バルサらしからぬバルサだった、とアルゼンチン人監督。
悪い意味でインパクトのあるチャンピオンズ敗退だっただけに、ビセンテ・カルデロンでの悪夢から一夜明けてからのメディアは、ダメバルサに関する議論で溢れています。なにかある事に登場するご意見番ヨハン・クライフのコメントもそのうちの一つですが、こちらではアンヘル・カッパさんによるこのところのバルサに関する感想を取り上げてみます。アルゼンチン人監督さんはラジオ局LA XARXAの番組内でタタチームのパフォーマンスについてこう見解を述べました。
プレーに確信のあったアトレチコと、なかったバルサ
「(アトレチコとの)今回の対決においては、バルセロナが劣っていたと思う。バルセロナは昨日(水曜)もこれまで対戦した5試合も、彼らの特徴とするプレーを全く出来ていなかった。アトレチコ・マドリーが提示し、この5試合で繰り返してきた問題を、バルサは解くことが出来なかったんだ。アトレチコは確信を持って自分たちのプレーアイディアを強いることが出来ていたし、バルセロナには確信がないように思えたよ。最後は個人技に訴えていて、彼らの特徴であるチームプレーとは程遠かった」
そしてカッパさんは言います。「見てバルサとは分からないバルサだった。チームを作り直すべき時期にあるのか、それともアトレチコ・マドリーがプレーをさせなかったのかは分からないけれどね。ただ明らかだったのは、なんだか分からないバルセロナだった点だ」
「バルサはいつも、ボールを失ったならすぐにそれを取り戻していた。素早くボールを回し、ピッチを上手に広げ、スペースを上手に占めていた。それに相手チームが閉じた場所に穴を作り出すのも特徴だった。それらのバルサの特徴の全てが、最近の試合では見当たらない。アトレチコとの試合では全くなかった」
「対するアトレチコは毎回スタイルを貫いていた。自分たちのプレーに確信を持ち、ピッチですべきことに大きな自信を持っている。そこが迷いだらけのバルセロナとの大きな違いだったよ」
マルティーノをフォロー
以前、“情熱を失っている”との分析を行っていたレオ・メッシについては、「今回のメッシは消えていたね。選手がいつも自分の夜に出来るわけじゃない。昨日の試合はメッシのベストではなかった」とコメント。試合後にマルティーノ監督が、“メッシがプレーに多く関与することに、今回私はあまり関心はなかった”と述べた件に関しては、カッパさんは控えめにこう語っています。「タタが何について言ったのか、私には分からない。メッシの関与を少なくするのはアトレチコの狙いでもあっただろうけど、マルティーノが言いたかったところは分からないね。文脈から探る必要があるだろうし、マルティーノは別のことが言いたかったんだろうと私は思う」
一方、ドン・イニエスタを途中交代した采配には驚いたと認めるカッパさんです。「20分を残しての交代はかなり驚いたよ。私にとっては、イニエスタは世界最高のセントロカンピスタの一人で、彼以上の選手はほとんど見たことがないからね。私の見解では、彼のような選手はプレーが悪い時であってもピッチに常にいなければならない。それは彼らがどんな瞬間にでも決定的な仕事ができるからだよ。特にイニエスタのような選手は最後の瞬間で幾つもの試合を決めてきたんだ。でもまあ、交代の本当の理由を知っているのは監督だからね」
再び厳しい批判を受けている同朋の監督をカッパさんは弁護します。「バルサのベンチがマルティーノには大きすぎるとは私は思わないよ。私が思うに、バルセロナは目標を達成してきた数年の間に試合数がかさみ、精神的な疲弊に苦しんでいるんだろう。異なる時代の偉大なるチームたちがそうだったようにね。問題はタタ・マルティーノがちょうどその瞬間にバルセロナに来たことだ。全てを再編成していく必要があるだけに、これは非常に難しく、非常にデリケートな時期だよ」
そして。「求められるのは忘れられたコンセプトを取り戻すことで、それは平易な仕事じゃない。バルサを引っ張っている選手たちは代表チームでもまたリーダーであり、彼らは疲弊している。マルティーノは割を食ってるんだ」
処方箋は見失っているものを取り戻すこと
ではバルサが復調していくために必要なのはなにか。カッパさんはこう考えます。「改革は必要ないよ。必要なのは行ってきたことを復習し、それを取り戻すことだ。それにはもう一度、彼らを誰もが記憶する偉大なチームへとさせた熱さを持たなければならない。彼らが今すべきことは席について全員で会話をし、そして失ったコンセプトを取り戻すことだ。彼らにはそれが出来る力がある。世界最高の選手たちがいて、偉大なことを成してきたそのコンセプトを彼らは持っているんだ」
なんにせよ現場の選手たちにはチャンピオンズ敗退を嘆いている時間はありません。チームはまず、週末のグラナダ戦でそのリアクションを示さなければならない。ここでコケれば傷口はさらに広がります。カッパさんは言います。「週末に重要な試合が控えている時に、マドリー(とのコパ決勝)のことを考えてはいけない。今試合に負けることは、ライバルたちに取り返すことの出来ないアドバンテージを与えることになるだろうからね」
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