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聖メッシ、マドリーを討つ

「マドリー風の勝ち方も好きだ」と喜ぶルイス・エンリケ。

リーガ第33節のベルナベウ決戦は、クラシコでは何年ぶりかというレオ・メッシの大活躍が際立った試合でした。クラシコ歴代最多得点記録(23)を持つクラックですから、当然マドリー戦はお手の物としているのですが、今回の活躍ぶりはそのなかでも圧巻。溢れる闘志で勝負を挑むレオを対峙する白い選手たちが止めるにはカード覚悟のファールしかなく、セルヒオ・ラモスが一発退場となったほかにも、審判がまともであればカゼミロマルセロも前半でロッカールーム送りとなっていたでしょう。そしてバルサでの公式戦500ゴールを後半追加タイムに突き刺し、劇的勝利をチームにもたらしてしまうスター性。どれだけ異次元の選手ですか。

劇的ゴールでバルセロニスタに歓喜をもたらしたD10S

勝ったから言えるわけですが、今回のクラシコは筋書きも痺れました。まずマドリーのプレッシングで始まり、苦手のセットプレーから先制点を奪われ、その直後にメッシのゴラッソで追いつき、後半再びピンチを迎えながらもラキティッチミサイルでリード。なんとか粘りつつも残り5分で追いつかれ、諦めかけたその時に聖メッシが現れて決着を付ける(崩れ落ちるマドリー選手)のですから、これ以上にクレに士気を注入する展開もなかなか無いでしょう。あれよあれよとマニータで勝つより、カタルシスがあるぶん盛り上がります。

カタルシスの理由は、またも審判に悪質なファールを見逃されていたマドリーに対し、我らの英雄メッシがフットボル的にお返しをした点にあります。退場王ラモスは赤いカードに相応しいタックルでピッチを去りましたが、前半にメッシの顔面に肘打ちをしたマルセロがカードも提示されず、2枚目のイエローで退場すべきカゼミロも審判に見逃された。きゃつがほくそ笑んでいる映像は、クレに嫌悪感を起こすものでした。

そしてバルサは10人のマドリーに守備的な脆さから85分に同点に追いつかれ、なんだよサン・ジョルディは今回もバルセロナに厳しいな、選手たちはこんなによく戦っているのにまた白組さんの勝負強さとやらにやられるのか、と思っていた矢先の、大エースの土壇場でのあのゴラッソ。正義云々はないですが、いつも幸運に味方されるマドリーをチーム一丸となった最後の攻めで打ち破り(あの時間でのセルジ・ロベルトの推進ドリブルはお見事!)、メッシが仕上げての勝利ですから最高であります。竜退治のサン・ジョルディはメッシだった!なんてベタなことを言いたくなるくらい最高です。

崩れ落ちるマドリー選手たち、絶句するベルナベウの映像は何度見ても痺れます。悪趣味だろうと何だろうと、心底痺れるんだから仕方がない。カンプノウでは退場王の一撃にやられましたので、ちょっぴり利子を付けてお返しです。最後まで諦めなかった選手たちに感謝。ありがとう、バルサ。ありがとう、メッシ

そしてレオ、バルサでの公式戦500ゴール達成おめでとう。この舞台で、あのタイミングでこんな並外れた記録を達成するなんて、世界最高選手にしか出来ませぬ。

ルイス・エンリケ「メッシは食事の時も決定的」

試合終了後のインタビューで、「今日は全てのクレにとって最高のサン・ジョルディの日になるね」と勝利を祝ったルイス・エンリケ。サンティアゴ・ベルナベウで劇的な白星を手にしたことに関し、監督が語ったのはファンへの感謝でした。「このチームを動かしているのは、ファンの振る舞いなんだ。チャンピオンズのユベントス戦では、私たちが敗退するにもかかわらず、ファンはチームを励ましてくれた。あの行為を私たちは決して忘れないし、今日は大きな喜びでお返しができたね

メッシの決勝ゴールについては、「アディショナルタイムで勝つなんてマドリー流だけれど、私たちとしてもこういう勝ち方は好きだよ。こういう勝ち方をすると士気が注入される」と感想を語ったバルサ監督。「メッシは自宅で食事をし散る時でも決定的なんだ」とルーチョジョークを交えつつ、「500ゴールなんてのは選ばれたものだけが到達できる数字で、このスタジアムでの決勝点になったのだから、レオ・メッシ個人としてだけでなく、バルセロニズモの歴史においても語り継がれるゴールになるだろうね」とクラックを称えています。

戦術面に関しては「レオはいつもピッチ中央で優位な状況を作ってくれるので、私たちとしては可能なかぎり彼がプレーに参加することを目指している。中央は相手選手の密度が高く、プレー難易度はより高くなるけれど、今日のレオはものすごく関与をしていたね。その他のチームメイトたちが相手のマークを引き寄せなければならないんだ」と説明。しつこくメッシについて質問されたミスターは最後には「もしあなたたちが望むなら、メッシが試合を決めたことを謝るよ」とも言ったようです。

ルイス・エンリケはまた今季の個人的な感想として「このシーズンは5年分くらいのしんどさがある。良いこともそんなに良くないことも、いろんなことがあった。2-2にされた時は恐ろしく凹んだけれど、選手たちにはそこからやり直す力があり、最後の瞬間に勝ってくれた。私たち全員が望んだ結末だったよ」ともコメントしています。

上下動の激しい今季はファンにとっても一喜一憂して疲れるシーズンですが、現場の選手とスタッフ陣にとっては比べものにならぬほど大変でしょう。でも長かったリーガもあと5試合で終了。せっかくベルナベウで勝点3を得られたのですから、次に取りこぼしてズッコケることなく最後まで走りきりましょう。今週を乗り切れば、あとは(不本意ながら)週末だけですし。

 

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