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レジェスマゴスの夜の、コパの王対決@1/8 final

是非、新年白星スタートを。

約2週間半に及ぶクリスマス休暇が終わり、スペインでも公式戦が再開されました。FCバルセロナの2017年初戦は、サン・マメスへと乗り込んでの国王杯1/8ファイナルの第1戦(イダ)。こんな早いラウンドで実現するのは少々勿体ない、アスレティック・クラブとの“コパの王対決”です。この1月5日から6日にかけてはクリスマスシーズンの最後を告げる東方三賢者の日(レジェス・マゴス)ですから、現地スポーツ紙の見出しはお決まりの「レジェス(王たち)の夜」。ただしビルバオファンではなく、バルセロニスタの元へとレジェスの贈り物が届くことに期待する夜です。

アスレティックに強いバルサ

“大聖堂”サン・マメスを訪れるにあたり、アスレティック対バルセロナに関するデータを紹介しておきますと、ルイス・エンリケが監督となって以降の同チームとの対戦結果は上々です。なんでもアスレティックはルーチョがバルサ監督となってから最も多く顔を合わせているチームらしく、この3年半で10度対戦。その結果はバルサから見て8勝1分1敗、得点24 失点10で、負けたのは昨季スーペルコパで大敗(4-0)したあの試合だけです。この時は、3日前にジョージアで欧州スーペルコパ(対セビージャ。延長戦後半、ペドロ弾で5-4勝利)を戦っていたのが響きました。

今季は8月28日、リーガ第2節で両チームは対戦しています。舞台は同じくサン・マメスで、イバン・ラキティッチのヘディング弾によってバルサが0-1の辛勝。バルセロナの内容は悪くなく、もう少し点差が開いてもおかしくはない試合でした(テル・ステーゲンの顔面ブロックなんてのもあった)。今シーズンここまで、“カテドラル”を陥落させたのはバルサだけだそうです。

一方でルーチョバルサは、新年一発目の試合で結果を出せていない、という好ましくないデータもあります。2014/15シーズンはリーガ第17節、鬼門アノエタでラ・レアルに1-0の敗北。ぷちクライシスへと陥りました。昨シーズンはリーガ第18節、エスパニョールとの敵地でのデルビーで、ゴール枠に嫌われ0-0のエンパテ。今年はコンペティションをコパに変え、良いスタートを切りたいところですが、サン・マメスでのイダに全力をぶつけてくるであろうバルベルデチームを攻略するのは、容易ではないでしょう。

前日会見でのルイス・エンリケは、エルネスト・バルベルデ率いるアスレティックについてこう警戒しています。「彼らは勇敢で、プレッシングによって背後にスペースを残すことを怖れず、リスクを冒して敵陣で相手チームを窒息させてくる。リーガでは内容の良かった私たちにそうやって問題を生じさせてきた」「私はコパに意欲を燃やす、ビッグマッチのアスレティックがくると思っているよ。困難な試合となるだろう」

ルイス・エンリケ「選手たちは休み前より良い状態」

今回のビルバオ遠征でのルーチョバルサの目標は、“カテドラル”から新年初白星を持ち帰り、願わくばカンプノウでの第2戦(ブエルタ)を待つことなく勝負の大勢を決してしまうことです。そのためにカギとなりますのは、ビルバオのハイプレスへの対応と、他のチームメイトたちよりも合計1週間ほど冬休みを多く貰った南米トリデンテ、メッシスアレスネイマールの活躍。前日会見にて彼ら3人のコンディションを訊ねられたルイス・エンリケは、クラックたちのプロ精神を称えて次のように述べています。

「バケーションを楽しんだ彼らだけれど、それは彼らのフィジカルが準備不十分だということではないからね。休日が他より多かった選手たちを含めた全員が、休みに入る前よりも良い状態になって戻ってきたよ。彼らの状態とトレーニングでのパフォーマンスの良さは、私にとって心地良い驚きだ。彼らの返答に私は満足している」

今季のクリスマス休暇はトリデンテたちにとって例年になく良い休養期間となっていますし、敵地でのイダで勝負を決めにいくように思えます。この賭けに成功すれば、来週の地元でのブエルタでローテーションすることも可能となる。ただし週末には中2日でのエル・マドリガル訪問が控えていますから(ビジャレアルの11失点はリーガ最少)、トリデンテの一角は温存されるかもしれません。その場合、出番が来るのがパコ・アルカセルアルダ・トゥラン。特にパコを起用するかどうかについては、監督はこう言いました。

「私たちは一つのスカッドであり、全員が重要な戦力なんだ。私は出場時間の量やフォームによって選手を選ぶけれど、コンペティションによって区分することはない

先発イレブンでもうひとつ注目されるのは、冬休みの自主トレ中に負傷してしまったジャスペル・シレセンの代役として、誰がゴールを守るのかという点。正守護神テル・ステーゲンが選ばれる可能性が高そうですが、ジョルディ・マシップが今季の公式戦初出場となるかもしれません。監督は例によって、お茶を濁す返答に止まっています。

「負傷中の選手以外は、全員が試合に向けて準備をしている。その件にキミ(記者)が興味を持つのは理解するけれど、キミは私というものを理解するべきだろう。答えは明日になれば分かるよ。私がそれを最初に伝えるのは選手たちだ。私はコンペティションでポルテーロを分けているわけでなく、チームにとって最善となるように選んでいる」

「バルベルデはすばらしい監督」

アスレティック戦の前日会見では、相手チームを率いるのがバルセロナの次期監督候補の一人とされるエルネスト・バルベルデだということもあり、去就問題も(メディアにとっては)大きなテーマとなりました。過去の経緯からルイス・エンリケが契約延長について今話すとは考えにくいのですが、とにかく記者さんはこの件について再び訊ね、監督はいつものように回答を避けています。

「もし伝えるべきことがあるならば、それが今日であれ、私は報告するだろう。今はその件について話す時ではなく、アスレティックとの試合について話す時だ」

そして会見の最後、ペップ・グアルディオラが“自分の監督としてのキャリアは終わりに近付いている”と語った件に絡めて質問を受けた際、ルーチョは「未来は存在していないよ。私の場合は、より計画を立てた時に良からぬ物事がやってくる。だから現時点に集中し、一日一日を楽しむのがベストなんだ」とコメント。こういった去就に関する問答は、少なくともあと2ヶ月ほどは続いていくのでしょう。

バルベルデさんが自らの後任候補とウワサされている件について、ルーチョは彼への惜しみない賛辞でそれに答えています。「後任がウワサされるのはこの仕事では当然のことだ。良くも悪くも、監督に関するウワサはいつだって存在している。バルベルデはスペインで最もレベルの高い監督の一人だね。私は彼のアイディアや性格、プレーの伝え方が好きだよ。すばらしいレベルの監督だ」

このあと、もうひとつ気になるフレーズを挙げておきますと、それはコパで勝ち進んだ場合に非常に過密になる1月から2月にかけてのバルサの試合日程に関してです。「チームの前進具合を見るために、重要な2ヶ月となる」「これからローテーション頻度が少なくなるとは思ってない。試合は数多くあり、スカッド全員の力が必要だからね。2ヶ月で15試合となればすばらしいニュースだ。しかしそれに立ち向かうためには、チームブロックが必要になる。怪我人や出場停止もあるだろう。多くの引き出しが必要。私にはそれがあるので、活用していかなければならない

日本ではテレビ放送のないコパ1/8ですが、我々が見たくて悶絶するような好試合がサン・マメスで繰り広げられ、どこかの白いチームのようなスキャンダラス審判ではなく、フットボルでバルサが快勝しますことを期待しましょう。

 

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