監督としては初訪問となる生まれ故郷。
FCバルセロナはこの水曜(日本では木曜未明)、スポルティング・ヒホンとの重要な一戦を行います。ムンディアル・デ・クルブスのために延期されていた第16節で、ここで勝つことによってバルサは2位以下の各チームに対するアドバンテージを3つ上乗せできる。いわゆる“テーブルをどんと叩いてどうだ!と言える機会”ですので、是非ともこのチャンスは活かさなければなりません。そしてヒホンはルイス・エンリケの故郷であり、スポルティングの監督アベラルドは彼の子供時代からの親友ですから、こちらでも特別な試合。激しくも清々しい好試合になることを期待しています。
思い出のスタジアム、エル・モリノン
ルイス・エンリケ・マルティネスは1970年5月8日、アストゥリアス州ヒホンに生を受けました。スポルティング・ヒホンが運営するフットボルスクールに入門したのは11歳のこと。その後、幾つかの紆余曲折がありながらも1989年9月にトップデビューを果たしたルーチョは、ガッツ溢れるプレーで名選手への階段を上っていくことになります。エル・モリノンは彼にとって、思い出のたくさん詰まった特別なスタジアム。バルサ監督としての訪問はこれが初めてですし、彼がバルサBやセルタの監督だった時も、カテゴリが合わずに訪れる機会はなかったそうです。今回の試合は感慨深いものとなりましょう。
このスポルティング戦の前日会見にて、ルイス・エンリケはこう語っています。「私は死ぬまでスポルティンギスタだから、特別で難しい試合となるだろう。けれどもバルサの監督であるからには、目標とするのは常に勝利だ」、「私は自分が1000%ヒホン人だと思っているけれど、離れてずいぶん経つしね、私はプロフェッショナルだ。エル・モリノンは私にとって多くのことを意味する場所であり、家族もヒホンで暮らしている。ヒホンは私のカサ(我が家)だけれど、仕事第一だよ。重要な3ポイントを取りに行くさ」
ルーチョはまた、少年時代は「母親と一緒にスポルティングのフラッグを持ってエル・モリノンへと通い、一番賑やかなスタンドへと行ったよ」と述懐。1989年のトップデビューの日のエピソードとして、「おかしなことがあったんだよ。監督は僕に、ロッカールーム内でウォームアップをさせてね。担架の周りをぐるぐると回ってたよ」と明かしています。
「私も年を取ったよ。それはもう明らかだ。中年になった。あれから相手チームの一員としてエル・モリノンを訪れる機会はそう多くはなかったけれど、今回は特別なものになるだろう。夏にするピレス川岸の散策ようにね」
ルイス・エンリケは今、バルサでの連続無敗記録を持つ監督となりました。「勢いが止まることは望んでいないけれど、もしどこかで負けなければならないなら、それはエル・モリノンがいいね。私としては、さらに100試合続くことを願ってるけれども」
親友アベラルド
スポルティングの監督“ピトゥ”・アベラルドはルイス・エンリケの親友です。彼もまた1970年生まれのヒホン人で、トップデビューは1988年とほぼ同時期。エンリケとはその後、バルセロナでもチームメイトとなりました。
「アベラルドとは7歳の頃からの友人なんだ。一緒に学校へ通っていた仲で、プロになってからも多くの時間を共に過ごすという幸運に恵まれた。彼は私の人生における非常に重要な人物だし、とても優しい人だよ。彼と私は完璧な関係なんだ。時は私たちの関係をただ強めていったね」
「けれども監督として一緒にピッチにいたことはこれまでに一度もなかったし、ベンチで対戦するなんて想像もしてなかったよ。彼が監督として働くところは見たことがないので、私として言えるのは彼のチームについてだ。昨年のスポルティングはセグンダのベストチームとはいえない戦力でプリメーラへと昇格し、今年も少ない補強ながら残留の可能性はあると思う。経済的に厳しい状況でよく競争力を保っているよ。基本戦術は守備からのトランジションだね。もっと手段があったなら、より多くのことが出来たことだろう。彼らはリーガで最も激しいチームの一つだ」
ライバルたちとの勝点差を広げる好機
思い出のエル・モリノン、親友アベラルドを別とすれば、このスポルティング・ヒホン戦はマドリーの2チームとのポイント差をそれぞれ6と7に拡大するための重要な試合です。「直接のライバルたちとの差を広げる機会だね。ここで勝利することは、すばらしい結果となるだろう。けれどもそれによって勝負が決まるわけではない」
バルサ監督は今回のアストゥリアス遠征に18名のメンバーを招集。リハビリ中のラフィーニャほか、監督判断でマシップ、ドグラス、ジョルディ・アルバ、サンドロ、セルジ・ロベルトがリストから外れました。アルバがいない左ラテラルは、アドリアーノか、それともマティエウか…。
一方、スポルティングにはバルサからレンタル中のアレン・ハリロビッチがいます。「彼は非常に若い選手で、ヒホンでは出場時間を手にしている。私たちが求めていたのはそこなんだ。最近は先発ではなくなっているけれど、出場機会を活かせている。向上させていくべき点は幾つかあるにせよ、成長を続けており、進むべき道を進んでいるよ」
先日レオ・メッシが行い、大きな話題となったペナルティでは、南米トリデンテの仲の良さが再び強調されました。そのバルサ攻撃陣の良い関係を訊ねられ、「ベンゼマとご飯を食べに良く必要もないし、ベイルを家に呼ぶ必要もない。必要なのはピッチ内で息が合うことだけで、互いにキスをする必要もない」と語ったCR7さんですが、ルイス・エンリケの考えは少々異なっています。「ピッチの中だけでなく、友人として遠征や食事ができるというのは理想的だよ。それがピッチへと伝わっていくなら最高。あらゆる監督が望む状況だ」
そして5月21日にサンチャゴ・ベルナベウでブルース・スプリングスティーンのコンサートが入り、コパ決勝戦を行うことが出来なくなった件については、「私たちはそのコンサートには行けないね」と語ったルーチョでした。
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