセロナはキックオフの笛がなるやマドリーチームを攻め立てていきました。これまで36試合負けがない絶好調バルサに対し、最近8試合で勝ちがなく、カンプノウでの過去13試合で一度の勝利もないヘタフェはそれであっぷあっぷに。8分のオウンゴールにて先手を取ったバルサはその後余裕で試合を進め、前半だけで4-0のリードを手にしました。
バルセロナの攻撃を先導したのはレオ・メッシです。このところのメッシは以前のようにゴールを量産しつつも、よりプレー全体に影響を及ぼす選手へとレベルアップ。ヘタフェ戦における存在感も凄まじく、ドリブルにコンビネーション、ラストパス、ゴールと様々な場面で決定的なプレーを披露しました。世界最高選手と呼ばれるようになって久しいのに、さらに階段を上がってしまうあたり、どれだけフットボル的容量が大きいのかとただただ感服します。無双のパサドールとなっているかと思えば、隙あらばゴラッソも叩き込む(1ゴール3アシスト。先制点も起点となる)。前節エイバル戦もそうでしたが、破壊力抜群のプレーメイカーとなっているレオです。
大エースのみならず、この日はチーム全体としての動きも上々でした。中でもアンドレス・イニエスタが抜きん出ていたのですが、バルサの正確で速いパスワークにヘタフェ守備陣は対応する術を知らず。ポジショニングが良く、プレッシングもよく効いていたことで、ギアを上げていた前半はボールを自陣に運ばせることすら許さないバルセロナでした。イバン・ラキティッチとセルヒオ・ブスケツがいない中盤もまったく危なげなく、アルダ・トゥランとセルジ・ロベルトがボールを支配。誰が出ても隙のない中盤になってきていますし、メッシ、ネイマール、ジョルディ・アルバを含めたこのパスワークを阻止できるチームもそうは存在しないでしょう。
前線ではブラジルでのパーティを満喫したネイマールが2ゴールによってルイス・エンリケとの“約束”を果たし、スアレスの代役を務めたムニールも合格点のパフォーマンスで監督の信頼に応えました。ムニールはこれで2試合連続ゴール。出場時間が限られる中でのこの結果は立派なり。
それにしても、この過密なスケジュールをこなしながら、チーム全体がこれだけ走れるコンディションを維持させているフィジカルトレーナー(ラファエル・ポル)の仕事ぶりは見事です。3月に入り、選手たちのパフォーマンスはさらに上がっていくと見られています。あとは不幸な怪我さえ発生しなければ、2年続けての素晴らしい晩春を期待できそうです。
ルイス・エンリケ「チームはすばらしい状態にある。誰が出ても競える」
会心のパフォーマンスでバルサがヘタフェに快勝した後の記者会見室。ルイス・エンリケ監督は満足した様子で選手たちのプレーを称えました。「私たちの状況はとても良いね。前線の選手だけでなく、中盤や守備の選手たちもまたほぼ全員使える状態にあるのは、誰がプレーしようと競争力を保てる状態であるわけで、監督にとっては完璧な状況だよ。私の抱える唯一の問題点は、彼ら全員にもっと出場時間を与えられないことだね」
「私たちがこれだけ速く正確にプレーをした時は、私たちを止めるのは困難だろう。このチームは唯一だ。彼らが簡単にそのプレーをしているように見えるね。苦もなく勝っているように見える。けれども実際はそうではないんだ」
特定の選手だけでなく、「全員が良かった」とチームを評価するルイス・エンリケですが、名指しで称えた選手もいます。トリデンテを補完したムニールについては、「素晴らしいレベルにあったし、完璧な試合をした。多くのプレーでチームに貢献し、得点力もある」とコメント。ブスケツの代役となったセルジ・ロベルトのことはさらに言葉を惜しまず、「もし私が代表監督なら、確実にユーロへと連れて行くだろう。彼は多くのポジションをこなせるうえに、高次元でそれをやってのけるね。私はどのポジションの彼も好きだよ。全てを備え、信頼のおける、チームにとって基礎となる選手だ」「セルジ・ロベルトのような多くのポジションをこなせる選手はメンタルが重要となる。各ポジションにはそれぞれ前提とされる技術やフィジカルがあり、彼はそれらを一つのチャンスと受け止めている」と絶賛しています。ロベルトもこれは嬉しいでしょう。
一方ネイマールの夏の予定を巡るドゥンガとの面談については詳細は明かさず、「私たちにはネイマールにとってのベストを模索するという共通の目的がある。何か具体的に決まれば、それを発表するさ」とのみ語っています。
またこの会見では、ルイス・エンリケが気分を損ねる場面もあったそうです。前日会見でもある記者と衝突をしたらしいバルサ監督ですが、この日はルイス・スアレスを温存した件についての質問があった時、彼は機嫌を損ねました。「スアレスに何があったか?彼が出場するのは出場するからで、欠場するのは欠場するからだよ」「スアレスがプレーしなかったのは、これまでに85万分プレーしているからだ。それで私は出場しないのが一番だと決めた」。どうしたルーチョ。質問した記者さんに深い意味はなかったそうなのですが、カード累積のやり繰りについて裏読みをされたとエンリケは感じ、ムッとしたみたいです。
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