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ラポルタがクーマン続投を発表:そしてジョルディ・クライフ

予想されたとおり、クーマン続投が会長自らによって発表された
そして25年間の旅を経て、クライフ家がバルサに戻ってくる

ロナルド・クーマンのFCバルセロナ監督続投が決定しました。昨日(3日)午後、ジョアン・ラポルタ会長自らが報道陣に対し、その旨を認めたのです。理事会が最優先した選択肢ではないことはここ数週間の過程からして明らかですが、下すべき決定がひとつ為されたのはとりあえずは前進。ここからはクラブ一丸となって来季のスカッド作りに邁進してもらいましょう。

クーマンへの信頼を強調

監督はロナルド・クーマン続投でほぼ決まりだろう。ここ数日間、バルサ界隈ではそのように言われてきました。あとはクラブから正式に発表されるのを待つだけ。意外だったのは、それがジョアン・ラポルタ直々に行われたことでしょうか。
月例理事会における決定内容を、この日がスポークスマンデビューとなるエレナ・フォルが報告するのに先立ち報道陣の前に現れた会長。ラポルタが出てくるとの事前通知はなく、彼らしいサプライズ登壇だったわけです。「理事会の名において」と語る会長は、次のようにクーマンを称え続投を明らかにしました。

「熟考の結果、ロナルド・クーマンとの契約を継続することで一致した旨を発表します。彼との対話はとてもざっくばらんで率直なものでした。私にはこの期間が必要だったのです。私たちの監督の、その非の打ち所のない振る舞いを私は強調したい。彼が偉大なプロフェッショナルであると私たちは確認しました。私たちはいくつかの相違点を解決し、クーマンとバルサにとって最良の決断をした。私たちはキニエラに「1」をマークしたのです」

(※注:キニエラはフットボールの勝敗当てで、1はホームチームの勝ち予想)

クーマンは非常にモチベーション高く、必要なメンタリティを備えています。仕事への要求度も高く、このロッカールームをすでに1年間経験している。私はとても良いシーズンになるだろうと確信しています」「彼は私たちの欲する監督であり、彼が私たちを成功の道へと導くことを確信しているのです」

システムへの口出しは否定

クーマンの去就を決めるにあたって、ラポルタはオランダ人監督と何度か面談をしています。そこではチームが採用するシステムについて会長が口出ししたのではないか、と報じられもしましたが、それについてラポルタはきっぱりと否定しています。

「自分たちよりも多くを知っているプロフェッショナルに対し、スポーツ的なことを話すほど向こう見ずではありません。私たちが彼に話したのは、哲学やメンタリティについてでした。理事会メンバーやバルセロニズモの感情を取り上げたと私たちは考えています。そしてクーマンは来季がとても良いものになると期待しているよう見受けました。私たちは自分たちの限界を知っていますし、私にクラブ初のヨーロッパカップをもたらした監督とフットボール議論する力はありません。どのシステムを使うべきだと彼に言うほど私は大胆ではない。しかし自分たちの考えは言えます」

これは要するに、選手配置や起用法は監督に任せるけれど、ピッチ上で展開するフットボールはもっと攻撃的に行ってほしいというようなことです。会長はこうも述べています。

「より勝者のメンタリティを持ち、より攻撃的なスタイルを可能とする選手たちを備え、私たちの好むフットボールをするバルサを期待しています。そしてそういった全てが良い勝ち方をする手助けとなることや、シーズンの重要な時期に気の緩みがないこと、要求されるべき勝者のメンタリティがあることを期待しています」

グラナダ戦からタイトルレース脱落に至るその有り様に、相当カチンときたラポルタです。
バルサ会長はまた、クーマンの去就問題でクラブ周辺をざわつかせたことに対して反省の弁も述べています。

「クラブにとって重要な人物のことを、私は個人的に知りたい質なのです。過去にはフランク・ライカーペップ・グアルディオラと個人的な関係がありました。私にはロナルドを知る必要があり、彼は私に感謝してくれました。ただ、バルサにおいてはメディア的な反響が大きい。その点を私は十分に判断していませんでした」

クーマンは強まったという

監督続投を決断するまでの期間が長かったことや、後任候補が見つからないからの続投に見えて仕方ないことで、クーマンの立場は弱まったように思います。続投発表がこの6月3日まで延びた理由を、ラポルタはこう説明しました。

「問題になっていることを全て出し、決断を下すための話し合いでした。仮に契約があと1年残っていなくても、私たちは同じ結論に達したでしょう。そのことは交渉に影響していません。理事会はいつもクーマンを信用していました。お互いを知り、何が失敗だったのかを知り、過ちを修正するための対話だったのです。契約書とは無関係でした」
「クラブがクーマンを信頼しなかったことや、私たちに契約を解除できなかったというのは確かではありません。もし望めば、私たちはそうしていたでしょう。バルサには契約をキャンセルするためのメカニズムがあるのです」

そして「クーマンの像は強化されました。私たちは関係を深めましたし、彼は非常にやる気です」 と、今回の紆余曲折で監督の立場が強まったことを強調したラポルタ。 土台ががたついたなんてことは、ないそうです。ほほう・・・

ラポルタが本当にクーマンを深く知るための期間を必要としていて、何度かの対話によって関係が強化されたと考えるのは良いとして、実際のところはどうでしょうね・・・ 今回の発表でクーマンを称えたラポルタではありますが、今更感は否めるものではなく。たとえ後付けであろうともクーマンの像を強化する以外に手はないですから、せっせとセメントを塗り固めたのがこの会見でしょう。
重要になるのは来シーズンが始まってから。監督が前線で孤立無援にならぬよう、理事会はしっかり支えなければなりません。

ジョルディ・クルイフの帰還

監督の続投が確認された一方で、FCバルセロナはもう一つの発表を行っています。御大ヨハン・クルイフの息子であり、1990年代(1993-96)にバルサ選手でもあったジョルディがクラブに戻ってくるのです。実に25年ぶりの復帰となります。
その役割はというと、バルサ公式サイトによるとフットボール部門でなにかの仕事をする模様。具体的にはまだ決まってないようです。

象徴的な意味合いも強いですよね。クルイフ家がバルサに戻ってくるのは、バルセロニズモにとってはそれだけでも意味がある。会長選挙戦ではライバルのビクトル・フォンもジョルディが陣営にいると言っていましたし、チャビ同様に彼もクラブ全体の財産ですから。

そしてもうひとつの役割を、ジョルディ・クルイフは担っています。前述の記者会見で彼のバルサ復帰について訊ねられたラポルタは、「緊急事態のためのジョーカー」だと言ってるんですね。当然、それはどういったジョーカーなのか、監督代行なのかと再質問されるわけですが、ラポルタはお茶を濁して回避。緊急事態は起こりえるので、そういう人物が必要なんだそうです。

ということで、どどんと発表されたクーマンの続投とジョルディ・クルイフのバルサ帰還。急ごしらえであれなんであれ、結果的に上手く行くことを期待しています。

 

コメント

  1. トム より:

    ラポルタの発言訳、ありがてぇー…
    ありがとうございます。

    前にスポルトで書かれてた、4-3-3を使うよう言ったという線は消えたんですね。
    攻撃的なサッカー志向→守備的といえば3バック→4バックにしろと命じた
    って感じで変換されていったのかな。

    あとはクーマンの給料が減って、かわりに成果給になったという話もありますが、どうなんでしょうね。
    タイトル一つでボーナス、二つで契約一年延長とか。
    クーマンにも本当に減給させたなら、時間かけたのにも意味はあるのかな。
    まあペップの様子を伺ったんだと思いますが。

    これでオランダ人選手二人も獲得は間違いなさそうです。
    後は、放出と減給交渉の方ですね…。
    裏でオファーを探りつつ、決定はユーロとコパ・アメリカの後になるのかな。

    ジョルディは戦略部門に入るそうですが、何するんでしょうね。
    アビダルみたいに、いきなり対外交渉全部任せるみたいなのは止めて欲しいですが、まあラポルタならその辺は大丈夫でしょう。