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【会長選挙2021】圧勝のジョアン・ラポルタ

過去2番目となる得票数30,184(54.28%)で11年ぶりの会長復帰
「メッシはバルサを愛している。彼が残留するよう出来ることをしていく」

新会長は元会長。2021年3月7日(日)に実施されたソシオ投票により、FCバルセロナの第41代会長はジョアン・ラポルタに決定しました。パンデミック下にも関わらず、クラブ史上2番目に多い55,611人が投票した今回の選挙。下馬評どおりに勝利したラポルタはその54.28%にあたる30,184票を獲得し、会長席に返り咲いています。ソシオにクラブ運営を託された元会長、課題山積の中での船出です。

投票者数、55,611人

今回のFCバルセロナ会長選挙2021結果を数字で振り返ってみましょう。
FCB公式サイトの情報によると、投票者数は全有権者ソシオ110,290人の50.42%にあたる55,611人。今回はCOVID-19感染拡大によってクラブ史上初めて6会場での分散投票ならびに郵便投票が実施され(20,663人が利用)、そんな難しい状況ながらもバルサ会長選挙では2番目に多い参加者数になったことは立派なものです。

※過去の最多投票数は、2010年選挙における57,088人。当選したのはサンドロ・ルセイ
バルトメウが勝った2015年選挙は47,270人。

惜しむらくは、投票日がこの3月にまでずれ込んでしまったこと・・・ パンデミックによる移動制限などは昨年秋から十分に予測できたことで、年内や年明けに感染病対策を練った投票を出来なかったものかと今でも残念に思います。まあなにはともあれ・・・

クラックたちも投票(メッシ現る)

投票会場には、バルサ選手たちも訪れています。もちろん、投票権を有するソシオであることが大前提で、投票する映像が流れることでソシオの共感は増す。下の公式動画ではセルヒオ・ブスケツセルジ・ロベルトリキ・プッチが映ってますね。動画には何故か登場していませんが(よね?)、ジョルディ・アルバも投票したそうです。

その他有名人ではルイス・エンリケカルラス・プジョルボージャンガブリセルジ・バルジュアン(元選手)、カルラス・トゥスケツ(管理代行委員会長)、アルトゥール・マス(元カタルーニャ州知事)、ジュゼップ・カレーラス(世界3大テノール歌手)、ガルシア・ピミエンタ(バルサB監督)、ファン・カルロス・ウンスエ(ルーチョ時代の助監督)、 サンドロ・ルセイ(元会長)、ジュゼップ・マリア・バルトメウ()の姿もありました。

ピケは膝が悪いので無理をせず?

選手関連で一番のニュースはなんといってもレオ・メッシが息子ティアゴくん連れでカンプノウの投票会場に現れている件です。どよめくバルセロニズモ^^ レオはもうずっと前からソシオでしたが、これまでは投票に来てなかったんですよね。 それが敢えてやって来たのは、クラブへの愛情表現=残留への可能性高まる?

ラポルタは当選後のラジオ番組(RAC1)出演で「メッシが投票に訪れたのを見れてとても良かった。これは彼がバルサを愛していることの証だ」「私は彼が残留すると確信している」と語り、「何人かの選手に祝福してもらったよ。それは誰か?たとえばレオ・メッシジェラール・ピケジョルディ・アルバだね・・・ 普通のことだと思うよ」とコメントしています。

過半数の支持を獲得

ジョアン・ラポルタ(バルセロナ生まれの57歳。ソシオ番号13,352)はその54.28%となる30,184票を獲得し、クラブの第41代会長に就任しました。任期は6年。

次点だったビクトル・フォンが16,679票(29.99%)、トニ・フレイシャが4,769票(8.58%)でしたから(白票351、無効票3,628)、圧倒的なソシオ/ソシアの支持を集めての当選となります。ソシオ署名集めや事前の調査から大本命とされた元会長がそのままに勝ったわけで、ライバルたちは“風”を起こせなかった。

開票作業が終わり、ラポルタの勝利が公式発表される前、3人の候補者たちはカンプノウに集まり、健闘を称え合っています。笑顔で抱擁を交わすラポルタフォン、そしてフレイシャ。これは「バルサはひとつ」だとのクレへのメッセージですし、スポーツクラブらしいフェアプレー精神が出ていて良い光景でした。
2ヶ月にもわたった異例ずくめの選挙キャンペーンを戦った者同士、連帯感が芽生えてたら何より。後味良いに越したことないですからね。

ご存じラポルタは2003年~2010年以来のバルサ会長復帰となります。
1978年に一般ソシオ投票による民主的会長選挙が始まって以来、一度下野した会長の再登板は初めて。それだけ彼のカリスマ性や実績がソシオに評価され、現在のような難局でクラブ運営を託すべきは彼のチームだと期待されたわけです。レオ・メッシとの関係性の良さや、ラ・マシア再生もですね。

担保書類の提出

で、ですよ。晴れてFCバルセロナの新会長に選ばれたジョアン・ラポルタと彼の理事会(Estimem el Barça)は、これからクラブ規約に則ってクラブ運営を始めていきます。

特筆すべきは、新理事会がクラブ支出予算の15%にあたる銀行担保書類を提出しなければならない点で(スペイン国内法が定めるらしい)、バルサの場合は2020/21シーズンの支出が8億3,100万ユーロですからその15%で1億2,460万ユーロ(約150億円)・・・ もしもの時のための対策ですが、本気でバルサ会長職に就きたければ1億ユーロ以上用意してから出馬せよってことです。

ちなみに・・・ もしこの銀行担保が提出されない場合は再び管理代行委員会が設立され、新たな会長選挙が招集されます。

喜びのスピーチ

当選確定後、ジョアン・ラポルタと彼のチームはアウディトリ1899(カンプノウに隣接する多目的ホール)にて喜びのスピーチを行っています。彼らが着用しているマスクには「14」の文字。御大ヨハン・クルイフもジャンの帰還を天国で喜んでいるでしょうか。

ヨハンはもういませんが、私たちを助けてくれたと確信しています。私たちが大きな決断を下す際、彼はいつも私たちに着想を与えてくれるのです」

メッシが彼の息子と一緒に投票しているのを見て、私は衝撃を受けました。彼はバルサを愛してます。彼がクラブを出る時は、表門からでなければならない。ウソの期待を抱かせることはできません。提案はしますが、彼次第となるでしょう。しかしお金はそう重要とならないと私は確信しています」
「クラブ職員たちに挨拶をした後、メッシに電話をかけるつもりです。彼を説得できるか?彼次第でしょう。クラブの経済状況が許す範囲内で、出来ることをやっていきます」

「私が一番喜んだのは、母からの電話があった時でした。母はとても喜んでいた。息子たちとの抱擁もまた嬉しいことでした。ここからは私たちがバルサと共に希望を抱かなければならない。バルサ内に喜びを戻す、それを達成せねばなりません」

新たなラポルタを期待

ラポルタの圧勝ということで、会長選挙2021にサプライズは起きませんでした。「ソシオは勇敢であるべきだ。2003年選挙のように」と変革を求めたビクトル・フォンの訴えはソシオ/ソシアには十分に届かず。新たな指導者の下で新時代のクラブを作ることよりも、最強バルサの思い出とラポルタのカリスマ性がソシオには響いたわけです。この会長ならメッシが残留するかも、という期待も。

ラポルタは2003年に見事バルサを新次元へと導いています。サンドロ・ロセイ(スポーツ部門)、フェラン・ソリアーノ(経済部門)、マルク・イングラ(マーケティング部門)ら若くて優秀な仲間に恵まれ、ロナウジーニョ太陽王獲得も大成功したことで1999/00~2003/04と5年無冠だったバルセロナは世界のトップクラブとなった。フットボール界がバルサに魅了され、唯一無二の存在となった。
あの成功体験をもう一度、です。

現在のバルサはバルトメウ一味の散々な運営によって荒らされ、スポーツ・経済・組織とあらゆる方面で危機的状況に陥っています。さらに世界はこの18年間で大きく変化している。ここでバルサが再生するためには、新会長が前回を凌ぐくらいの面々にサポートされている必要があるでしょう。カリスマだけではなんともならない。確固たるプロジェクトを進め、アイデンティティを取り戻しながら、先を行くライバルたちに追い付かねばならないのです。

陰謀とか内輪揉めとか旧来のバルサとはサヨナラしてほしい。ネタとしては面白いんですがね^^;
ちなみにラポルタさん、この日の夕方スタジアムに投票に訪れた少女と記念撮影した際「ありがとう、キミが18歳になったら電話してよ」と言って、古くさいマッチョ主義だとひんしゅくを買ってます(汗)。古いラポルタは、要らない。前回の失敗を教訓に、新たにチューンされたプレジデンテを期待します。

ラポルタのスポーツプロジェクト

スポーツ面でラポルタが目標として掲げるのが、全プロチームのヨーロッパ制覇です。それもただ勝てば良いのではなく、バルサのアイデンティティがある勝ち方をしての復権。そのために不可欠なのはラ・マシアの才能を最大限に引き出すこととし、育成部門の復活に取り組んでいく模様です。
以下はラポルタチームが選挙キャンペーン中に掲げていたプログラムとなります。適当訳。

  • 1.クラブの各プロならびにアマチュアセクションに最高のサービスを。クラブの全スポーツ選手にサポートオフィス。
  • 2.クラブの経済的・スポーツ的持続可能性の保証としてのラ・マシア
  • 3.勝つだけでなく、どのようにして勝つか。自らのスポーツモデルとアイデンティティの回復。
  • 4.AI、ビッグデータ、テクノロジー適用の手本となるべき。
  • 5.パフォーマンスを最大限に引き出すメソッド。
  • 6.メンタリティ、競争力ある個性、パーソナリティに焦点を当てるスポーツメンタープログラム。
  • 7.ラ・マシアは5つの部門を持つ(メソッドと育成、スポーツテクニコ、スポーツの価値と文化、スカウティング、ビッグデータ)
  • 8.11の知的エリア(フィジカル準備、医療サービス、怪我の予防、理学療法、栄養学、スポーツバイオメカニクスなど)
  • 9.女子スポーツの強化。まずはハンドボールから開始し、拡充していく。クラブの歴史的セクションであるベースボールの復活。

フットボールディレクターには、かねてから言われているとおりにマテウ・アレマニーが就任する見込み。まだ確定ではないですが、近々発表になるでしょう。

 

コメント

  1. トム より:

    大方の予想通り、ラポルタに決まりました。

    現在のバルサは、ピッチ内では下部組織出身者が活躍してベテランとも融合し、回復傾向を見せている。
    メッシへの信頼を柱にしている以上、メッシ中心のチーム作りを今後も進めていく事になるでしょう。
    チャビが監督として記録的な優勝を成し遂げたようですが、おそらく来季もクーマンが任期通り勤め上げるのではないかと思います。

    ただ問題はとにかく経済状態であり、巨大な借金をどうするかです。
    スポーツ部門やその他の改革は、全てその経済的問題をどうにかした後でないと、何もできないでしょう。
    ピッチ内の事はひとまずクーマンに任せ、内部人事やらの細かい事が終わったら、シーズンオフまでに問題解決の目処を付けておかないと、来季のマーケットにも対応できません。

    メッシの残留も経済問題を立て直せるかが肝になりそうですが、バルトメウを辞めさせラポルタが会長になった時点で、ハードルは2つクリアしたと思います。
    そこは楽観的になりたい。
    様々な意見があるようですが、今のバルサはメッシ無しには成り立ちませんし、メッシはバルサで引退するべきと思います。

    ラポルタも色々あるようですが、元々会長に清廉潔白さは求めてないので、ただバルサを正しい方向に向けてくれれば良いのです。
    少なくとも、前の任期でラポルタはそれは成し遂げています。
    ペップもラポルタとは上手くやれていたし、現選手の支持を受けている事も良い事です。

    問題は大きいですが、経済状態さえ何とかなれば、他は何とでもできます。
    ラポルタを全力応援します。

  2. ちゃんふじ より:

    ラポルタが前回会長になった時、ガスパール時代の放漫経営立て直しが課題だったので、今は同じ状況かも知れません。

    財政立て直しのために全ての選手に給料減額を強制してましたね。
    そして、前会長が連れてきた外国人選手の追い出しをやっていたと思います。
    (フィリップ・コクーが出て行ったのは今でも残念です。)

    メッシは出ていくのでしょうか?
    デヨングはずっとバルサにいて欲しいです。

    とは言えロナウジーニョの時代を作ったのは、間違いなくラポルタの功績ですから、これからに期待したいです。

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