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サラリーキャップは回復・・・ だが先には難題が待ち構えている

レバー効果により、スポーツ経費に使える額が大きく改善したバルセロナ
ただし臨時収入の見込めない来季は経費削減が求められる

ラ・リーガが先週金曜(9月9日)、プリメーラとセグンダに所属する各クラブの夏市場後のスポーツスカッド経費限度額(LCPD:el límite de Coste de Plantilla Deportiva。サラリーキャップ)を発表しました。それによるとFCバルセロナは前回3月のマイナス1億4,435万ユーロから、6億5,643万ユーロへと大幅改善。約7〜8億ユーロにも及んだ“レバー”稼働(要するに資産売却)が効いた形です。しかし、安心はできない。肝となる選手給与の減額は、まだ果たせていないのです。

LCPDは、育成部門も含めた選手とコーチ陣の給与、移籍金の減価償却費(移籍金÷契約年数)、社会保険料、代理人手数料などに使用できる額の限度。クラブの前期収益や今期収益見込みから算出される。

-1億4,400万から+6億5,600万ユーロへ

ジョアン・ラポルタたちの必死の努力により、FCバルセロナのスポーツ経費限度額は大きな回復を見せました。去る3月に発表された、衝撃の「マイナス」1億4,400万ユーロから、6億5,600万ユーロへの急回復。
これによってバルサは1/3 もしくは1/4ルールの適応を免れ、かつかつとはいえ新加入選手の出場登録を完了させることが出来たのです。ちなみに6億5,600万ユーロは、レアル・マドリーの6億8,346万ユーロに次いで多い額となっています。

サラリーキャップはクラブの収益によって左右されます。今回のバルサの大幅改善は、夏の流行語となった“palanca(レバー、てこ)”によるところが大きい。このレバーは繰り返し使えるものではないですから、レバーに匹敵する定期収入を確保するか、経費自体を大きくカットする必要があるのです。

大型補強を敢行し、タイトルを獲ることで各種収入を増やし財政再建するプランに賭けたのは分かるとして、同時に経費削減を実現しなければ、本当の意味での解放にはならない。収入増と支出減が揃ってこその再建です。

テバスの警告

スポーツ経費限度額の発表会見において、ラ・リーガのハビエル・テバス会長は次のようにコメントをしています。

「バルサには成すべき仕事が残されている」
次のシーズン中に起こることを見なければならないだろう。今回は6億5,600万ユーロとなってはいるが、バルサはスポーツ経費を減らす必要がある。来季はレバーを用いないと思うので、となれば経費を減らさなければならないだろう。資産を売り続けるレバーを、彼らはこれ以上使わないと私は思う。彼らはスポーツ経費を4億ユーロに減らすべきだ」

2億5,000万ユーロほど減らす必要があるわけです。

むしろ増額している?

バルサがスポーツ経費減額、それも大幅な減額が必要なことは、ハビエル・テバスに言われるまでもありません。
散々、削減削減と言われていたので構想外の選手たちは根こそぎ放出し(補償金を払っての契約解除も3人)、スカッドを整理した夏。17人ほどが他クラブへと移籍し、代わりに8選手が加入する、クレイジーな夏でありました。

しかし!経費削減の効果は低かった。
いや、むしろ、精力的な補強によって経費は増額しているのでは?

2022年6月時点で、金庫番副会長エドゥアルド・ロメウはバルサのスポーツ経費が5億6,000万ユーロで、これをマドリー並の4億ユーロまで、1億6,000万ユーロ減らす必要があると述べていました。

そしてレバー稼働によって限度額が6億5,600万ユーロまで増えたのだから、余裕が生まれていそうですが、実際はジュレス・クンデの登録に大苦労したバルサ。結局ガビのファーストチーム契約はお預けになっています(その後のピアニッチ退団でようやくガビの契約更新への道が開けた)。

つまり、スポーツ経費は6億ユーロ強まで増えたということですよね・・・

給与の新基準

これを目標である4億ユーロまで減らすにはどうすればいいか。
第一に高給取り選手の放出もしくは減給で、ラポルタたちが導入した新たな給与基準に合わない選手たちがその対象となります。
巷の情報ではフレンキーの年給が税込2,800万ユーロ、セルヒオ・ブスケツジョルディ・アルバが税込2,000万ユーロ超え。ピケは高い情報、低い情報がいろいろです。
ちなみに新基準での最高額はレバンドフスキで税込1,800万ユーロ、契約更新したウスマン・デンベレが税込1,400万ユーロだそうです(いずれも手取りは半分)。

スポーツ経費には移籍金を契約年数で割った減価償却費も含まれるので、高額補強を繰り返していると重くのしかかってくるんですよね。左ラテラルが3人とか、セントラルが5人とか、ギリギリ生活のくせにどうかと思います。マドリーは不要な補強をなるべくせずに済ませ、かつ売り時も絶妙で上手い。悔しいですが。

バルサはフットボル哲学的にも経費的にもカンテラーノの育成にもっと力を入れるべきと言えます。チャビが欲しがり、、てのがなんとも。

コメント

  1. ロンド より:

    今回の移籍市場ではレバンドフスキー、ハフィーニャ、クンデの3人に移籍金がかかっていますが、それ以外はフリーなので移籍金の減価償却は生じませんね
    デンベレ、コウチーニョの償却が終わって、あとはグリーズマンぐらいかな?大きな償却は
    ピアニッチは契約解除で一括償却でしょうか?
    まぁまぁスッキリしたとは思います
    セントラルはクンデ入れるならピケに移籍を打診するのが収支だけ考えると良かったですが。ピケ本人が望まないでしょうから実現しない話です
    流石にアロンソとベジェリンの両取りはもはや意味が分からないですが

    デンチーニョの償却が無くなってるのに経費が増えるのはちょっとよく分かりません
    決算よく見ないとですね

  2. レト より:

    今後に課題の残るやり方だったのは事実ですが、大型補強した選手に関してはいずれも大活躍していますし迷走中のチェルシーと違って補強自体は間違っていなかったと思います(欧州での活躍を完全に諦めるのでなければ)。

    カンテラーノ至上主義に関しては正直管理人さんとギャップを強く感じますね。
    補強戦略云々よりも数十年に一度の大豊作に期待するか、話題のラミン・ヤマル君の順調なステップアップを祈るべきでは。

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