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異例のソシオ総会:前理事会のやり残しが片付く

COVID-19の影響で延期されていた去年秋の総会が8ヶ月遅れで実施
2019/20シーズンの決算報告がようやく承認された

この前の日曜日、2021年6月20日。FCバルセロナにとって最も重要なイベントである、ソシオ総会が催されました。COVID-19の影響下にある今回はクラブ史上初めて、カンプノウでのオープンエアー開催。そこでの主役はやはりジョアン・ラポルタ会長だったわけですが、、、残念なことも含めてクラブの現状が示された機会だったので、非常にニッチな話題ながら取り上げてみましょう。

初のカンプノウ開催

FCバルセロナのソシオ総会なるものの詳細については後述するとして、クラブ理事会からソシオに対してシーズンの収支報告や予算の提案が行われ、基本的に粛々と決定が為されていったという認識で大丈夫です。総会で予算等が承認されなかった、なんて記憶はありません。

いつもはバルセロナ市内の大きなホールを用いて実施されるのですが、今はパンデミックの情勢下ゆえ、クラブ史上初めてカンプノウでの開催。グラウンドにしつらえられたステージに理事会のメンバーが並び、ソシオは1階正面スタンドに着席しています。

残念というか、何とかならないものかと思うのは、この大事な総会のためにカンプノウまで足を運んだソシオがわずか700人ちょっとだった点でありますよ。14万人のクラブ会員を抱えるFCバルセロナの重要議題が、それだけの人々の賛否で決まるわけですから。
もっとも、出席者は毎年少ないので、昨今の情勢下ではよく集まった方でしょうか。これはもう仕組みに問題がありますよね。

収支決算と予算の承認

さて今回のソシオ総会で承認された主立った議題は、次の4点です。

  • 2019/20シーズンの決算報告(賛成616、反対67、白票68)
  • 2020/21シーズンの予算(賛成578、反対71、白票94)
  • 5億2,500万ユーロの貸し付け(賛成588、反対28、白票43)
  • 4理事の理事会メンバー入り(賛成680、反対7、白票31)

2021/21シーズンが閉幕した後に2019/20の決算報告や2020/21の予算承認を行っているのは、この総会が本来であれば2020年10月頃に実施されるはずだったからです。不信任動議やらで窮地に追い込まれたバルトメウが、総会をすることが自分たちの任務だと主張していたのを思い出します。

しかしCOVID-19感染拡大により延期となり、この6月になってようやく開催できた。
その間にバルトメウ理事会は総退陣し、ラポルタ理事会が発足したので、新理事会が前理事会の決算に承認を求める奇妙な事態となっています。ただし会長曰く「もし不正が見つかれば、相応しい形で責任者を処分する。この承認は前理事会の責任を免除するものではない」とのこと。形式的にでも片付けなければ、次に進めませんからね。。

FCバルセロナ 2019/20シーズン決算:収入 8億5,500万ユーロ/支出 9億5,500万ユーロ/税金後の最終損失 9,700万ユーロ
FCバルセロナ 2020/21シーズン予算:収入 8億2,800万ユーロ/支出 7億9,600万ユーロ/税金後の最終利益 100万ユーロ(会計検査中なので、後日正式な額を報告)

ちなみにバルトメウ理事会の金庫番副会長ジョルディ・モイシュが弁明のために登壇した際、ソシオの一部からはブーイングがなされたそうで。ラポルタが「怒りは分かるが敬意を」となだめています。

5億2,500万ユーロの融資

総会でのもうひとつの大きな議題がこちら、米国の企業ゴールドマンサックスに5億2,500万ユーロの融資を受ける点でした。返済期間は15年で、利息は最大3%と。数年先までのテレビ放映権を担保に、この巨額融資を取り付けています。動き出すのは8月から。
この分野の知識はさっぱりなので、クラブ公式サイトの説明文を読んでも理解できませんでしたが、このオペレーションによって短期負債を返済したり、当面の資金繰りが楽になる模様です。

これらをソシオに説明したのが、現在の金庫番副会長エドゥアルド・ロメウ。彼はラポルタたちが正式に理事会メンバーとなるために必要な担保を用意するうえでカギになった人物で、会長選挙時にはまだ陣営にいなかったとの理由から、この総会で理事会メンバー入りが承認されています。

で、このロメウさん、そんな難しい経済の話を分かりやすくソシオに説明したことで評価を大きく上げたらしく。すごく感じのいい教授の授業みたいだったようです。能力ある副会長に導かれ、クラブの財政がしっかり立ち直りますように(祈)。

スーペルリーガの参加については議題に上らず。当時ラポルタは、バルサがスーペルリーガに完全に参加するためには総会でソシオの承認を得る必要があると言っていましたが、今回その賛否を問わなかったのは、確立したプロジェクトがないのでソシオの信を問う意味がないからだとのことです。

ジョアン・ラポルタによる、スーペルリーガを断念したわけではないぞのスピーチは・・・ 記事更新エネルギーが枯渇してきたので割愛します(苦笑)。総会の終盤では、ソシオから会長への質疑応答も行われています。

ソシオ総会とは

ではいったい、FCバルセロナのソシオ総会はどういうものなのか。改めてちょっと掘り下げてみることにしましょう。あまり面白くない説明がしばらく続きますので、興味のある方は読んでみてください(馴染みのない規約につきグーグル先生の翻訳に手伝ってもらっています)。

ソシオ総会(Asamblea)はバルサのクラブ規約第18条、第19条により、FCバルセロナにおける最高位の運営機関である、と定められています。つまりは理事会よりも上。ここでの合意事項が、全クラブ会員と理事会に対して拘束力を持ちます。

その役割は、第20条によると
●理事会が提出する前会計年度のクラブの活動の公式記録または報告書の調査
●前会計年度の清算および帳簿、損益計算書に関して行われた監査の調査および承認
●全ての必要な報告書とともに次の会計年度の予算を検討および承認
●ソシオ会費の決定・・・
など16項目に及んでいます。クラブ運営に関係する重要項目はすべてここで議題として取り上げられ(特に重要なのが予算関連)、承認するかどうかをソシオの多数決で決定します。企業の株主総会みたいなものです。

ただし全てのソシオが参加できるわけではなく、代議員ソシオ(delegate)と呼ばれる人たちが代表として参加する。
その代議員になる要件は●成人であること、●ソシオ歴5年以上であること、●ソシオ資格が停止されていないことで、要件を満たしているソシオを対象に事前抽選が行われ(2.5%が無作為に選ばれる)、召喚状が送られます。出席が義務かどうかは未確認。義務だとしても、放棄するソシオが大半なのが実状です。

あとは総会開催時の理事会メンバー、クラブの各委員会メンバー、クラブの元会長、抽選で選ばれたサポーターズクラブ会長などが総会の出席者となります。合計すると4,000人弱ほどです。

問題点、、というか雑感

この最高位のクラブ運営機関であるソシオ総会ですが、毎年出席者は多くありません。今回は774人。元々、代議員ソシオに選ばれるのが有権ソシオの2.5%(4,457人)で、さらにその2割弱しか会場に行かないのですから、民主主義を謳うクラブとしてそれはどうなのよという数字です。
たしか2年前の総会も同じくらいだったので、現在の情勢下、しかも通常であればセットで開催されるカンプノウでのバルサ戦もない状況では、十分集まった方と言えるでしょうか。

でも大事な総会がそれって、残念に思います。もし自分がバルセロナ周辺に住んでいて、代議員ソシオに当選したなら絶対行くかというと、、どうだろう。各種選挙の投票には毎回行っているので、たぶん行くんじゃないだろうか。PTAで出席させられるなんとか学習会とかよりは全然いいはず・・・ でも総会、長いんですよね・・・ 今回は15時30分開式で、閉式が22時。マヂですか。毎回こんなに長かったっけ。あかん、やっぱり欠席するかも。

となるとクラブとしての努力も必要です。近年は企業の株主総会もウェブを通じて議題への賛否を示せるのですから、バルセロナだって導入するべきでしょう。そのあたりの時代に合ったクラブ規約の改正を早く行うことがラポルタ理事会には求められています。

そんなすご~く長い総会において、エネルギッシュに語りまくったジョアン・ラポルタが絶対的なる勝者だった模様で。我らの会長はスピーチの達人で、一切原稿を見ずに何分間でも喋れるんですよね。しかも聴衆を退屈させずに。特に新しい内容はなくとも、自信を持って成功を約束する人の言葉は希望を生み出しもしますから、出席したソシオ/ソシア諸氏はラポルタへの信頼度が増したんじゃないでしょうか。あとは結果を伴えるかどうか。

ということでソシオ総会ですが、2020/21シーズンの決算報告と2021/22シーズンの予算をソシオに問うラポルタ理事会にとって真の総会が秋に待っています。その時はCOVID-19も静まり、カンプノウに観客が入っていればいいですよね。

 

コメント

  1. トム より:

    一先ず、噂のあった5億ユーロの資金注入が現実だったようで、何よりです。
    バルトメウの適当運営による損害を修正する時間が稼げた、と良い方向に考えます。
    15年かけて返済する以上、返済に苦しむのも確かでしょうけどね…。

    経験の無いアビダルをSD起用して、あらゆる交渉で負け続けた事が、今の過大な人件費負担に繋がっている、という事も明らかになったのでは。
    運営に関する責任追求は、しっかりとやって欲しいです。
    バルサゲートで逮捕されるような男ですから。

    まあ過去ばかり見ていても仕方ありません。
    未来を見ていけば、コロナワクチンがようやく完成した事で、観客も戻ってくるでしょう。
    人が動けばお金も動き、経済的水準は年々回復していくと思われます。
    人件費も、ユーロとコパが終わった後、年俸削減を目標とした選手売買と契約更新が続き、それに伴う「控えめな」選手獲得も行われる。
    そうしてクーマン二年目を乗り切り、経済的回復の目処が立った後に、我らがチャビエル・エルナンデスが満を持して、カンプノウに登場。
    そんな未来を夢見て、ラポルタ政権を応援していきます。

    でも、スーパーリーグはもう諦めた方が良いと思いますよ、ラポルタさん。

  2. ロンド より:

    確か今度から誰でもソシオになれるようになるんじゃなかったでしたっけ?
    世界中のクレがソシオになって、その人たちにも代議員ソシオの招集届いて、熱量あっても物理的に参加できず、どんどん総会が形骸化する
    理事会としてはむしろそれを狙ってるんですかね
    なんなら無作為の抽選と言いながら、恣意的に代議員ソシオを選んでたり
    詳しいレギュレーションが分からないので、妄想ですが

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