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ルイス・エンリケ「勝つと期待していた」:ビジャノベンセ戦

アピールできなかった控え選手たち。

主力をごっそり休ませ、普段はベンチを温めることが多い選手たちとフィリアル(Bチーム)の若者たちとで編成されたコパ初戦仕様のバルセロナは、残念ながら望まれたようなプレーをすることも、結果を残すことも出来ませんでした。結果は時の運も影響しますので、0-0は仕方ないと考えるにしても、アピールタイムとなった選手たちの多くに強い意気込みが感じられなかったというのが残念でならず。やる気がなかったなんて事はないでしょうから、メンバーを入れ替えすぎたことで何をどうしていいやら分からなかったのでしょうか。大胆にいじりすぎた感はあります。

総入れ替えの先発イレブン

ブラボ、ピケ、ブスケツ、マスチェラーノ、ネイマール、スアレスをバルセロナに残し、遠征に帯同させたダニ・アルベス、ジョルディ・アルバ、ラキティッチもベンチ観戦。さらにイニエスタ、メッシ、ラフィーニャも現在負傷中ということで、ルイス・エンリケがロメロ・クエルダにて送り出した先発11人は非常に新鮮な顔ぶれとなりました。

今季初出場のマシップがゴールを守り、右ラテラルも約1年ぶりの先発のドグラスバルトラ、怪我明けのベルマーレンがセントラルで、左ラテラルはマテュー。中盤はグンバウサンペール、それにこれがトップデビューになるカプトゥム(19歳)のバルサBトリオ。前線は期待されたムニールサンドロ、それにアドリアーノという異色の組み合わせでした。誰が務めるのか?と少し話題になったカピタンは、アドリアーノが選ばれています(カピタンマークに相応しくないパフォーマンス、と批判を受ける)。

コパの初戦はこのような出番の少ない選手たちにチャンスが与えられることが多く、昨年も主力の大半は休んでいるのですが、その0-4で快勝したウエスカ戦との違いは、ラキティッチ、イニエスタ、ラフィーニャ、ペドロらレギュラー格の選手たちも出場していたことです。こういった試合でローテーションをするにしても先発級は2-3人出ているのが通常で、ここまで総入れ替えにするのはさすがに珍しい。選手たちを信頼してのことにしても、やり過ぎましたかね。

「無気力さは見受けられなかった」

そんな先発イレブンの出来に関し、試合後のルイス・エンリケはこう感想を述べました。「選手たちのプレーに無気力さは見られなかった。チームの出来には満足しているし、より多くの出場時間を手にすることによって、選手たちのパフォーマンスが上がることも知っているさ」、「出場時間に恵まれず、リズムの上がっていない選手にとっては、試合をプレーするのは簡単ではないんだ」、「私は監督として、選手全員の出場時間を管理しなければならない。自分の決断に私は満足している

0-0で終わった試合についての見解はこうです。「よく競い合った試合だったよ。私たちはプレーをコントロールしていたけれど、セットプレーで苦労をしていた。ゴールチャンスは作り出せなかったとはいえ、選手たちは求められた姿勢でプレーをしていたし、その点で私はチームに満足をしている」

控え選手中心のチームは輝きを放てず、得点機も作り出せなかったけれど、プレーへの姿勢には不満はないというミスター。クレの誰もが“姿勢は良かった!惜しかった!”と感じる試合の場合は、エンリケの言葉ももっと賛辞に満ちていますので、実際の満足度はそう高くはなさそうです。ルーチョはこうも言っています。「試合に勝つと期待していたし、そのために私たちは来たんだ。こういう結果になったので、全てはブエルタ次第だね」

対戦相手ビジャノベンセについては、「セグンダBでは良い状況にない彼らだけれど、とても良い試合をしていた。熱狂と高いモチベーションによって、よく競い、私たちに問題を生じさせていたよ」、「ビジャノベンセ・デラ・セレナの人々から受けた歓待を嬉しく思う。雰囲気もすばらしかったね。ここへ来たことに私はとても満足している」と称えたバルサ監督でした。

また、アドリアーノがカピタンを務めた件に関しては、「カルロス・ナバルによると、(今日の)チームで一番の古株だったから。彼がいければ、バルトラが担当していただろう」とのこと。マスチェラーノの出場停止が2試合だった件には、「出来るだけ少ない処分を望んでいた。このようなことを繰り返さないための教訓にはなると思う」と語っています。

デビュー戦でアピールしたカプトゥム

アピール機会を与えられたカンテラーノたちでは、明暗が分かれました。そこそこに良い印象を残せたのは、念願だったトップデビューを果たせたカメルーン人インテリオールのウィルフリド・カプトゥム。MD紙は彼を“縦への動きで貢献した唯一の選手で、1対1で相手を抜こうとしていた。単独でのプレーではあったが、トップチームでイニエスタのようになることを夢見ている。今は少しフィジカルが足りないが、それも今後得られるだろう”と評価しています。ちなみに彼の代理人はあのイバン・デラ・ペーニャです。視野の広さ、ボール扱い、高いテクニックなど、数年後にはトップチームの一員になっている資質は十分にあるという彼。これからどんどんステップアップしてほしいです。

ウィルフリド・カプトゥムのコメント
「時間が経つに連れて伸び伸びプレーできるようになったし、いろんな事を試せたよ」「フィーリングを掴むのに役立った」、「トップチームの選手たちと一緒にプレーするのは奇妙な感覚だったね。中盤の3人はフィリアルのチームメイトだったけど。僕らは偉大な選手たちのいるファンタスティックなチームに適応するようトライした。上手くやれたと思うよ」

「カンプノウでのブエルタ(第二戦)?ポジションを勝ち取って、カンプノウでプレーする機会を手にしたいと思う。これからハードにトレーニングをして、毎試合努力をして、ミスターが僕を呼ぶように確信させないとね

「僕は今から7年前、2008年にバルセロナへやってきて、最初の半年はサン・アンドレウでプレーしていた。それからアルベルト・プッチ(監督)のインファンティルBに加わったんだ。僕はエトー財団のチームの一人として育ったけれど、今は何人かの代理人がいる。財団とは連絡を取り続けているよ。財団へは感謝しつづけるだろう」

また、ついにトップチームでの出場機会を得たセルジ・サンペールもまたメディアから好い評価を受けています。前半はチーム全体がとほほなパフォーマンスでしたが、後半はグンバウカプトゥムとともにプレー内容が向上。サンペールはインテリジェントでテクニックのあるプレーによって持てる資質を示したと称されています(SPORT)。それでもまあ、ビジャノベンセを崩すためのアイディアや滑らかさは足りなかったわけですが・・・ 嗚呼もっと中盤のやり繰りに余裕があり、ドンラファのサポートがあったなら。

アイトール 「これからも戦い続けないと」

64分にカプトゥムと交代で登場し、トップデビューを飾ったアイトール・カンタラピエドラ(19)も野心あるプレーでチームに新鮮な空気を送り込んだ、と評価を受けています。この試合の唯一の交代選手であるアイトールは、左エストレーモとして貪欲に勝負を挑み、持ち前のスピードと大胆さでアピールをしていました。その彼は試合終了後、次のようにコメントをしています。

「バルセロナのトップチームでデビューして、すごく幸せだよ。デビューは僕の夢だったし、それが叶ったんだからね。でもこれからもハードワークをし、戦い続けないといけないんだ」、「祝いのメッセージ?帰りの移動中に見るよ。この試合で着たユニフォームは大事に取っておくつもりだよ」、「トップチームでプレーするのは少し難しかったけど、幸せだ」

「(交代出場の前のウンスエの指示)戦略的な説明を受けたり、意欲的にいくようにと言われたりしたんだ。試合に勝つためにピッチに出たよ」、「交代の直前まで、何も言われてはなかった。自分がデビューすることは知らなかったよ。ゴール裏に両親がいるのを見て、すごく胸が弾んだ

結果を出せなかったムニールとサンドロ

一方でいまひとつ成果をあげられなかったのは、トリデンテが揃って欠場したなかで得点を期待され、90分間プレーしたムニール・エル・ハッダディサンドロ・ラミレスでした。昨季の前半はセンセーションを起こした二人ですが、今季はまだ無得点が続いており、アピールの大チャンスだったこのビジャノベンセ戦でもゴールは訪れず。サンドロは後半に連続して惜しいシュートを放っているのですが、ムニールはこれといった見せ場を作れずにスタジアムを後にしています。

スアレスメッシのような理不尽な得点力をもったクラックでなければ、ゴールを決められるかどうかはチームのダイナミズムに影響を受けるわけで、全体としてイマイチだったこの試合でデランテロたちを責めるのはナンセンスですが、初の枠内シュートが64分のサンドロ、ってのは良くない。バルサの前線でやっていくには違いを見せる必要がありますから、好機を活かせなければ生き残ってはいけません。次のカンプノウでもチャンスは訪れるでしょうから、そっちでは是非!

アピールできなかったという点では、他の“控え選手たち”も似たようなものでした。要となる中盤がフィリアルの3人でしたから、各ラインがちぐはぐになるのは仕方ないのですが、それでもバルサらしからぬパフォーマンスに終始し、1ゴールも奪えなかったのは残念なこと。やっぱり控えは控えだった、との論調が現地メディアには目立っていますし、1月が近づくにつれ、補強の必要性が強調されるようにもなるでしょう。何はともあれ、12月2日のカンプノウ対決では良い試合が見られますように。

 

コメント

  1. レト より:

    3部ですら苦戦中のBチームで中盤を組んでしまったら・・という悪い予感が的中する形となってしまいました。
    1人しか交代しなかったのは若手への信頼ゆえだと思いますが、その信頼にすら応えられる気力がないほど今の若手は自信を失っているようですね。
    アイトールやカプトゥムにはチャンスが巡ってくる可能性がありますが、逆にサンペールのリーグデビューの見込みはさらに薄くなったと思います。

  2. silver より:

    イニエスタやラキティッチのようなトップチームの選手達に見られる創造力溢れるプレーは残念ながらなかったですね、、
    チーム全体として、終始落ち着きがないように思えました。(…ペドロ退団が痛いですね。)

    少ない出場機会ながらも、様々なポジションを器用にこなすアドリアーノは個人的に何年もお気に入りの選手なので、カピタンマークを巻いたのは非常に嬉しかったです。
    (今回のプレーはアレでしたが、、、)

    トリデンテの反則的な攻撃力と比べるのも少し気の毒に思えますが、ムニルとサンドロのイマイチ感は拭えないですね。まだトップチームに似合うアタッカーではないように感じました。

    何はともあれ、第二戦でしっかり勝ってほしいですね!