ルーチョ念願の第4のデランテロ、あとは発表を待つばかり。
FCバルセロナ今夏6人目の補強選手、パコ・アルカセルの入団が間もなく公式発表されるようです。現在ラス・ロサスでスペイン代表合宿中のデランテロは昨日朝、マドリーへと出発する前にバルセロナへ立ち寄りバルサのメディカルチェックを通過。移籍のために必要な作業は全て終えており、残すはバルサとバレンシアによる公式発表だけだと見られています。昨日にも行われると報じられていた発表は、バレンシアさんの諸事情のために1日遅れましたが、奇しくも今日30日はパコの23歳の誕生日。移籍発表は良い誕生プレゼントとなるでしょう。メスタージャの象徴のようなカピタンを引き抜くのは、複雑な気分ではありますけれど。
すでにメディカルチェック完了
8月29日の現地お昼前、パコ・アルカセルがすでにバルセロナを訪れていて、シウター・エスポルティーバにてメディカルチェックを受けているぞ、検査を通過したぞ、との情報がバルサ系メディアを中心に流れました。その後、デランテロはプラット空港からスペイン代表新監督ジューレン・ロペテギの待つラス・ロサスに向かい(招集時間13時に対し到着時間14時半)、しばしの休憩の後、トレーニングを実施。グラウンドに出る際には、バレンシアで一緒だったジョルディ・アルバとなにやら楽しそうに話しているところを報道陣に目撃されており、二人はどんなことを喋っていたのだろうかと外野の想像は膨らみました。
パコ・アルカセルの移籍はこの30日にバルサならびにバレンシアから正式発表されるだろうと考えられています。バルサは公式ウェブで“アルカセルのサイン入りユニフォームをゲットしよう!”というキャンペーンページをフライング公開したとして話題となっていますから(意図的?)、作戦完了はまず間違いなさそう。発表が今日までずれ込んだのはどうやら、バレンシアの内部事情による模様です。なお、アルカセルは現在スペイン代表に参加中ですので、入団プレゼンテーションは代表戦終了後となります。
パコ・アルカセルの加入をもって、2016年のFCバルセロナの補強活動は全て終了となります。今回の獲得選手は27歳のジャスペル・シレッセンを除けば、デニス・スアレス、ウンティティ、ディニェ、アンドレ・ゴメス、それにこのパコと全員が22-23歳。強化部がチームの若返りを図ったのは明確ですし、新たなサイクルの土台を作ろうとの意図も見られます。SPORT紙曰く、“キンタ・デ・1993”(93年五人衆)。予算をしこたま使い(1億2,200万ユーロ!)、期待の持てるスカッドとなりました。
アルカセルがバルサ移籍を選んだ理由
パコ・アルカセルはバレンシア県出身でバレンシアCFの生え抜きカピタン、つまりはメスタージャの象徴ですから、引き抜きには素直に喝采できない気持ちも正直あります。しかし望んでアスルグラナ戦士となるということであれば、精一杯応援する。他のデランテロたちの多くがためらったといわれるMSNトリデンテの控えの役割を受け入れても、バルサで挑戦しようというその気持ちは天晴れです。
パテルナ育ちのパコがバルセロナへと移籍する理由については、SPORTやらMDであれこれと推察されています。それは次のようなものです。
■スポーツ的理由。タイトル争いに加わりたい:2013/14シーズンにバレンシアのトップチーム選手となったアルカセルですが、残念ながら“チェ”は低迷中につき、獲得したタイトルはゼロ。バルサ入団の理由として、このタイトル獲得は代表的です。世界的グランデのバルサの一員となれば、キャリアも知名度も上がります。
■ロベルト・フェルナンデスの熱烈勧誘:バルサのSDロベルト・フェルナンデスの熱心な説得も選手を決断させるカギになったとSPORTは見ています。バルサに来ればキミは選手として成長し、タイトルを手にし、数多くのゴールを決めるだろう、それにこんなチャンスは一度しかないとロベルトはパコを勧誘。そのSDの言葉が彼の心に響いたようです。
■ルイス・エンリケの信頼:ロベルトSDを介しては、バルサ監督からの信頼も確実に伝えられたことでしょう。それは選手にとって決定的な意味を持ちます。ミスターは生粋の9番が欲しいと強調していましたし、今季はルイス・スアレスを休ませる計画だとアルカセルが知っていれば、挑戦に胸躍るはず。チャンスは間違いなく訪れます。
その他にはバルサのロッカールームにはジョルディ・アルバ、マティエウ、アンドレ・ゴメス、ピケ、ブスケツ、イニエスタ、セルジ・ロベルトらバレンシアやラ・ロハで顔なじみの選手がたくさんいることや、年俸が上昇すること、世界最高のクラックたちから学べること、バレンシアがクラブとして不安定なことなどが挙げられています。
頂点に立つための巨額投資
いろいろありましたバルセロナの補強夏物語2016も、いよいよこのパコ・アルカセルで終了となります。昨年からずっと必要といわれながらも、なかなか実現できなかった第4のデランテロの獲得。他クラブのエースとはいえ3,000万ユーロの移籍金ですから、監督の要求を叶えるためにクラブも奮発をしました。将来を見越した戦略的補強の意味合いも強いのでしょう。
戦略的補強といえば、アンドレ・ゴメスも該当します。セントロカンピスタは不可欠ではなかったものの、ルーチョが欲しがっていた選手がマーケットに出たので、他所(マドリー)に取られるくらいならこちらで契約しようという補強作戦。ハイレベルな選手なので無駄にはならないでしょうが、ラフィーニャが割を食いそうなのは複雑です。
この夏のバルサは思い切った投資を行いました。デニス・スアレスに325万、ウンティティに2,500万、ディニェに1,600万、アンドレ・ゴメスに3,500万、シレセンに1,300万、そしてこのアルカセルに3,000万ユーロ(すべて固定額のみ)で、合計1億2,275万ユーロ。これほどの金額を投入したのはテル・ステーゲンやラキティッチ、ルイス・スアレスらを獲得した2014年夏(1億5,700万ユーロ)しかないとのことで、タイトル獲得への理事会の並々ならぬ気合が窺えます。
クラブがこれほどの投資を行ったのは、チームに若い息吹を吹き込みつつトリプレーテに出来るかぎり近づけるためと考えて違いないでしょう。ルイス・エンリケは「シーズンを決めるのは全チームと2回ずつ対戦するリーガだ」と言っていますが、ルイス・スアレスに見劣りする成績のCR7がスポットライトを浴びまくっているところを見れば、チャンピオンズを獲ってこそなんぼであることを痛感します。こちらはドブレーテなのに良いところを白いクラブに持っていかれ、バルトメウ会長たちは相当悔しかったのかもしれません。
小切手でタイトルが買えるわけではないですが、大耳トロフィーをミュージアムの陳列ケースに飾るための有力な方法としての今夏の巨大投資。2年前はその投資が功を奏しましたが、今年はどうなりますでしょうか。2年前のトリプレーテ主力+今季の6人ですから、競争力が上がっているのは確かでしょう。あとは選手たちがモチベーションと野心をどれだけ燃やし、一丸となって突っ走れるか。頼みますぜ、ルイス・エンリケの旦那!
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