カンプノウのファンと、“とりあえず”の別れ。
2014/15シーズンのリーガ最終節 FCバルセロナ対デポルティーボ・ラ・コルーニャは、まさにチャビ・エルナンデスのための時間となりました。いつもであれば主役の一人となる2ゴールをあげたレオ・メッシも、今回ばかりはまったくの脇役。ついにバルサデビューを飾ったトーマス・ベルマーレンさんの方が準主役の扱いといったところです。この日の午後はチャビのために用意されたようなものでした。選手入場時にスタンドを彩ったモザイクとともに、バックスタンドに出現した巨大な横断幕(ティフォ。tifo)に始まり、試合途中のバルサの6番への拍手や声援、試合終了後のリーガ優勝杯の授与、スピーチ、胴上げ、紙吹雪と記念撮影などなど。こんなセレモニーによってバルサを送り出された選手はちょっと記憶になく、近いのはペップ監督くらいでしょうか。偉大なるカピタンよ、永遠なれです。
このデポルティーボ戦にてチャビ・エルナンデスに捧げられた出来事を、記録を兼ねてまとめていますと次のようになります。まずは選手入場時にカンプノウのスタンドに描き出されたモザイクと、ラテラルに登場した巨大なTIFOです。モザイクによってルーチョバルサのリーガ優勝を称えつつ(両ゴール裏にはCAMPIONS!の文字)、でっかいTIFOでチャビへの感謝を伝える。その横断幕には今回のキャッチフレーズである“# 6RACIES XAVI 17 TEMPORADE | 1998-2015”と記されています。“6”の字が“G”と似ているので、二つをかけて“6RACIES”(カタルーニャ語でありがとう)。
バルサ選手の入場をパシージョ(花道)で迎えてくれたデポルティーボの選手たちには感謝です。
リーガ祝勝会
試合はレオ・メッシの2ゴールでバルセロナが2点先行しつつも、終盤にプリメーラ残留への強い気持ちを見せたデポルティーボが2点を返して2-2で終了。チャビの大事な日なので勝ちたかったところですが、エンパテはまあ許される範囲内ですし、優勝したように喜ぶデポル選手たちの姿を見ていると、カンプノウに居合わせた人たちみんなにとって好い結果だったといえます。が、そうはいっても悔しそうなレオ・メッシの表情が印象的でした。ミュンヘンでバイエルンに負けた時も、レオはかなり不満そうで、そんな彼の負けず嫌いなところはステキです。
試合終了後はフィエスタの始まりです。20時半頃、招集外だった選手や子供たちもグラウンドの輪に集合。そしてスペインフットボル連盟のアンヘル・マリア・ビジャール会長によってリーガ優勝杯を手渡されたのはもちろんカピタンのチャビ・エルナンデスでした。バルサの6番が誇らしげにトロフィーを掲げると、グラウンドには盛大にバルサカラーの紙吹雪が舞い、スピーカーからは定番ソングの“WE ARE THE CHAMPIONS”(QUEEN)が流れる。このシーンを味わうためにチームは1シーズンを戦い、ファンは彼らを支えているわけですから、この紙吹雪と選手たちの歓喜は何度見ても格別です。今季はどうぞあと2回、よろしくお願いします。チームはトロフィーとともにグラウンドを一周。子供たちも一緒で、最高の雰囲気。
グラウンドを回り、スタンドのファンと喜びを分かち合った後は、再び中央に集まって記念撮影、そしてルイス・エンリケ監督のスピーチです。“ルイ~ス・エンリ~ケ”コールに手を上げ、ミスターは言います。「まず最初に、選手たち、彼らの家族、スタッフテクニコ、このクラブの一員である全ての人たちを祝福したい。彼らの振る舞いやプロフェッショナル精神はすばらしいものだった。第二にキミたちファンのサポートと信頼に感謝するよ。ファンは私たちを良い時だけでなく、疑問を持たれている時も支えてくれた」
そしてルーチョはこう続けました。「最後に、あと15日後にまたここで会う約束をしよう。バルサをより偉大なクラブとするために、選手たちが全てを出し尽くすことを私は確信しているからね。ビスカ・バルサ、ビスカ・カタルーニャ」
続いて、第二カピタンのアンドレス・イニエスタが、娘のバレリアちゃんの手をとって登場。監督と同様に、またここで会いましょうとのメッセージをファンへと送りました。「今日はリーガ優勝を祝えて、みんなにとってとても特別な日だね。でも僕らはコパとチャンピオンズも獲りたいと思っているんだ。6月7日にみんなともう一度、タイトルを祝い合いたい」。そして。「唯一の選手であり、レジェンドにさよならを言える僕らは恵まれている。たくさんのことを教えてくれた彼に、僕らはありがとうと言いたいんだ。ビスカ・バルサ、ビスカ・カタルーニャ」
「まだ終わってはいない」
ドン・アンドレスのスピーチ後、カンプノウのスクリーンには“XAVI 24 anys de futbol inoblidable”(チャビ 忘れ得ぬ24年間)と題されたビデオが上映されます。クレの涙腺を刺激する2分54秒。ここからはチャビ送別会の始まりです。
そのビデオを目に涙を浮かべながら見たチャビは、次々に流れ出る涙を手で拭いながらファンに語り掛けました。「みんな、本当にありがとう。みんなのおかげで僕は世界で一番幸せな男だよ。今日も、バルサでのこの17年間もね。僕は世界で一番幸せだ。誰がなんと言おうと、僕らは世界で最高のクラブだよ。ムーチャス・グラシアス」
「妻や両親、二人の兄弟と妹、義理の両親、友人たちにありがとうと言いたい。キミたちは僕にとって絶対的な存在だ。みんなありがとう」
「そして最後に、15日後にみんなとまたここで会う約束をするよ。まだ終わってはいないんだ。僕らはコパとチャンピオンズを欲しているからね。ビスカ・バルサ、ビスカ・カタルーニャ」
スピーチを終えたチャビ・エルナンデスはベンチで夫の様子を見守っていたヌリア夫人と抱擁を交わし、紙吹雪に包まれながらひとりでグラウンドを一周。その間にチームメイトたちは胸に“#6RACIES XAVI”、背中に“6”と記されたTシャツに着替えていて、戻ってきたレジェンドを胴上げで称えています。これだけファンや仲間に愛され、温かく送り出される選手がどれだけいましょう。寂しそうな表情のレオ、なにを思う。最後は各選手のご夫人たちが祝いの輪に加わり、チャビ夫妻とトロフィーを中心にして記念撮影など。
スビサレッタも称えるに相応しい
フィエスタを終え、ロッカールームへと引き上げる前、チャビ・エルナンデスはカナル・プルスのマイクに向かって幾つかのコメントをしています。「涙を堪えるのは不可能だったよ。頭の中をいろんな感情や思い出がよぎるんだ。なんとか我慢しようとはしたんだけど、妻や両親、友人たちを見るともうダメだね。僕はものすごく幸せだし、とても満足してる。これ以上の幸せは無理だろう。すばらしいキャリアだったし、とても誇らしいよ」
「トリプレーテを達成したいね。簡単にはいかないだろうし、アスレティックやユーベの手強さを僕らは知っているけど、上手くいってほしい。もっとトロフィーを掲げて、ここでもう一度フィエスタをしたいんだ」
「バルサのことはとても恋しく思うことだろう。ファンやロッカールームやカンプノウや、選手たちや、全てをね。僕はこのユニフォームを25年間着てきたんだ、簡単にはいかないよ」
そしてひとしきりインタビューを終え、「ありがとう」とチームメイトたちの輪の中に戻って行ったチャビだったのですが、彼はなにかを思い出した、ともう一度記者さんの元へと戻ってきてこう言いました。「アンドレ・スビサレッタのことを言っておきたいんだ。かなり神経質になっていて、彼の名前を出してなかったから。彼のことも称えたい。彼はそれに相応しいからね」。ええ人や。
ということでチャビのさよならフィエスタでしたが、彼やルイス・エンリケ、イニエスタが言及しているように、物語はまだ終わってはいません。これからは次なる目標であるコパとチャンピオンズの決勝で勝利し、残る2つのタイトルを獲得しなければならない。大きな耳型のトロフィーをベルリンから持ち帰り、6月7日に再びカンプノウで紙吹雪を舞わせたい!4年ぶりの大パレードをしたい!約束の実現、信じてます!カピタンとの本当のさよならはその時であります。ビスカ・バルサ!
コメント
Gracies gran capitán Xavi hernandez6!!
Gracies el gran capitán Xavi hernandez6!!