身体を絞り、強い意欲を燃やしたことが効いた模様。
今年7月にアンドレ・ゴメス獲得が発表された時、最初に浮かんだ疑問は人員過多となる中盤でアルダ・トゥランに居場所はあるのか?でした。2015/16シーズンのアルダはアトレティコ時代の輝きがウソのように精彩を欠き、エウロコパでの出来も低調。どこか良いオファーが届くのであれば放出するのが最善ではないかとも思われ、期待より心配が先に立っていました。しかしふたを開けてみればアルダ2.0とでもいいますか、バージョアンアップされた動きで大活躍のトルコの魔術師。ネイマールからポジションを奪うには至らないにせよ、出場機会は多く得られるであろうことを確信させるパフォーマンスを披露しています。
別人のように変化
2016/17シーズンは始まったばかりゆえ、成功に満ちた1年となるかどうかは今後の継続次第ですが、アルダ・トゥランがそのプレーによって自らが死んでいないと証明したのは確かです。そこにはバルセロナやトルコで受けた批判をひっくり返してやるとの強い意志が感じられますし、夏の間にしっかりと準備をしてきたのも間違いありません。エウロコパに参加した選手の中で唯一プレシーズン初日から招集されたことも奮起を促したことでしょう。アルダ・トゥランは昨季最終日とは別人になってシウター・エスポルティーバに戻ってきました。
変身のカギを、9月7日のMD紙が分析しています。そこでポイントとして挙げられているのは■ダイエット ■心理面 ■前めのポジション ■ルーチョへの恩義の4点。証言などはないのであくまで推察ですが、心身の両面で準備をしたことに加えてチーム状況も彼に味方したと同紙はみています。
4kg痩せてシャープに
MD紙によりますと、アルダ・トゥランがこの夏にまず取り組んだのがダイエットです。昨年の彼は半年間ゲームに出られないことも影響したのでしょう、外見にシャープさを欠き、プレーも鈍重でした。その状態に対してルイス・エンリケからも一言あったと推察しますが、クラブは彼に対し食事改善メニューを提示。その指示に厳格に従い、助言されたものを食べてフィジカルトレーニングも行った結果、昨シーズン終了時点よりも4kgも減量することに成功したのだそうです。
ただ痩せただけでなく鍛えられての減量ですから、動きにもシャープさを増す。見た目ではそれほどの変化を感じませんが、言われてみれば頬あたりは細くなっている気もします。
動ける身体になったことに加えて、ネイマール不在のこのシーズン序盤は偽エストレーモを担当していることもプラスになったと考えられます。このポジションでのアルダは動きにある程度の自由が与えられていて、相手エリアに飛び込んだり、精度の高いパスで守備網を崩したりと楽しそうにプレーしている。その点で状況も彼に味方しました。
あとは約束事の増えるインテリオールでどうなるかですが、別ポジションで自信をつけることでゆとりを得るのはセルジ・ロベルトが証明していますし、上手くやりそうな期待感はあります。フォームも上がっていますし、少なくとも計算の出来る起爆剤としての評価は勝ち取ったといえましょう。
心理的な作用
そして心理面では、昨季とは違ってプレシーズンから試合に出られると分かっていたことが重要だったとMD紙は言います。昨年はFIFAとかいう組織の制裁によって年明けまでトレーニングしか行えず、最後まで実戦のリズムを得ることに苦労。しかし今季は最初から出場ができる上に、五輪でネイマールが不在となることが分かっていたわけですから、自主トレにも熱が入ったと容易に想像できます。エウロコパでの批判もあり、こなくそ、と日々走ったんじゃないでしょうか。
もうひとつの要素も心理面となりますが、ルイス・エンリケへの恩義もモチベーションを上げるのに役立ったとMDは見ています。元々3,400万+出来高700万ユーロの巨額投資でアルダを欲したのはルーチョですから、その彼が選手を信頼せずにどうするといえますが、ミスターはとにかくアルダを信頼していると一貫して言い続けてきました。その気持ちに応えるべく、トルコのセントロカンピスタは奮起した説。シメオネ軍団でレギュラーになれるのですから、根性に疑問はないですよね。
というアルダ復調のMD紙分析+ワタクシの雑感ですが、監督にチャンスを与えられても逃してしまっては成功を掴めないですから、ネイマール不在の状況を活用して“アルダ・トゥランは死なず!”と高らかに宣言できたのは彼の手柄です。そのあたりはさすが。本当の戦いはこれから訪れるにせよ、苦しい時間を経験してきた選手だけに、是非バルセロニスタのお気に入りとなってほしいと思います。アレイシも、ファイト。
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