決定的な時期に入り、解決すべきジレンマたち。
2014年も2月に入り、1試合1試合が重要な意味を持つようになってきました。日曜日のセビージャ戦もその1つで、先週のバレンシア戦のつまずきによるダメージを最小限にするためには、ここできっちりと勝利をしなければいけない。アトレチコがアルメリアに敗れたことで、白星には首位奪回のオマケを付いてきますゆえ、任務を達成した際の喜びもまた大きくなりましょう。前日会見のマルティーノ監督はこのセビージャ戦を、「カギになる試合の1つ。残りシーズンにおいてポジティブな、あるいはネガティブな強い影響を与えるだろう」と定義しています。
前日会見でタタさんがもう1つ強調したのは、ここからはシーズンの決定的な時期に入るため、これまでほどにはローテーションを採用していかないとの方針です。「ローテーションを行う余地は、毎回少なくなっている。これからは決定的な時期に入り、メンバーの入れ替えは少なくなっていくだろう。ただし、状態の良い選手たちにはチャンスを与え続けていくけれどね」
戦術を変更したいが、上手くハマるか分からない
その決定的な時期に入るバルサですが、このところのチームのプレーには、どこかしら迷いのようなものが感じられます。それはきっと、指揮官の迷いと言っていい。監督就任時から、最強MAX時代の長所(プレッシングとパスワーク)を甦らせ、かつそこにちょっとしたアレンジ(ダイレクトな攻め)を加えることでバルサ対策対策を目指していたタタチーム。しかしここへきてマルティーノ監督はどうも、頭を痛めているように思えます。タタが解決困難な3つの問題に直面している、と書くのは金曜日のSPORT紙です。
同紙によれば監督には早々に解決を迫られる心配事が3つあり、それをすでにジョゼップ・マリア・バルトメウ会長や、アンドニ・スビサレッタSDに伝えているとか。三者会談の内容は外部は知る由もないので、その点はSPORT紙の妄想含みの記事として、現タタチームが抱える3つの問題点ということで見ていくこととしましょう。
■チームのプレースタイル
まず最初にミスターが悩んでいるとされるのが、バルサのプレースタイルです。今のバルサには、フットボル好きには誰もが思い浮かぶプレーの仕方があり、それがブランドとなっています。しかし主力選手の年齢が増え、ライバルチームの対策も進んだことで、かつてのような無双状態はもはや見られない。タタさんも現実として今のチーム設計はすでに天井を付いたと考えていて、戦術変更を加えたいらしいのですが、実際に変えるのが容易ではないのは外部からも推察できます。
今のチームには数年前のような目のくらむようなパスワークも躍動感もなければ、アンヘル・カッパさんが指摘するように、プレーへのほとばしる情熱や野心も感じられない(現場は否定しますが)。そこでマルティーノは変化が必要と考えるのですが、同時に彼が、その変化に選手たちが対応するのは難しいだろうとも解っている、とSPORT紙は言います。チャビなどはいつも「僕らはこのフットボルしか知らないんだ」と明言していますし、変えるにしてもこの時期は厳しすぎる。現実としては、使える戦術の選択になりましょう。
■メッシジレンマ
大エースであるリオネル・メッシの起用方法も難しいところです。ドリブルをすればデフェンサをぶっちぎり、打つがことごとくネットを揺らした2012年のレオなら無問題なのですが、そうではない彼から最高の結果を出せるポジションはどこか、テクニコはまだ見つけられていません。
悩ましいのはメッシが怪我から復帰してからの方が、チームのプレーがぎくしゃくしている点です。レオ不在時はアレクシス、ペドロ、セスクが躍動し、日替りで主役となっていました。ギガクラックがいない間みんなでなんとかしよう!との気持ちがうまく働き、アレクシス、ペドロ、セスクらの持ち味が(思いのほか)引き出されていた。そこに世界最高選手を足せばさらに良くならないところが、フットボルの奥深いところです。
メッシは一撃で試合を変えてしまえる選手だけに、監督としては余計難しい。レアル・ソシエダ戦では逃しはしましたが決定的なチャンスを3つ作っていたレオなので、ここはちょっと辛抱でしょうか。ただ、出来栄えを見て本当に厳しそうだと思う試合では、メッシ抜きのプランBに変更でも好いと思うのですが。
■イニエスタの扱い
メッシ不在時に結果を出したアレクシス、ペドロ、セスクをタタさんが高く評価しているのは、その後の彼らの起用方法を見ても分かります。そして不動のレギュラーであるメッシが帰ってきてからもセスクを使おうと思えば、チャビかイニエスタを犠牲にしなければならない。そこで監督が苦心しているのが、イニエスタの扱いのように見えるここ数試合です。
つまるところ、マルティーノ監督はセスクがお気に入りで、彼を中心のチームとすればアレクシスやペドロも活きてくる。しかしメッシが活きるためにはチャビとイニエスタが重要であり、ちょうどいい戦術バランスが見つけ出せない・・・というところでしょうか。監督の迷いは確実に選手に影響しますゆえ、思い切りが必要になりそうです。アレクシス、ペドロ、セスク、メッシ、イニエスタが同時に活きるシステム…見付かれば理想ですが、現時点ではセスク型とメッシ型に分けるのがベターでしょうか。アニモ、タタさん!
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