カタール行きで外堀が埋まってきている感じ。
FCバルセロナの象徴の一人として、またはティキタカの体現者として長年にわたりチームを支えてきたチャビ・エルナンデス。その彼の退団が日に日に近づいている、そんな雰囲気の6月中旬となっています。数日前より、カタールのスポーツ放送局beIN Sportsによって“カタール行きを決意している”と伝えられていたカピタンではありましたが、その際はまだ最終決断はルイス・エンリケとの話し合い後、と見られていました。しかしその後セスク・ファブレガス、アル・アラビ監督ダン・ペトレスク氏らによるコメントによって、退団はほぼ確実とのムードです。
チャビ退団を仄めかすセスク
チャビ・エルナンデスを巡っては6月17日(火)、2人のコメントがニュースとなって伝えられました。まず1人目はバルサでの元同僚、セスク・ファブレガスです。少し前にウッカリ男のジェラール・ピケによってチェルシー行きが漏らされたセントロカンピスタは、今度は自らが火付け役となり、MARCA紙のインタビューにてこう語っています。「チャビとプジョルは一歩横へと歩むことを決めたんだ。家族のより近くにいたり、厳しい要求の道から離れるためにね。そしてビクトル(バルデス)と僕は、個人的で職業的な決断をした」
MARCA紙のインタビュー記事をすべて見たわけではないので(電子版では抜粋のみなので・・・)、前後の文脈は分からないのですが、確かなのはピケが天然ボケだったのに対し、セスクの場合はこれから自分が言うことを分かった上での発言である点です。
一方、こちらも完全に確信犯なのはカタールのアル・アラビで監督を務めるルーマニア人のダン・ペトレスク氏。彼はルーマニアのテレビ局Digi Sportの取材に対し、こんなふうにぶっちゃけています。「チャビは私たちとの仮契約書にサインをしたよ。他チームからのオファーもあったけれど、私たちの提案が彼を納得させたんだ。彼とは電話で話しをした。私たちのチームでプレーしたいのかと訊ねたところ、その可能性に対しとてもオープンだったね。謙虚ですばらしい人物だとの感じを受けたよ」。フットボルの世界ではきっと仮契約なんぞ特に珍しくもないのでしょうが、チャビがバルサを離れることを不可としてないのは事実のようです。
ちなみにアル・アラビはチャビに対し、年俸800万ユーロの3年契約を申し出ているとか(バルサでの年俸は推定750万ユーロ)。SPORT紙はまた、彼らはセレッソ大阪のディエゴ・フォルランを狙っているとも報じています。
クラブはチャビの意思を尊重する
そんな17日、FCバルセロナのオフィスを訪れ、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長、アンドニ・スビサレッタ・スポーツディレクターと話し合いを行った人物がいます。チャビ・エルナンデスの代理人、イバン・コレチャ氏です。ほんの30分ほどで終了したというその会談で何が話されたのかは彼ら3人のみぞ知るところではありますが、メディア各紙で共通するのはスビたちから代理人氏にクラブとしての意向が伝えられたであろうこと。現役レジェンドであるチャビへと敬意を払い、彼の希望を大いに尊重するのがクラブの考えとされています。思う道を歩まれよ、です。
もしチャビがバルサとの契約を満了し、2016年までチームに残ることにするのであれば大歓迎。クラブが彼を裏門から追い出すことはありません。しかしカピタンがルイス・エンリケの考えを聞いた上で、もっとチームの中心的役割を果たしたい、あるいは自分のバルサでのサイクルは終わり、環境を変えることが最善だと思うなら、無理な移籍金を求めて交渉を阻害したりはしない。かつて複数のベテラン選手たちがそうだったように、穏やかな契約解除もあるでしょう(むしろ濃厚)。チャビはプジョルのように、表門から堂々と送り出されねばなりません。
SPORT紙の報じるところでは、チャビ・エルナンデスはすでにルイス・エンリケと電話で話し、新監督のチーム構想やチャビに期待する仕事などを伝えられているようです。来季もバルサに残れば与えられことになるその役割が、チャビのハートを揺すぶっているかどうか。ルーチョの熱い言葉に心動かされ、てな展開をつい期待してしまうのですが、セスク発言がすぐさまそれに水をかけるわけであります。
ルイス・エンリケがバルサの伝統をある程度守りつつも、新たなスタイルを模索していくのは間違いないでしょう。そこではきっとチャビは不動のレギュラーではなくなる。あとはもう彼の望むところ次第です。しかしもしチャビもまた退団となれば、それぞれに事情は異なるとはいえ、カピタン3人同時サヨウナラがチーム周辺に与えるショックは大きい。スビサレッタさん、その後のことをよろしく頼みますよ…。
コメント
イニエスタとチャビのコンビはまだまだ見たいよ。W杯で最後なんて不完全燃焼すぎる