ザルツブルグで驚異的にゴールを量産中。
スペインを離れて2年半。異国の地でゴールを量産しまくっている元バルサ選手がいます。オーストリアのザルツブルグでプレーする、ジョナタン・ソリアーノ(28)がその人です。ジョニーは2010/11シーズンにバルサBで32ゴールをあげ、ルーチョチームのセグンダ3位に大貢献。結局トップチームには上がることなくモーツアルトの街へと旅立った彼なのですが、それは大正解でした。昨年は38試合で29ゴール、そして今季はここまで公式戦27試合で驚異の35ゴール。2月20日のELアヤックス戦でも50mゴラッソを叩き込み、大きな話題となっています。
言葉での苦労
EFE通信によるジョナタン・ソリアーノのインタビュー記事を見つけたのは、およそ1ヶ月ほど前のことです。他所のチームの選手、元バルサとは言ってもBチームのメンバーだった選手の記事を何故こんなに“キープ”していたのかは不思議なほどですが、どうしてかこのジョニーは気になってしまう。6日の現地メディアは国際親善試合の話題で盛り上がっており、個人的にそちらはさほど関心がないということで、ソリアーノを取り上げることにいたします^^
このインタビューでジョニーが何度も強調しているのは、ザルツブルグでの生活に大いに満足している点です。とはいえ、26年スペインで暮らしていた人間がオーストリアに移り住むのは簡単ではない。中でも一番難しいのは、言葉だと言います。
「言葉はおそらくマスターしてるけど、苦労するんだ。オーストリアには方言があってね、ドイツ語とは同じじゃない。それは例えば、ガリシアでスペイン語を学ぶような感じさ。あちらでもスペイン語は話すけれど、アクセントが独特。独自の語彙や話し方もある。ドイツでも同じで、オーストリア語はまた別物なんだ。チームにはウィーン出身の選手も、他の地方の選手もいる。ザルツブルグとウィーンでも話し方が違うんだよ。チームメイトたちが喋っているのを聞いてると、全く理解できないね。片方がウィーン式で話し、もう片方はザルツブルグ式で話す。ドイツ語は話さないよ。ただ、彼らが僕に話す時は、ドイツ語を使う。それはバスク人がカタランで話すようなものだよ」
遠い異国の地から、ソリアーノはスペインの厳しい状況(失業率25%)を見つめています。曰く、「ここの人たちはスペインで起こってることに当惑してる。あちらの政治や争い事や発言やらを、こちらでは理解できないんだ。説明を試みても、彼らは理解不能のままだよ。あれほど大きくてステキな国に、働かない人たちや自殺する人がいたりするのを彼らは理解できない」とのこと。ジョニーももどかしいことでしょう。
スペインで得られなかったものを、オーストリアで見つけた
ザルツブルグで大活躍中のジョナタン・ソリアーノの元へは、ドイツやスペインからの誘いも届いているようです。しかし彼は、現在の暮らしに満足をしている。ビッグクラブで一躍スターに、との考えはありません。「僕は28歳で結婚もしていて、こちらの学校に通ってる3人の娘たちもいる。試合にも出ているし、何年間も戦ってきた後、結局のところ今が幸せなんだ。ここで僕は、スペインでは見つけられなかったものを見つけた。リーガで優勝し、UEFAの大会に出て、チームの中心となる。それはあちらでは得られなかったことだよ」
そして。「時々、主要リーグに行きたくはないかって訊ねられるよ。そりゃ誰だって、大きなリーグは好きさ。でも招集を受けなかったり、20分しかプレー出来ない状況に戻ってどうなるだろう?僕はプレーがしたい。今は試合に出ているし、家族も快適に暮らしてる。クラブは僕を応援してくれてる。僕は満足してるよ」
ジョニーはまた、チャンピオンズで旋風を巻き起こしたマラガが今季は残留を争っている例を挙げ、スペインは「安定していない」と指摘。「オーストリアリーグはトップクラスではないけれど、個人的には大きなチームに在籍し、リーガタイトルや、ヨーロッパリーグ、さらにはチャンピオンズ出場を争えていることで落ち着きを手にしている」と述べています。
一方、ザルツブルグでこれほどの結果を残せるとは、想像はしていなかったとデランテロは言います。「バルセロナと同じように成果を上げようとはしてるけど、バルセロナは地元だったのに対し、ここは誰も知人がいなかったからね。知ってるのは妻と娘たちだけで、ほとんど誰とも話せなかった。先に何が待っているか、誰にも分からない。でも2年が経過し、自分の上げた成果には満足してるよ」
「たくさんの人が、僕はスペインに残るべきだったと言う。ゴールが決まってる今は更にね。でも最終的には、信頼の問題なんだ。残念ながら、スペインで僕は信頼を得られなかった。僕を先発で使ってくれる監督がいなかった。それでは結果を出すのは難しいよ。ここでの僕には、そんな問題はない。監督やクラブが僕を信頼してくれてるからね」
そしてソリアーノは言います。「スペインにいた頃は僕を望まなかった人たちが、今僕を望んでるよ」
グアルディオラの影響力
もちろん、スペインにもジョニーを信頼した監督はいます。あなたを信頼し、大きな影響を与えた人物は誰でしたか?との問いに、長い熟考の後、彼はこう答えています。「グアルディオラだね。僕はとことん彼の味方だよ。グアルディオラからは多くのことを学んだ。(彼の下で)試合に出たのは1回だけだけれど、2回のトレーニングでものすごくたくさんのことを学んだんだ」
2回のトレーニングでそれほどの影響力を与えたペップ、おそるべし。ではグアルディオラの何がそんなにすごかったのか、ソリアーノの説明はこうです。「仕事の仕方だね。彼の会話を聞き、ラジオやテレビもそうなんだけれど、僕は彼が超インテリだと思ったんだ。トレーニングで彼がすることや彼が言うことには、全て意味がある。そしてそれは試合に反映されていた」
これだけの数字を残すと、夏のムンディアルもひょっとして・・・と最近はよく訊かれているらしいジョニー。けれども彼は、現実には壁は高いと考えています。「不可能ではないし、フットボルではどんなことも起こりえるけれど、可能性はものすごく低いよ。代表チームにいるのは世界や欧州の王者になってる選手たち。マイナーリーグの選手が呼ばれるのは難しい」
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