バルサゲート事件によって前会長バルトメウが州警察に逮捕される
会長選挙によってバルサは生まれ変われるか
FCバルセロナ周辺に衝撃が走りました。クラブの前会長ジュゼップ・マリア・バルトメウが、かつての腹心とともに州警察によって逮捕される・・・。クラブを危機的状況にした張本人だけに、報いを受ければ良いのですが、容疑となったバルサゲート事件自体が恥ずかしすぎる内容なので泣けます。長年溜まってきた膿が噴出するバルサ。日曜日の会長選挙を機に、再生への道を歩んでほしいと切に願いますが・・・
幹部4人が逮捕
この3月第1週はFCバルセロナにとって非常に重要な1週間です。スポーツ面ではタイトル生き残りの懸かった国王杯準決勝(対セビージャ)のブエルタがあり、組織面では今後クラブ運営を担っていく会長(と理事会)が決定する。
それだけでも十分話題豊富なのに、バルトメウ逮捕の報せまで加わるとかサービス満点過ぎませんか。並外れたクラブですよ。
2021年3月1日(月)、カタルーニャ州自治警察(モッソス・ダスクァドラ)に逮捕されたのはFCバルセロナの前会長ジュゼップ・マリア・バルトメウと、会長室顧問で右腕だったジャウマ・マスフェレール、そしてクラブCEOのオスカル・グラウと法務部門の最高責任者ロマン・ゴメス・ポンティです。
バルトメウとマスフェレールはそれぞれの自宅で、グラウとポンティはクラブオフィスにて州警察のお縄となっています。
逮捕容疑はバルサゲート事件における不正運営。州警察はバルトメウとマスフェレールの自宅とクラブオフィスを捜査して書類を押収、オフィスでは職員への聞き込みなども行われたようです。その後4人はそれぞれラス・コルツ警察署へと移送されて取り調べ。バルトメウとマスフェレールは警察署で夜を過ごし(今日法廷で証言?)、グラウとポンティは釈放されています。
逮捕された3人目のバルサ会長
クラブの元会長が逮捕されるなんて前代未聞・・・ かというとそうでもなく、バルトメウの前にはジュゼップ・リュイス・ヌニェス(在職1978~2000)とサンドロ・ルセイ(同2010~2014)が逮捕されてきました。
ヌニェスは脱税で息子と共に2年2ヶ月の実刑判決(2011年)。ルセイは2017年にブラジル代表戦の放映権購入に関係する資金洗浄の疑いで逮捕され、643日の拘留後に証拠不十分で無罪判決を受けています(2019年)。
バルサゲートってなに?
バルトメウ前会長ら4人がモッソス(州自治警察)に逮捕されたバルサゲートが一体なにかというと、バルト理事会が I3 Ventures なるビッグデータの分析を行うコンサルティング会社と契約し、複数のSNSアカウントを用いてバルサ選手や元選手、関係者らを中傷していたという大いに病んだ事件です。
バルトメウ理事会はクラブ声明を用い、自分たちの評判を守ることを目的にSNS内の声リストを作っただけだと弁明していましたが、ラジオ局 CADENA SER カタルーニャが2020年2月に暴露したところでは I3 Ventures は怪しげなアカウントを開設してメッシ、ピケ、チャビ、プジョル、グアルディオラ、ラポルタ、フォン、ベネディト、TV3といった関係者の印象を悪化させる投稿を連発していた。
バルトメウすごい!と言っても嘘臭さ満点なので、周りの評判を落とすことによって自分たちを上げるという、スポーツクラブ会長がなかなかやらないであろう離れ業をバルト一味はやっていたわけです。
そしてI3 Ventures への100万ユーロの支払いを、理事会に提出しなくても良いように6回に小分けすることで隠していたと。
ジャウマ・マスフェレールという人物
I3 Ventura社との契約を取り仕切っていたのが会長顧問(当時)で仲良く会長とともに逮捕されたジャウマ・マスフェレールでした。この人は元々サンドロ・ルセイと近い関係だった人で、後にバルトの絶大な信頼を得るようになる。クラブの外部顧問から会長顧問としてクラブに入ったのが2018年9月で、以後は理事会議にも常に参加していたそうです。
会長への強い影響力によってクラブ内部からも批判され、バルサゲート後は集中砲火を浴びながらもバルトメウがずっとクラブに残した人物。バルトメウが会長を辞任してようやく、クラブ運営を引き継いだ管理代行委員会長カルラス・トゥスケツによって“存在の意味なし”と解職されています(2020年10月30日)。
- バルサゲート事件を巡るこれまでの出来事
- 2020年2月17日:ラジオ局 CADENA SER カタルーニャが疑惑を報道
- 2020年2月18日:I3 Ventures との契約を解除
- 2020年2月21日:マスフェレールの職務停止
- 2020年2月22日:カンプノウに「バルトメウ辞めろ!」コール響く
- 2020年4月10日:バルトメウに異議を唱えた副会長エミリ・ルサウが理事6人と共に辞任
- 2020年6月17日:裁判所が団体 Dignitat Blaugrana によるバルトメウ役員会に対する告発を受理
- 2020年6月29日:州自治警察(モッソス)による一回目のクラブオフィス捜査
- 2020年8月?日:バルトメウ理事会に対する不信任動議
- 2020年10月8日:不信任動議の署名に偽造があるとクラブが治安警察(グアルディア・シビル)に捜査依頼
- 2020年10月27日:バルトメウ理事会退陣
- 2020年10月30日:カルラス・トゥスケツ管理代行委員会長がマスフェレールを解職
- 2021年3月1日:州自治警察(モッソス)による二回目のクラブオフィス捜査と、バルトメウ、マスフェレール、グラウ、ポンティの逮捕
陰謀と策略に満ちたクラブ内部
振り返れば、このバルサゲート事件が発覚したあたりからバルサは危機的案件のオンパレードでした。
バルベルデ解任とアビダル炎上、リスボン悪夢の2-8、レオ・メッシ退団騒動、スアレス非道放出、バルトメウ理事会への不信任動議、そして10月下旬のバルト一味総退陣と、一刻も早く実施するはずが3月7日までズレこんだ会長選挙、巨額の負債発覚、メッシの契約書リーク事件・・・ 数年来の膿が、あらゆる部門から出るわ出るわ。バルサゲートはそのほんの一角ですから。マテウスの獲得だって謎すぎる。
でもこういうのって、バルトメウ時代より前から受け継がれてきたことでしょう。バルトが際立って酷いにせよ。
高潔を装いながらも、実際は堕落の道を歩んでいたバルサ。スキャンダルもまたバルサの伝統芸であり、クレは半ば呆れつつも半ば楽しむ・・・とはいえ、さすがにもう食傷気味になってきた昨今です。“Mes que un Club”(クラブ以上の存在)のキャッチフレーズが泣いている。今回の前会長逮捕(恥)は、選挙で正しい会長を選ぶことと内部改革の重要性が改めて確認されたと思います。
陰謀とか策略とか内部騒動とか、もう十分じゃないか。こんな闇だらけのクラブ運営はここらで終わらせるべきではないか。となるとラポルタもまたその闇多きバルサで生きてきた人物ですから(会長時代末期は疑惑と不透明性のオンパレード)、残り4日間の選挙キャンペーンで心に響く訴えをしないかぎり、風向きが変わってくるかもしれません(彼が他人事のようにこの件を語るだけなら、個人的に信頼できるかどうか)。
この落ちたイメージを刷新するのは容易ではない。集中治療室に入っているクラブの健康を回復させるのは至難の業である。でも新会長の誕生がきっかけとなり、新たなバルサになってくれるといいですよね・・・
そして重要な試合を控えているのに、またもや外部で騒ぎが起きている現場のクーマンや選手たち、ファイト!
コメント
会長任期中の、会長自らによる、公金を利用しての、自クラブに所属するスターを貶めて自らの小利を得ようとする、小悪党そのものの、悪事。
様々な物を腐らせたバルトメウのそれは、スポーツ面に留まらず、あらゆる面に及んでそう。
この男の存在が、どれだけバルサを、メッシを苦しめてきたか…。
ただ、この逮捕はバルトメウという存在が悪であるという証明のような物と考えれば、プラス材料ではあります。
蹴落とした事が正解だったのですから、もう過去を振り返る必要もなくなった。
ピッチ内では些事に惑わされず、前を向いて進んでいってほしい。
もうほんとおっしゃる通りです笑、なんとかフォン勝ってくれないかな~
SNSを通じて選手や要人への攻撃ですか… 陰湿というか何とも現代的なやり方ですね…
実際に今回の会長選挙を機に全ての膿を出し切れれば理想ですが、そうではないでしょうね。 バルトメウが自身の任期だけで溜め込んだものではないでしょうから。
今回の逮捕劇と会長選挙、これがクラブ再建の土台を決めるターニングポイントになることを願っています。
ネイマールや久保君がバルト政権下のバルサを出たのは大正解でしたね。まさかこれ程酷いとは。