アンス･ファティ「バルサ残留がいつも最優先だった」

カンテラーノがクラブとの契約を5年間延長（2027年まで）、解除金は10億ユーロに
誰もメッシにはなれないので、自分の道を進んでいくと抱負を語る

FCバルセロナとアンス･ファティによる契約更新に伴う記念儀式が10月21日（木）、Auditori 1899にて行われました。通常はオフィスで会長たちと契約書に署名をし、写真を撮ってバルサTVのインタビューで感想を語って終わる契約更新ですが、報道陣を集めた記者会見をしてしまうところが特別の新10番。アンスはそこで「バルサでの成功が夢だ」とクラブ一筋を強調しています。

契約更新の記者会見

バルセロナによるアンス･ファティ（18）への“防御シールド”が完成しました。
それは2027年6月末までとなる新契約で、契約解除金は先週契約更新したぺドリと同額でメガ盛りの10億ユーロ。日本円にすると1,320億円ほどになり、“クラブとしてはこの選手を出す気はないし、選手にも他クラブのオファーに耳を貸すつもりはないですから手を出してくるな”とのメッセージです。

レオ･メッシの背番号10を継承するカンテラーノの契約更新ですから、扱いも別格です。Auditori 1899に報道陣を集め、ジョアン･ラポルタ会長、ラファ･ユステ副会長、マテウ･アレマニー蹴球ディレクターが同席しての記者会見。アンスもネイビーのスーツで決めていますね。

以下は記者会見におけるアンス･ファティのコメントです。18歳らしからぬ成熟を示しつつも、謙虚さは忘れていない。浮き足立ってもいない。しっかりした子です。

■バルサとの契約更新が完了し「僕の夢はいつだってここで成功し、ここで成長することでした。幸運なことに僕はこれからもそれを続けていきます。人として選手として向上していくために、日々ハードワークし、そして自分のベストをクラブに提供していきます」

■今後の現状と抱負「クラブにいる全員で力を合わせ、これから数年で僕らが可能なかぎり上に行けるよう努力していきます。僕だけではなく、スタッフ、会長、選手、全員の仕事だと思います。最終的には日々を生きていくことで、将来のことは誰にも分かりませんが、日々ハードワークすることでより良くなっていけるのです」

■ラ･マシアの先人たち（動画の9分45秒あたり）「彼らのようになるのが夢です。自分はまだ何も成し遂げてはいないので、自分の道を作るために努力し続けていかなければなりません。僕には改善の余地がたくさんあります。それは毎日の努力によってのみ達成できることです。自分はまだ何も成してはいないですから、彼らのようなキャリアにできればと願っています」

■更新交渉について「ジョルジュ（メンデス）には最初の日から、自分の第一選択肢はいつもバルサで続けることだったと言ってきました。そして彼はそれを完璧に理解していた。クラブから信頼を受けて幸せです。僕たちの手元にはいくつかのオファーもありましたが、ここで成長し成功することが僕の希望でした」

■背番号10の後継者「僕を信頼してくれたクラブとカピタンたちにとても感謝をしています。他の番号を選ぶこともできましたが、僕はこの番号にしました。準備はできていました。僕はバルサにいるわけですし、全ての準備を整えておく必要がありますから。背番号10はプレッシャーではなく、自分が日々向上していくためのモチベーションです。誰もレオには並べません。僕は自分の道を進むべきなんです」

■膝の怪我について「怪我のことはもう忘れていて、今は膝よりも脚の疲れの方をより感じています。違和感がないので満足です。これが続くことを期待します」

■バルデスへの感謝「一緒に時間を過ごし、あらゆる感情を処理する上で手助けしてくれたビクトル･バルデス（ごく短期間フベニール監督として世話）に感謝します。もっと一緒にいられればよかったのですが。何もかもがあっという間に過ぎていきました」

■エル･クラシコ「クラシコでプレーするのはモチベーションです。マドリーは僕らの偉大なライバル。勝つためにチームは全力を尽くします。僕はチームを信頼しています。ただ改善しなければならないのも事実です。本拠地でプレーするのは有利な要素ですね」

2027年に25歳を迎える

クラブがよほど酷い裏切り行為をするとか、もっと壊滅的な財政状態にでもならない限り、2027年6月時点でもアンスがバルサにいる未来は堅いと思います。それまでに契約期間は延長されているでしょう。

彼は現在18歳なので、2027年には25歳を迎えています。スポーツ選手が絶頂期となる年齢であり、メッシが年間92ゴールの無双をしていたのもその頃なので、アンスはどうなっているだろうと夢想するとニヤニヤが止まりません。理事会はその時のために着実に土台を固めて準備をしておくこと。メッシとは見られなくなった新カンプノウで欧州を制覇する夢を、次はアンスたちの世代で見るのです。

同席したジョアン･ラポルタは言います。

「夢は私たちのアイデンティティである選手たちの、ラ･マシアで育った選手のイレブンを持つことです。それが私や理事会の仲間たちの夢です」

この会見を含め、今はまだちょっと仕立てられたスター感も多少あるアンスですし、メッシ退団による喪失感を新アイドルで埋めたいクレ心を18歳の子に乗っけるのは申し訳なくもありますが、メンタルも資質もあり守ってくれる家族もいるアンスなので、大丈夫かな。
あの若さで気負うことなく10番の責任を引き受ける強さに乾杯。あと数年もすれば真のカリスマでありスター選手となってカンプノウに君臨していることでしょう。ラポルタが夢見るラ･マシアイレブン、その中心核としてバルサを引っ張っているアンスを楽しみにしています。