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近代化は程遠いソシオ総会:中途ハンパに時間切れで延期になり

クラブの将来にとっての重要議題を決めるための総会だったが、、
時間をかけたが大事なところは決まることなく延期される珍事が発生

2021年10月17日(日)、FCバルセロナの現在と未来にとって非常に重要な意味を持つクラブ行事、ソシオ総会が開催されました。通常はシーズン収支報告と予算案の承認が粛々とこなされていき、波乱の起きた記憶のない総会ですが、大きな事案を扱う今回は違った。開始から5時間を経たのち、時間切れのために延期することをラポルタ会長が決断したのです。

民主主義にこだわる

さて・・・ソシオ総会、アサンブレアであります。非常に重要ながら、日本語公式サイトすら取り上げない地味な話題(苦笑)。2021年10月現在のバルサ事情をより詳しく知りたい方は読んでいただければ、、と思います。

バルサがバルサである、そのアイデンティティの精髄には“クラブの所有者はソシオである”という原則があります。先人たちは120年に及ぶ努力により、このクラブを今まで引き継いできた。思惑が渦巻くだけに騒動も絶えませんが、そういうのもこの稀有なクラブの魅力です。
あるいは株式会社化して、外部の優秀な経営者が率いた方が都合が良いのかもしれませんが、そういう俗な誘惑はお断り。クラブは自分たちソシオの手で運営するんだと、この先ももがいていくでしょう。こだわるのは、自分たちで選ぶこと、です。

ソシオ総会(Asamblea de Socios Compromisarios)はクラブ規約が定める、FCバルセロナ最高位の運営機関です。
正確には決定投票権を持った代表ソシオたちの総会とでも言いましょうか。抽選によって無作為に選ばれたソシオ/ソシアたち(4,457人招集、出席729人)+規約で選ばれる代表者たちがクラブの重要議題に対して賛否を表明し、多数決で可決・否決が決まる。ここでの決定が理事会の運営にも拘束力を持ちます。

民主主義的でありつつ、時代遅れ感もそこはかとなく漂う。800人足らずの出席で、やたらと長丁場ですからね。。長くなるのも理由はあります。まず30分に及んだ、ラポルタによる眠気を誘う開会演説。

5時間後の延期

今回の主なメニューは2020/21シーズンの収支決算2021/22シーズンの予算エスパイ・バルサ計画(直訳するとバルサ空間。アスパイの方が近い。予定通りには全然進んでいないカンプノウ周辺の大改修計画)のための融資獲得そして、一部クラブ規約の改正でした。

なかでもエスパイ・バルサ実現のための融資が注目され、そのための会のようなものだったのですが・・・

担当理事からの説明、ソシオからの質問とそれに対する返答、そして挙手投票の流れで進む総会はなかなか前に進んでいかない。
しかも最初のソシオ質問では、1人目がバルトメウに裁判を求め、2人目は会長の勇敢さを称え、3人目はホッケーチームを祝福し、4人目は倹約を強調し・・・と自分の言いたいことを言うばかりで肝心の質問が出なかったらしく(涙)。

そんなことなので15時30分開幕の会が、最も重要である第3のテーマ、エスパイ・バルサ計画に辿り着いた時点で既に19時20分でしてね・・・

制度部門の副会長エレナ・フォルがその計画の重要性を上手に説き、フェラン・レベルテルCEOが融資計画について説明を終えたのが20時頃。21時からのバレンシア戦までもう時間がありません。

そして続くソシオからの質問タイムにて、15億ユーロもの貸付を扱うこの件はもっと時間をかけて扱うべきではないかとの要望が多く出ます。元ジョアン・ガスパールは投票した方がいいと意見。拙速でも決めてしまうのか。場を改めて深く議論すべきか。試合開始まで20分と迫った20時40分、苦渋のジョアン・ラポルタが「民主主義が機能し、誰もがバルサを愛している証である」と延期を決断したのでありました。クラブ史上初?の珍事。

強引に採決してしまうよりは良かったでしょうが・・・開始から5時間もかけて、重要議題は決まらずじまいですからね。クラブ規約67条の一時停止には辿り着けてさえいない。ダメだこりゃ!

異例となった6月開催の“第一部”総会の際も思いましたが、このアサンブレアはいくつも改正していくべき点がある。民主主義的でありつつも近代化は可能なわけで、700人ちょっとのソシオが5時間も6時間もかけて、、ってのは直していきましょうぞ。

※延期されたソシオ総会は、23日(土)に行われる。

フォル副会長が強調したのは、欧州の中でバルサのスタジアム近代化が15年以上の遅れをとっている事。欧州には4万人以上を収容してカンプノウより近代的なスタジアムが67個あり、うち58個は2003年から近代化されている。スペイン国内でもバレンシアとバルサだけが取り残された。

フェラン・レベルテルCEOによると、エスパイ・バルサ計画によって増える収入自体で融資を返済していく。新しいVIP席、スポンサー、新たな資産の開拓などで年間2億ユーロの収入増を見込む。ソシオに出費は必要なく、クラブの財産やスポーツ運営に危険は及ばないという。返済期間は35年を予定。

スポーツスタジアム融資の国際的エキスパートを介して融資交渉し、15億ユーロまでの投資を見積もる。新カンプノウに9億ユーロ、新パラウ・ブラウグラナに4億2,000万ユーロ、周辺開発とキャンパス・バルサに1億ユーロ、MPGM(都市計画?)に6,000万ユーロ、エスタディオ・ヨハン・クルイフ(バルサBのスタジアム)改修可能性に2,000万ユーロ。

もし土曜日の総会でエスパイ・バルサへの融資が承認されれば、ソシオ投票を実施するとラポルタが明言。

2020/21シーズンは当初予算8億2,800万ユーロに対し、収入6億3,100万ユーロ。支出は11億3,600万ユーロとクラブ記録を更新し、課税後の損失額は4億8,100万ユーロに上った。
(ソシオ投票結果:賛成637票、反対39票、白票42)

2021/22シーズン予算は、収入7億6,500万ユーロ。チケット収入やショップ販売の復活などで前年度比+21%を見込む。支出は選手給与の圧縮などで7億8,400万ユーロまで減ると予想。
(ソシオ投票結果:賛成643票、反対17票、白票23)

コメント

  1. サイ より:

    新しい胸スポンサーが早く決まって欲しいですね。それこそ新生バルセロナですよ。※又、カタール系やバックボーンがしっかりした投資会社が良いですね。