2022年までの5年間、守護神を確保へ。
昨年からスカッドの主力たちとの契約を着実に延長しているFCバルセロナが、守護神マルクアンドレ・テル・ステーゲンとの契約期間を2022年6月末まで3年延長することで合意した、と12日付のSPORT紙が報じています。案件自体は急を要するものでもないので、公式発表は今月末になるかもしれないとのことですが、テル・ステーゲン本人からはすでにチームメイトたち数名へと合意を伝えられているらしく。4月末で25歳となったポルテーロがあと5年間バルサのゴールを守ることになったのは間違いなく朗報で、このポジションで悩まなくて良い状況が出来るだけ長く続いてほしいものだと切に願います。
スビサレッタの正解補強
ご存じの通り、テル・ステーゲンは前スポーツディレクターのアンドレ・スビサレッタによる大正解補強選手のひとりです。そのほかにもイバン・ラキティッチ、ルイス・スアレス、ネイマール、ジョルディ・アルバ、マスチェラーノあたりがスビ時代の入団ですが、理事会の一部がティボ・クルトワを求めるなかで“足技に劣る”として突っ張り、ドイツからテル・ステーゲンを見つけ出してきたのはさすが元ポルテーロの眼力。バルサの門番を託すべきはこの選手だ、と確信したスビは足繁くドイツに通い、テル・ステーゲンを口説き落としました。
そもそも、ビクトル・バルデスが退団すると決めた背景にはスビサレッタとの関係悪化があったとも言われますが、クラブ史上最高のポルテーロの後釜を探し出す困難な任務に成功し、さらには経験と実績あるポルテーロを求めるルイス・エンリケの要求にも応えてクラウディオ・ブラボも連れてきた功績は、高く評価するべきでしょう。暗黒期のバルサが悩まされたポルテーロ問題が発生しなかったのは、正直嬉しい驚きでした。
野心あふれるポルテーロ
テル・ステーゲンがバルサのゴールを守るようになって、もう3年が過ぎようとしているのですから、月日の流れは速いものです。初年度はまずバルサのスタイルに慣れることを理由に、リーガをクラウディオ・ブラボに任すことを受け入れてチャンピオンズ優勝に貢献。2年目も同様の起用方法を、野心をくすぶらせながらも従ってはいましたが、その様子はあたかも触れれば破裂する風船のようでもありました。
昨年夏には我慢も“臨界”に達していたようで、代理人に新天地を探すように求めたとも報じられました。それに反応したバルサがロベルト・フェルナンデスを通じてリーガでのレギュラーの座を約束したことで、ようやくテル・ステーゲンも納得し刀を鞘に収めたという話。ステーゲンの野心に押し出されるようなブラボのマンチェスター・シティ移籍には、ほろ苦い後味が残りました。
そんなこんなを経ての、今回のテル・ステーゲンの契約延長報道。交渉がさざ波も立つことないほどに静かに完了したことは彼の充実感を表していますし、チームの土台たる優秀なポルテーロを5年間確保できるのはバルセロニズモにとって朗報ですから、ちょっとした祝い酒の理由には十分でしょう。テルさんの良き日に乾杯!来季以降もその強靱なメンタルとパラドンによって、バルセロナをピンチから救ってくだされ。
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