夏の重要補強ポジションとされるセントラル。
ジェラール・ピケにハビエル・マスチェラーノ、マルク・バルトラ、ジェレミー・マティエウ、トーマス・ベルマーレンと数は豊富に揃えながらも、終わることのないバルサの理想のセントラル探しの旅。2年前には頭数こそ充実しましたが、三十路の選手二人で不足を補ったことにより、またここでチームはセントラル再編の必要に迫られています。そこで今度こそ、この長旅を終わらせるべくバルセロナが獲得を目指しているのが、これから10年ほどはチームの守備の要となってくれそうな若手選手。ロベルト・フェルナンデスは果たして“当たり”を得ることができるでしょうか。
一つの時代を作れる若手を狙う
独自のスタイルを持ち、選手たちに求められる特性が他とは異なっているバルサにおいて、セントラルのポジションは適役探しが困難とされます。
暗黒時代が終わり、システムが現在の4-3-3で落ち着いた2004年以降、バルサはテュラム、ガビ・ミリート、カセレス、ジェラール・ピケ、チグリンスキー、マティエウ、ベルマーレンと多くのセントラルを獲得し、バルサBからもムニエサやフォンタス、バルトラらが昇格してきました。しかし先発として活躍できたのはピケくらい。アビダルは左ラテラルとしての補強でしたし、マスチェラーノもピボーテでの入団でした。ムッシュ・マティエウはもう少し若ければ地位を確立したかもしれませんが、32歳では助っ人の域を出られません。
カルラス・プジョルの引退に伴い、セントラルが最優先補強ポジションとなった2年前、アンドニ・スビサレッタ率いる強化部門が契約したのは、三十路をすぎたマティエウとベルマーレンでした。その選択にバルセロニズモが少なからずどよめいたのは記憶に新しいですが、やはりといいますかセントラル探しの旅はそれで終点を迎えず。今夏再びピケの相棒を探すにあたっては、前回の教訓をふまえ、若くて将来性のあるセントラルを狙うことにしたというバルサ強化部です。
22-23歳で獲得し、期待通りにバルサ流にフィットすれば、その選手が30歳を少し超えるまでの8-10年は守備の要となって活躍できるでしょう。理想となる前例は、22歳でバルサに戻ってひとつの時代を作ったジェラール・ピケと。まだスターとなっていない若手を獲ることで、年俸総額を下げることも目的の一つだそうです。
レモス、バイリー、ウムティティetc
6月1日付のSPORT紙によると、セクレタリオ・テクニコのロベルト・フェルナンデスがリストアップした候補選手たちには、期待の若手がずらりと並んでいます。同紙が名前を挙げているのは、2年前から有力候補だと言われ続けているマルキーニョスとアイメリク・ラポルテを始めとして、最近よく出てくるマウリシオ・レモス(UDラスパルマス、20歳)、ジョン・ストーンズ(エバートン、22歳)ら8名。いずれも年齢は23歳までとなっています。
肝心の獲得可能性では、マルキーニョスはPSG残留濃厚とされていてほぼ除外、プジョルが代理人の一人だというラポルテも5,000万ユーロの契約解除金がネックとなることに加え、マンチェスター・シティで決まりだろうと見られていますので、獲得はどうやら叶わぬ夢で終わりそうです。欧州が注目するジョン・ストーンズも、エバートンがチェルシーからの5,000万ユーロオファーを拒絶しているそうですから、バルサにはムリめ。英国方面が相手の小切手勝負だと、まず勝ち目はありません。
ラファ・マルケスやエリック・アビダル、トゥレ・ヤヤのように、ブレイク前の資質ある選手がバルサで開花すれば理想的です。開花前のリーガ経験者としてSPORTが挙げているのが、ビジャレアルのコートジボワール人 エリック・バイリー(22歳)とUDラスパルマスのウルグアイ人 マウリシオ・レモス。バルサはすでにレモスに400万+800万ユーロのオファーを出し、ラスパルマスに断られたと報じられています。
また、フランスからはオリンピック・リヨンのカメルーン出身フランス人選手サムエル・ウムティティ(22歳)が紹介されています。リーグ1の先輩としては上述のマルケス、アビさん、トゥレら成功例がありますから、全然知らないのですが期待してしまう(単純なもので)。彼はまた左ラテラルとしてもプレーできるらしいのも良いです。マティエウがユーロ2016欠場となり、追加で呼ばれたのがこのウムティティ。市場価格はおよそ1,200万ユーロ程とのことで、期待の若手とあって狙っているクラブには事欠かないようです。ユーロで活躍すれば高くなりそう。
多才なブリントがマーケットへ
ということでU-23世代の若手セントラルをターゲットとするらしいFCバルセロナですが、1日付のSPORT紙がトップ記事として伝えているのがマンチェスター・ユナイテッドのオランダ人、ダレイ・ブリント(26歳)です。
数日前までロベルト・フェルナンデスの候補者リストに無かったというブリントがここで急浮上したという理由は、赤い悪魔の新監督となったジョゼ・モウリーニョが好みに合わない彼を構想外とし、マーケットに出したからだそうです。そこで代理人のロブ・ジャンセン氏が幾つかのクラブに獲得を打診し、そのうちの一つがバルセロナだったと。若手が欲しいバルサとしては年齢条件が合いませんが、1,800万ユーロほどでセントラルもラテラルもメディオセントロもこなせる、バルサスタイルのユーティリティ選手が獲れそうなチャンスとあって、バルサ強化部は獲得を検討している模様です。
ブリントは2014年の夏に一度バルサの補強候補とされていましたが、あまり大きな話題になることもなく、カタランクラブはマティエウとベルマーレンを獲得。あれから2年を経て、この話がどう動いていくのか、注目であります。MD紙もまたこれに乗ってくるかどうか、まずは見てみますか。
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