クーマンから戦力外とされるチレーノ、バルセロナへ歯に衣着せぬダメ出しを行う
概ね賛同するけれど、バルサはバルサのフットボールを求めていくしかない
昨日(8月31日)に始まったロナルド・クーマン新監督によるプレシーズントレーニングに、ルイス・スアレスと共に構想外ながら参加しているのがアルトゥーロ・ビダルです。そのビダルさん、前日にユーチューバー Daniel Habif 氏によるインタビューでバルサ批判をしていまして。戦力外となっていて守るものはないことで、エッジが効いた発言の数々になってます。
バイエルン戦を振り返り
今回アルトゥーロ・ビダルにインタビューをしたのは、1億7,000万回以上の再生回数を誇るユーチューバー、Daniel Habif 氏です。ラテンアメリカでの著名人らしい。下の動画を見ると分かりますが、ビダルは終始笑顔で受け答えをしています。
(UN GUERRERO INDOMABLE は不屈の戦士)
チリ代表の話が進むなかで、話題は避けて通れないバイエルン・ミュンヘン戦の大敗へと移る。キングアルトゥロは言います。「決勝へ行けなかったのはすごく痛かったし、その負け方があれだったからね。試合前はけっこう勝ち進めるとの信念があったんだけど、結局のところ、隠したいところだけれど、チームはその前からあまり良くなかったしね」
「トップレベルのチームがやってはいけないことを、僕らはやってしまった。統制の取れたチーム、勝者のメンタリティを備えていて、フィジカル面での準備を整えた選手たちがいて、すごく強力なプレーシステムを持ったチームと対戦するとき、頭の働きやエネルギーが弱っていたら、請求書が回ってくるんだ。それが僕らに起こったことだよ」
バルサは変わらなければならない
そしてセントロカンピスタの批判は、クラブ組織にも向かっていきます。
「明らかにこれは選手だけに限ったことじゃなくて、もっと大きなところで物事が上手くいっていないんだ。クラブは改善しなければならないし、正しくそれをしないといけない。でも簡単ではないよ」
「バルセロナはまず、その考え方を変える必要があるんだ。フットボールはかなり変化してきたし、DNAはすでに遅れている。他のチームは別の点で進歩しているからね。今のフットボールはよりフィジカルで、より強く、より速い。テクニックは時々、二の次になってる」
「バルセロナは多くのことを変えないとダメだよ。僕は世界最高のチームだと考えているけど、プロフェッショナルが13人で残りは未成年というわけにはいかないから。(若い)彼らがいることが相応しくないわけじゃないけど、このチームはベストの選手、プレーすべき選手が競わないといけない。全てのチームにはポジションを争い、日々成長するための23選手がいるんだ。でも物事が前に進まないとき、DNAがあることで勝てるようになると考えるのは間違っている。すごく良い選手たちはいるし、僕らにはナンバーワンで地球外生命体のメッシがいるけれど、彼にはサポートが必要だし、チームを良くして良い結果をもたらす選手が必要だからね」
勝者のチームではなかったバルサ
アルトゥーロ・ビダルのコメントは、興味深かったです。チームを渡り歩きながらも、8シーズン連続してリーグ優勝してきた真の勝者が、無冠に終わり勝者のチームとは言い難いバルサをこういうふうに見ているのかと分かり興味深い。
テクニックが高い選手が評価されて好まれ、美しいパスフットボールが求められるバルサだけれど、今の時代はそれだけでは勝てないんだよと、彼が時に苦々しく思っていたであろうことが想像できます。
アルトゥーロは2年前のバルサ入団の時、「バルセロナで3年連続チャンピオンズ優勝したい」と抱負を語っていた。それがあの悪夢の連続ですからね・・・
彼はバルサを「世界最高のチーム」と述べているけれど、実際はそんなはずはなく、“統制が取れていなくて、勝者のメンタリティがなく、フィジカル面の準備が不十分で、強力なプレーシステムがないチーム”だと考えている。それには異論はありません。きちんと鍛えられてない感がセティエンチームには漂っていました。
バルサのDNAなるもの
もうひとつ目を引くのは、DNAやカンテラーノに関する意見です。
「13人のプロフェッショナル+未成年」のチームだという個所。実際の未成年はアンス・ファティしかおらず、高齢化の目立つスカッドだったので言いがかりみたいなものなのですが、選手層が薄すぎて話にならない、競うことなく出場機会を得ている若手がいる、不足分をBチームの若い未熟者で補おうってのが無理な話だとキングは不満だったのでしょう。
物事が上手く行かないときに、DNAがあれば勝てると思うのが間違いだというのも正しい。
しかしバルセロニスタはそのDNAこそがバルサを独特な存在としているものでありアイデンティティであり、今風のフットボールで勝てるようになっても、それはバルサじゃないやいと考えています。勝つことこそスタイル、それはマドリーにお任せです。
そして今はバルサのDNAが時代遅れであっても、いずれきっと、その時代にチューニングされ進化したカンテラーノたちが出てくるでしょう。バルサのフットボールをバルサが信じなくて誰が信じるというのか。レオ・メッシ級は不世出でも、再びバルサのフットボールが主流派になる時代は訪れる。そう信じて、守るべきものは守りながら進化していくバルセロナに期待しましょう。
一番に変わるべきは、金儲けに精を出し過ぎて本来の道を見失い、メディアクラック獲得路線に走った理事会。ネイマールが引き抜かれていない未来が見てみたい。
コメント
初戦は久保くん擁する新生ビジャレアルですね。
なんだかんだ言って楽しみではありめす。^_^
ビダルは、バルサのセントロカンピスタに必要とされるゲームメイク力は、全く持っていませんでした。
それでも運動量とセンスとパワーでチームに必要とされた。
そういうバルサとは少し違うアイデンティティの選手の発言ではあります。
でも今のバルサに、その意見を覆せる程の力のある中盤は無いです。
ゲームメイクができないバルサになってしまった。
昨季の時点でブスケとラキティッチだけがゲームメイク出来てて、次に可能性を感じるのはアルトゥール、プッチにも可能性は感じました。
でも今季残る、確実にゲームメイクができる選手はブスケだけで、あとはピアニッチがどこまで出来るか。
デヨンクは運動量とテクニックで何とかする事はできるが、先を見たプレーは厳しそう。
セルジも運動量はあるけど、厳しい。
メッシが抜けても、前線での崩しにはデンベレとコウチ、ファティがいる。
それである程度は戦えそうです。
もう今は下手な補強で無駄金を使わず、残った戦力で小さくまとまり、CL圏内を目指して戦って欲しい。
世界の各クラブごとにフィロソフィとアイデンティティが存在するように、バルサはバルサでなくてはいけないと思います。
「DNAだけでは勝てない」というのは正しいと、思いますし、アルトゥーロの様な選手は必要だと思います。(正直、出て行って欲しくない選手…)
タイプは様々あっても、歴代のチームでバルサのDNAを持たない選手が活躍してきました。
しかし、DNAを失えば、きっとバルサはバルサでなくなってしまうと思います。
しばらくは無理だと思いますが、きっと観る人を魅了する美しいフットボールがバルサに戻ってくる日が来るでしょう。そのためにもバルサであることを辞めないで欲しいと思います。
人の忠告を聞かない人間には何を言っても無意味なんですよね。残念ですが。