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個人突破力の強化

ひとりで崩せる選手を加えることが重要と。

スペイン語のフットボル記事を見ていると、日本語では上手く説明しにくい単語がよく登場します。そのひとつが“desbordar”で、辞書を引くと“あふれ出す”とか“こぼれる”とかの意味がまず載っている。しかしながらフットボルにおいて“彼はdesbordeのある選手だね”というと、それは縦への突破力のある選手を意味し、1対1で相手を打ち負かせる選手を説明する時に使われる単語です。それがどうしたのかと言いますと、ルイス・エンリケは来季のバルセロナを、よりdesbordeのあるチームにしたいと望んでいるのだそうです。もっとがんがん勝負を仕掛け、局地戦で相手を上回ることが次に狙う進化ポイントとなります。

局地戦で優位に立てる選手たち

2014年夏にタタ・マルティーノからチームを引き継いだルイス・エンリケが、監督就任会見で掲げたのはバルサをより戦術的引き出しの多いチームにする目標でした。タタさんが試み、挫折した速攻の要素をバルサに取り入れ、より先の読めないチームに変えていく。当初はパズルの解探しに苦労していたルーチョでしたが、ルイス・スアレスを中央に据え、メッシを右に置くことでピースがハマり、そのカウンターからの決定力は歴史的トリプレーテの達成の大きな原動力となりました。

そしてそのライバルたちをことごとく粉砕してきたチームを、FIFA制裁による縛りのある中でどう向上させていくか。それが前述のdesbordeで、守備バランスを崩す能力のある選手たちを加えることによる突破力の増加だと22日付のSPORT紙は説明しています。それによってアレイシ・ビダルの獲得やデニス・スアレスの呼び戻しも説明がつくと。ポール・ポグバもその路線を狙っての補強(候補)のようです。

アレイシ・ビダルは元々がエストレーモで、ウナイ・エメリによって今季後半に右ラテラルへとコンバートされた選手です。よって攻撃力を売りにしていて、スピードと1対1での戦いに長けている。むしろ守備はこれからで、バルサで試合に出られない4ヶ月間の間にそこを改善していくつもりだと入団会見で述べています。デニス・スアレスはメディアプンタやエストレーモをこなせる中盤選手で、ドリブルに定評がある。守備面はまだまだのようですが、攻撃での貢献が期待できます。

膠着状態を打破する選手

ルイス・エンリケがそういったアレイシ・ビダルやデニス・スアレス、あるいはラフィーニャに望んでいるのは、ベンチから試合を変える、起爆剤の選手になることだそうです。バルサとの試合で相手がまず守備から入るのはもう定番で、カンプノウを訪れるチームがパコ・ヘメス監督率いるラージョのように攻めてくることはほとんどない。そこで個人の突破力でラインを破れる選手を求めているらしく、後半にアレイシ・ビダルをアタッカーとして投入し、局面の打開を図る、、、というような場面もあるだろうとSPORTはいいます。まあたしかに、ペドロの持ち味はそっちではないですので、こじ開けたい場面でのオプション増加となりそうです。

一方ペドロ・ロドリゲスの持ち味は1対1での崩しではなく、絶え間なく動き回ることでのマーク外しと守備への貢献にあります。そんな彼が優先的に起用される場面といえば、バルサが勝っていて相手がラインを上げてくるような状況でしょうか。ドタバタした試合でボールを落ち着かせられる最上級のマエストロがいなくなったバルセロナですので、どのようにゲームを閉めていくのかも気になるところ。メッシを中盤に下げてペドロを入れる場面も何度かありましたし、そういう変化があればペドロの出番も確保されますかね。結局とのところ、最後はペドロが気になっちゃうのでした。

 

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