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ロナルド・アラウホ:ぐだぐだ補強政策で見つけた“当たりくじ”

疑問符付きでの入団ではあったが、資質と努力ですぐさま高評価を勝ち取ったウルグアイ人
バレンシア戦では得点嗅覚を活かし、見事なゴールを決めて見せた

二・三歩進んではまた一歩下がる、そんなシーズンを送っているクーマンバルサのなかで、楽しみなのは若手選手たちの成長です。若者たちを起用せざるを得ないスカッド事情もあるにせよ、賭ける若者たちがいることを幸せに感じ、未来のために畑を耕す一年だと思えば勝ちが続かなくとも慰められる。またもやカンプノウで勝点を逃したバレンシア戦では、ロナルド・アラウホが良い働きを見せてくれました。

失敗だらけのオペレーション・ハーバード

オペレーション・ハーバードOperación Harvard)」なる言葉をご存じでしょうか。わたくしは知りませんでした(汗)

このたいそうな名前の付いた作戦は、かつてのフットボール部門責任者ペップ・セグラ(2019年7月に解任)がラ・マシアにて行った政策です。
フィリアル(Bチーム)やフベニールA(U-19)に外国人、主に南米人選手を加入させるもので、世界最高峰だと自画自賛するバルサアカデミーの門戸を開き、無料に近い若手を獲得しては資質を開花させてどうこうしようというのが目論見。

聞こえは良いんですが、問題は肝心の資質に疑問符が付く選手がぞろぞろやって来た点でして、改めて振り返ると、ここ数年のバルサBとフベニールは枚挙にいとまがないほどに謎補強が行われています。

2016年1月のロベルト・ゴンサルベス(フルミネンセから半年レンタル、公式戦出場なし)を皮切りに、スイス人のジェレミー・ギジェメノ(Servette)、ガンビア人のアラサナ・マネー(アスパイア・アカデミー)、ナイジェリア人のエセキエル・バッセー(Enyimba)、ウルグアイ人のサンティアゴ・ブエノ(ペララダ)、ブラジル人のマルロン・サントス(フルミネンセ)、ビティーニョ(パルメイラス)、ガブリエル・ノバエス(サンパウロ)、英国人のマルクス・マクギュエイン(アーセナル)、カナダ人のバル・タブラ(モントリオール・インパクト)、セネガル人のムッサ・ワゲ(KAS Eupen)などなど。ぼほぼ戦力になってないが逆に見事・・・。今クーマンチームにいるマテウス・フェルナンデス(パルメイラス)も謎すぎます。

デ・ヨングの代理人の息子とか、他にもまだ何人もいるのですが、確かなのはバルトメウ時代の5年間にフィリアルとフベニールに多くの外国人選手が加入し、そのほとんどがまともな出番なく去って行ったことです。

外国人選手を入団させるということは、一時にしても割を食うカンテラーノたちが出てくるわけで、加わるのが有無をいわさぬ実力者であったりチーム力を上昇させる選手ならまだしも、元々クラブにいる子たちに敵わないのであれば獲得する意味はどこにあったのかと大いに疑問・・・のオペレーションです。

唯一(?)のオペレーション成功例

そして・・・です。もうお気づきだとは思いますが、この記事で主役となるロナルド・アラウホもこの“オペレーション・ハーバード”による入団選手となります。

2018年夏にウルグアイのクラブ、CAボストン・リーベルから19歳のセントラルを獲得した際には「ああ、また南米選手ですか」みたいな雰囲気だったと思うのですが、程なくして「お、こいつは違うぞ、将来性あるぞ」との評価に変わっていった。
アラウホはウルグアイ人選手らしく大きな体格、強いフィジカル、当たりの強さを備えつつ、バルサらしいボール扱いにも対応できる力を見せたわけです。

フィジカルがあっても全然ボールをつなげなければバルサで生き残れないけれど、そこに資質があるなら「他とは違うタイプの期待株」となる。加えてアラウホにはリーダーシップもあり、ハードワークも惜しまない選手だったことからバルサB監督のガルシア・ピミエンタも高く評価しました。アラウホは入団2年目にはフィリアルのカピタンの1人に選ばれてるんですよね。
アラウホだけで言うと、170万ユーロ(+変動額)はお得な投資でありました。

絶対に利益を生むのに大好きな転売ビジネスにしなかったのは、セントラル陣が手薄だったからか、それとも彼の将来性を確信していたからか。トディボはあっさりと手放しているので、アラウホには技術部門からの強い残留要望があったのでしょう。

小さな頃は点取り屋

ロナルド・アラウホは先日のバレンシア戦にて見事なゴールを決めています。相手ゴール前の密集地帯にて、バウンドするボールを半チレーナで豪快に叩き込んでの得点。これはデフェンサのものではないというシュートでしたが、彼はプロデビューした17歳当時まで9番をやっていたんだそうです。なるほど。

少年時代にはデランテロをやっていたけれどセントラルで大成した選手、といえばバルサではカルラス・プジョル先輩が思い浮かびます。ウルグアイ人ではディエゴ・ゴディンも元々はストライカーだったような。闘争心あるプロの鑑たちです。

セントラルとなっても得点感覚を失わないアラウホは昨シーズン、バルサBにて3得点3アシスト(20試合)を記録しています。バルサ初年度となる2018/19も3得点(22試合)。
12月21日版MDによると彼は攻撃参加が大好きで、許されるのであればどんどんシュートを打ちたいタイプの選手だそうなので(今は守備第一と自重している)、これからもセットプレーでは元デランテロらしいプレーが見られるんじゃないでしょうか。

本業である守備面でも良い仕事をしていて、バレンシア戦ではボール奪取6回、パスカット3回、そしてファール0回がすばらしい。バレンシア戦終了後、ロナルド・クーマンは現役時代と同じ背番号を付ける“後輩”をこう称えています。

「彼は勇気のあるところを示しているよ。そして向上が必要であることも知っている。フィジカルは非常に強く、大きな未来のある子だ。背番号4をつけて何年も(バルサで)続けていくことを願っているよ」

アラウホがいることで、ジェラール・ピケ不在のダメージはそこそこで収まっている。これを機にもっと成長し、バルサの次世代を担う選手になることを期待です。早めにEUのパスポートが欲しい。

 

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