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激しさの欠如→負ける

バルサのすべきことをセルタにやられた。

ここまでのリーガ4試合を唯一4連勝とし、順位表の最上段を守っていたFCバルセロナがさっぱりなフットボルによってセルタ・デ・ビーゴに4-1の完敗。それによって首位の座をセルタ、ビジャレアル(とマドリー)に譲り渡すこととなりました。敗因は審判のジャッジ云々ではなく、求められるフットボルを全くできなかったこと。セルタの出来も素晴らしかったとはいえ、4点も奪われてしまっては試合にはなりません。まずは守備のあり方を根本的に見直し、昨シーズンのチーム一丸となったプレーを取り戻さなければならない。それがなければ、また同じような敗北は繰り返されましょう。

全面的にセルタが圧倒

前節までの開幕4試合を3勝1分(得点10、失点5)と好成績をあげ、数日前にはサンチェス・ピスファンも攻略(1-2)して勢いに乗っているセルタ・デ・ビーゴとの試合が、激しく厳しいものになるであろうことは十分に予測できました。バルサ監督となる前はガリシアチームを率いていたルイス・エンリケも前日会見にて、「最高に難しい試合となるだろう」とセルタの前線からのプレッシングを警戒。「結果は私たちのプレーレベル次第だ。こちらの出来が悪ければ、勝つ可能性はないだろう」とも述べていました。激しく行くことが生命線であると認識し、選手たちにもそう指示していたことでしょう。

しかしながら、ルーチョチームはその警戒を活かせずに惨敗をします。バルサの目指したことを実行したのはセルタでした。リズムあるパス回し、前線からのプレス、ポジショニング、中盤での数的優位、ルーズボールへの寄せの速さ、脅威を与えるデランテロたちの決定力など。バルサはポゼッションこそ五分五分でしたが、危険さの度合いではセルタに及ばず、攻撃はメッシネイマールイニエスタらが時折見せる個人技頼み。なによりも守備がおそろしく不安定でした。

今季8試合目にしてすでに3度目の4失点を喫したチームの守りを改善するために求められるもの、それはチームブロックとしての守り、守備での激しさでしょう。トリプレーテを達成した昨季の激しさが今季は見られず、相手にいい様にボールを展開されては窮地に陥ってしまっている。その激しさ不足が夏のツアーでの疲れに起因するものなのか、栄光を極めたが故の無意識の姿勢の欠如からなのか、トリデンテ依存なのかは分かりませんが、攻守両面で上手く回っていないのは確かです。昨季はトリデンテの破壊力が異常でしたが、守備もずっと安定していました。

ファールが多ければいいってもんじゃないですが、この試合でのファール数は18対4。負けてる試合の90分で4つしかファールがないってのはやはり気になりますし、戦いにかける意気込みの差は感じます。アトレティコ戦があの良さでしたから、姿勢の問題なのでしょうか。だとするとルーチョに求められるのはネジの締め直しとなります。あるいは、危機感による選手たちの自主的な一体感・激しさの回復とか。“メッシさん、お願いします!”では試合には勝てません。

躍動したセルタのトリデンテ

今回のバライドスでは、セルタが完全にバルセロナを上回っていました。バルサの生命線である中盤はアウグストラドハワスによって制圧され、前線とのつながりは分断。最終ラインから前線までの距離も長く、プレッシングが機能しませんでした。苦し紛れの縦パスをルイス・スアレスへと送り込んでも、速いチェックに遭ってボールをキープできない。それでも数度作り出したチャンスは、ネイマールの名誉の1点以外は全てセルタ守護神セルヒオ・アルバレスがブロックし、簡単にネットを揺らされ続けたテル・ステーゲンとは対照的でした。

1対1の局地戦でもノリートイアゴ・アスパスオレジャナたちの勝利。試合前のノリートは、「MSNに比べたら僕らなんてウ●コだよ」なんてうそぶいていましたが、結果は正反対でした。チーム・ガジェゴのフットボルは冴え、ワンタッチでの展開、急所を突いた速攻、コンビネーション、プレッシング、決定力とどれもが水色のバルサといった様子。ポイントとなる瞬間で確実にゴールを決めたあたりは称賛に値します。昨季バルサにやられたチームのファンはこんな感じだったんだろうな、と呑気に思ったり。

ルイス・エンリケが昨シーズンに何度も繰り返していたように、守備も攻撃もチーム全員で行うものであり、各ラインの連動があってこそ上手く守れるとは分かっていますが、この夜の守備陣は散々でした。ノリートのゴラッソではアルベスが中央の選手に絞りすぎたことで時間的猶予を与え、2点目はピケが圧力に屈してボールを失い、3点目は最終デフェンサのアルベスアスパスにあっさりソンブレロで抜かれ、4点目はサイドから簡単にクロスを上げられた、マスチェラーノも読み、動きが冴えずマテューは遅く(ラテラル起用はダメっぽい)、テル・ステーゲンは1対1で何も出来ずという具合。ダニの軽さとヘフェシートのらしからぬ感じが、特に心配なところです。テル・ステーゲンも、バルサのポルテーロである以上、1対1ではもうちょっとどうにかしてほしいんですよねぇ。

ルイス・エンリケ 「得点するのに苦労している」

試合終了後のルイス・エンリケはまず、会心のフットボルをしたセルタ・デ・ビーゴを称えています。「完璧な試合をしたセルタを祝福したい。彼らはゴールを生み出し、1対1の全てで勝ち、効率性の面でもフットボルの内容でも非常に良い試合をしたね」、「激しさへの不満はない。私たちは良かったと思う。もし良い評価をするなら、私たちは6-7回の決定機を作り出している。しかしながら、今季序盤の私たちは攻撃での効率性があまり良くはない。私たちの選手たちからすれば特にね。ゴールを決めるのに私たちは苦労している

敗因についてバルサ監督はさらにこう分析しました。「試合を決めたのはセルタのレベルだった。私たちは彼らに問題を起こさせようと試みたけれど、1対1で非常に苦しめられた。ノリートの先制点が決まってからは、彼らがこちらを上回っていたよ、、2点目はこちらのエラー絡みだった。相手が自分たちを上回っていた時は、どうこう言う必要はないさ私は今回のセルタのような、ごまかしのないフットボルをするチームに負けることを好む。セルタを祝い、この調子でいってくれるよう励ますよ」

セルタをひとしきり称えた後、ルイス・エンリケはこの結果について、こう悔しさを滲ませました。「4-1で負けて、私が満足して去ると考えているなら、それは違う。ただ、評価はもう一度試合を見てからにしたい。これは私たちがこれから直面するであろう困難の証明だよ」、「今シーズン私たちはこういった困難に直面していくことになるだろう。この敗北はそれを私たちに教えてくれたという点で役立つさ

この敗北がバルサ選手たちになんらかのポジティブな変化をもたらし、昨季のような激しさが甦りますように。そしてルイス・エンリケが適切な処方箋を持っていることを願う、9月の最終木曜日です。

 

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