マスチェ退場、スアレス負傷を乗り越え、延長戦で勝利。
苦しまずに勝てる決勝戦なんてものがどこにあるんだ、という前日会見でのルイス・エンリケの言葉のとおり、セビージャとの国王杯ファイナルは手に汗握る激闘となりました。今回バルセロナが歓喜の瞬間へとたどり着くために、フットボルの神様が用意した試練はなかなかにハードで。前半にマスチェラーノが退場になり、後半早くにルイス・スアレスも負傷でピッチを後にした時には、正直これは厳しいかもと思ってしまいました。しかしルーチョチームは、そこからのプレーが熱かった。絶対に優勝を諦めない、との気持ちがひしひしと伝わる試合を最終戦で見れて、さらに最後は勝ったわけですから、ファン冥利に尽きるというものです。
苦しんでの勝利
2015/16シーズンは、エメリセビージャとの激闘で始まり、エメリセビージャとの激闘で幕を閉じました。8月にトビリシを訪れて戦った欧州スーパーカップは、両チームが4点ずつ奪い合う殴り合いの末に延長戦へともつれ込み、114分のペドロ・ロドリゲス弾でバルサが辛うじて勝利。そしてシーズン最終戦となったこのビセンテ・カルデロンでのコパ決勝は0-0のままに延長戦へと入り、96分のジョルディ・アルバ弾が決勝点となっての勝利ですから(ネイマールが122分にイチゴ乗せ)、奇妙なつながりを感じます。
苦しんでのトロフィー獲得は共通していますが、試合展開では、トビリシとカルデロンでは大きく異なっていました。8月の対戦では、バルセロナは52分の時点で4-1とほぼ勝利をものにしておきながら、そこから3点返されての延長戦突入。ペナルティ合戦がちらつくなか、ペドロがネットを揺らすことでどうにかセビージャを下しました。
一方で今回は前半でハビエル・マスチェラーノが退場となり、56分にはルイス・スアレスが負傷交代するなど、一方的に逆風吹き荒れる中で耐え忍び、最後はカンペオンらしい強さでセビージャに競り勝っての栄冠です。際立っていたのはチーム全体から伝わる、絶対に勝つんだという気持ち。身体を張ってピンチを凌いだ際のブスケツ(だったと思う)の叫びには心痺れましたし、120分間集中を切らさず走り抜いての勝利は、美しいフットボルで圧倒するのとはまた違う味があります。
自己犠牲の精神と負けず魂
正直なところを言えば、戦術的に序盤から相手を凌駕して勝つバルサを見たいところではありました。しかしカルデロンでのルーチョチームは立ち上がりから一気に勝負を決めにいこうとするのではなく、どことなくセビージャの様子を見るようにプレー。イニエスタのパスを受けたルイス・スアレスが8分に惜しいシュートを放ちはしましたが、前半はシュート5本(枠内0)と決してスッキリとした内容ではなく、36分にハビエル・マスチェラーノが退場となったことで、その後の約60分近くを数的不利で戦わなければなりませんでした。0-0でハーフタイムを迎えたのは、テル・ステーゲンの好守によるところも大きいです。
しかし先にも書きましたように、特にルイス・スアレスが涙の負傷交代となってからのチーム全体の自己犠牲の精神と負けず魂は胸を打つものがありました。危なかった場面も身体を張って防ぎ、そこらのメンタルでは挫けそうになる試練に見舞われながらも流れが自分たちに来るまで凌ぎきったこと。後半アディショナルタイムにバネガが退場となって10人対10人になった時、クレは明るい結末を確信しました。疲労で足の重くなったセビージャが残したスペースは、バルサ攻撃陣にとって恰好の餌食でした。
延長戦に入っても長い距離を走り切り、ゴールを決められるジョルディ・アルバ。120分をまわっても走ってチャンスを作るネイマールの体力。決定的パスで2ゴールをアシストしたキングメッシ。32歳にして衰えるどころかレベルを上げている感すらあるドン・イニエスタ。危ないボールをことごとく弾き返し、文字どおり壁となっていたピッケンバウアー。セルヒオ・ブスケツの局面を読む目。その他にもアルベスやラキティッチや、あれだけ戦う姿勢を示して結果を出されては、試合運びにバルサらしさが無いとか不平不満は言えません。
両チームが死力を尽くして戦った試合を制しての、偉大な勝利。ウナイ・エメリ率いるヨーロッパリーグ王者は流石の手強さでしたし、彼らにこうして勝利できたことで嬉しさもひとしおです。長く険しかったシーズンの最後を飾るに相応しいエンディング。クラブ史上7回目となる歴史的二冠達成、本当におめでとう!いろいろあって落胆した時もありましたが、すばらしいシーズンでした。あとはミラノでアトレティコが大仕事をしてくれれば、バルセロニスタにとって最高ですね!グラシアス、チーム!バモス、アトレティコ!
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