主力選手がごっそり欠場。
ヨーロッパ王者であるFCバルセロナにはクラブワールドカップ(ムンディアリート)なんてお勤めがあるため、他チームに先駆けてこの水曜日(日本では明日早朝4時半)に行われる国王杯1/16ファイナルの第一戦。相手はセグンダBに所属するビジャノベンセということで、出場機会の少ない選手たちやカンテラーノの出番となりそうです。ルイス・エンリケは今回のビジャノベンセ・デ・ラ・セレナ(エストレマドゥーラ)遠征メンバーから多くの主力選手たちを外し、代わりにバルサBから4選手を招集。トリデンテが揃って欠場するため、サンドロとムニールは気合が入っていることでしょう。
ルイス・エンリケ 「もっと選手を休ませたかった」
ルイス・エンリケはこのビジャノベンセ戦に16選手を招集しています。コパはレギュレーションで16人なのかと思いきや、過去のデータを見ると1/8ファイナルからは18選手が招集リストに入っている。1/16ファイナルではずっと16人だったので、ラウンドで登録数が変わるのでしょうか。
それはまあさておき、コパ初戦では例によって、監督は多くの主力選手たちに休養を与えています。今回はブラボ、ピケ、ブスケツ、マスチェラーノ、スアレス、ネイマールがリストに入らず、そろそろ復帰とされるイニエスタも招集見送り。その代わりにバルサBからジェラール・グンバウ、セルジ・サンペール、アイトール・カンタラピエドラ、カプトゥムの4人が呼ばれました。うちカンタラピエドラ(直訳すると歌石さん)とカプトゥムにとっては、トップデビューのビッグチャンスです。
前日会見のルイス・エンリケは、自ら選んだこのフィリアルの選手たちについて次のようにコメントしています。「カプトゥムは資質を備えたインテリオールの選手で、ラインとラインの間でプレーする、ボールの扱いが上手いといったバルサ流スタイルを持っている。興味深い選手だよ。アイトールは両サイドでプレーができる左利きの、得点力と飛び出しのある選手だ。他の選手を休ませるために、サンペールとグンバウも呼んだよ」
ルイス・エンリケとしては、可能であればもっと多くのカンテラーノを招集したかったのですが、コパのレギュレーション上それが出来ないことを残念がっています。「トップチームの選手がピッチに7人以上いなければならない、との制限があるからね。もっと選手を休ませたかったけれど、そういう規則なので仕方がない」(※ベンチに入れるだけなら、Bチームの選手を6人登録可能。同時出場が4人)
同様の理由で、コパの1/16ファイナルはかつてのような一発勝負が良いとするバルサ監督です。「コパのフォーマットはすでに少し変更があったけれど、日程を楽にするために、私としては全てのラウンドが一回勝負となってほしいね」
選手が100%と感じれば、復帰
日曜日のエイバル戦での復帰を見送り、このビジャノベンセ戦でも招集されなかったアンドレス・イニエスタの状態について質問を受けたルーチョの説明はこうでした。「別に不思議なことは何もないさ。選手が誰であれ、私たちはリスクを冒さないってことだよ。アンドレスはグループ練習に加わり、回復の最終段階にある。ここでは選手たちのコンディションが万全となり、彼ら自身もそう感じた時、彼らは起用可能な状態となる。ケースは人それぞれ。自分が100%の状態だとアンドレスが言えば、私たちは彼をリストに加えることだろう」
その説明からいけば、エイバル戦にフル出場したジェラール・ピケの状態は良いということになります。セントラルは少し前、“1年半ほど前から腰に痛みがある”と漏らし、エイバル戦でも腰に手を当てるシーンが気になりました。「私が知っているのは、彼が100%の状態であること。だから彼はプレーをしている」
バルセロナとしましては、レオ・メッシが11月のアルゼンチン代表戦に招集されなかったのは朗報。ルイス・エンリケも満足そうにこう延べています。「メッシが健康であることが、セニョール・マルティーノや私、アルゼンチンやバルサにとっての利益だよ」
その他、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長がメディアにて仄めかした“陰謀説”などの質問も当然受けたルーチョでしたが、その手の質問にはいつものように、「私はこれまでに1万回以上はフットボルや自分にコントロールできる事柄に集中していると言ってきた」、「選手たちから最大の成果を引き出すこと、ベストの仕事をすることに集中している」、と首を突っ込むことを拒んでいます。その彼が、この騒がしい状況に求めたのは忍耐でした。
「シーズンは長く、そのなかでは幾つもの障害を乗り越えていかなければならない。今の私たちはその最中なんだ。ダイナミズムは必ず変わるものだし、良くない流れの時は団結が求められる。そのための準備が必要となる。この逆境を克服する力を、私たちは誇りに感じているよ」「チームは今、居るべき場所に居るさ」
中盤と前線はカンテラーノ祭り
ということでビジャノベンセとのコパ1/16ファイナル・イダですが、年に数度のカンテラーノ祭りとなりそうな気配です。ルイス・スアレスとネイマールが呼ばれなかったことで、攻撃の多くはサンドロとムニールに懸かっています。彼らと共に前線を構成するのは、去年までフベニールにいたアイトール(19)でしょう。招集リストのデランテロは彼らだけ。こういう時にも、ジョーカーとなれるラフィーニャの離脱を痛く感じます。
ちなみにSPORT紙によると、トリデンテが揃って不在なのは1月15日のエルチェとの国王杯1/8第二戦(0-4)以来、47試合ぶりだそうで。その間に99ゴールを決めているという彼らがいないのは不安もありますが、若者たちが“試験”に合格してくれることを期待しましょう。
また中盤も似たような様子で、トップチームのセントロカンピスタはラキティッチのみ。グンバウとサンペール、それにカプトゥム(19)のうち2人はまず間違いなく先発起用されますし、むしろ中盤は全員フィリアルの選手たちかもしれません。カプトゥムは将来を期待されながらも怪我に苦しめられてきた選手ですから、ここで輝きを見せ、昇格への扉を開く一歩にしてほしいと思います。デフェンサはアルベス、ドグラス、バルトラ、ベルマーレン、マテュー、アルバが招集を受けています。ポルテーロはテル・ステーゲンかマシップか。
本日バルセロナを迎えるビジャノベンセは、年間予算30万ユーロほどの地方クラブでも予算6億ユーロのビッグクラブに一泡ふかせられる事を証明したい、との気合で試合に臨んでくるでしょう。彼らにとっては、一生にそう何度も訪れないビッグマッチ。この日のために芝生を張り替えるほどのモチベーションです。チケットはもちろん即日完売。
一方のバルサのモチベーションは、出場機会の少ない選手たちのアピール意欲です。今回はドグラスやアドリアーノ、サンドロ、ムニールあたりが“試験”を受けることになりますし、怪我明けのベルマーレンにとっても状態を見る良い機会。リズムを上げるために十分活用してほしいです。若者たち中心のバルサが真摯にプレーし、良い結果を持ち帰ることに期待であります。
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