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ぷち変身中のバルサ

 

新しいオプションを得るべく、試行錯誤の途中。

アヤックス戦終了後の記者会見でプレースタイルの変化についての質問を受けたヘラルド・マルティーノ監督は、次のように語っていました。「私たちが向かっているのは、かつてバルサがいた場所だ。私たちはプレースタイルの変更を望んではいない。代案を探していく事は、プレー方法を変える事は意味しないんだ」。あくまでポゼッションを基本に新たな攻撃パターンを増やしていくとする監督ですが、起用する選手(特にチャビ不在)によってはプレーの印象が大きく変わっているバルサ。バランスを見出していくには、しばらく時間がかかりそうです。

 

8割のファンがスタイルが変化したと回答

SPORT紙がウェブサイトにて実施したアンケートによれば、“バルサはプレースタイルを変えている?”との問に対し、83%が「はい」と回答(889票時)。監督の言葉とは裏腹に、ファンはチームのスタイルが変わっていると捉えています。でもそれは“評価しない”のとはまた別問題で、速攻によってゴールを陥落するチャンスがあるなら速く行けばいい。ティキタカMAX時代を経験しておらず、縦への意識の強いネイマールの加入もスタイルの変化を印象付けるポイントとなっています。セスク、メッシ、ネイマール、テージョ、ペドロがいるんだから、カウンターを選択肢に入れないほうがむしろ勿体ない。あとは程度の問題でしょう。

一方で、チームは単にバリエーションを増やそうとしているだけで、スタイルに変化はないとも考えられる。そもそもバルサがスタイルを変えるなんてどだい不可能であり、今の選手たちがプレーをするかぎりは、どう転んでもそれはバルサだという見方です。個人的にはまあ、どっちでもいい議論^^。ポゼッションにカウンターが組み込まれたマルティーノ風味のバルサは、スペクタクルな良いチームになるだろうと楽観的に期待するところです。クーマン、デボエル、マルケスのミリメトロなロングボールは美しかった。今はまだ効果的とは言えないロングボールが多くて萎えることもしばしばですけれど。

 

アルベス「チームは移行期。正しい道を進んでいる」

では現場でマルティーノ監督と2013/14バージョンのバルサを作り上げている選手たちはどう考えているのか。アヤックス戦の後、バルサTVの番組“El Marcador”にゲスト出演したダニ・アルベスは、次のような見解を述べています。「僕らはいま移行期にあって、ベストの形を模索している。苦労するのは明らかだよ。でも僕はチームが正しい道を進んでいると思ってるんだ。調整をしながらも勝っているんだからね

相手ゴールへと向かう新たなアプローチとして、前任監督たちが特に積極的には取り入れようとしなかったダイレクトな攻めを、マルティーノ監督は導入しています。アルベスは言います。

「過去にやってきたこと、そんなには違ってないよ。エリアを閉ざしてくる相手チームに対抗するため、新しい事を導入しているしているけれどね。ゴールチャンスをより多く作り出すためのバリエーションなんだ。プレッシングを同期させたり、ラインの連動だったり、チームに足りないものがある事は僕らも分かってる。以前の僕らは、相手に先を読まれていたし研究もされていた。もし僕らが攻撃のバリエーションを手にすれば、相手はこちらがダイレクトに来るのか、それともポゼッションを守るのかは分からなくなるだろう。僕らはそれを狙ってるんだ」

アヤックス戦の前半、バルサはなにやら落着きのない様子でした。それについてのブラジル代表ラテラルの考えは、「もっと賢くする必要があった。プレッシングが完璧に機能しないのであれば、おそらくは少し後ろに引いて組み立てていくべきなんだ。僕らは後方にたくさんスペースを残していて、そこをアヤックスにやられていた」というもの。その問題についてはチームで話し合い、「後半は良くなっていた」というアルベスです。

 

向上する必要性を認める選手たち

一方、試合終了後にグラウンドでカナルプルスの取材に応じたレオ・メッシは、「攻撃のバリエーションは多いほど良いよ。僕らにはスピードのある選手もパスの出し手もいるから、カウンターを繰り出すことも出来る」とコメント。“ティキタカの奴隷だった”発言で波紋を呼んだジェラール・ピケも、「疑念を消すには90分間ハイレベルなプレーが必要。ミスターの望むバリエーションとポゼッションを適時組み合せる案に賛成だよ。一つの方法だけを誇張してはいけない」と述べています。

その他、セスク・ファブレガスもまた「疑問は試合を重ねることで解決するよ。もしカウンターに行く選択肢があるのなら、それは活用する価値はある。僕らは今、幾つかのオプションを練習しているところなんだ。試合を読めるようにならないとね。バルサでは多くを求められるのは普通のこと。直にベストのバルサが見られるようになるさ」と語っていて、バリエーションについて質問を受けるバルサ選手は皆、同様の回答を示すことでしょう。

ペップ・グアルディオラの偉大さは、世界最強と称えられたバルサシステムを確立させながらも、次の一手を率先して打とうとしていた事でした。病に邪魔をされましたが、ビラノバだって新たなニュアンスを足そうと試みていた。その点でマルティーノ監督の“時にはダイレクトなプレーも”という選択は悪くない。あとはチームがどれくらいの比率で、縦への速攻と真綿で締め付けるパスによる崩しを併用していくのかが気になるところであります。かつてボビー・ロブソンは、スタイルを移行させすぎてクレの共感を得られなかった。アルゼンチンからやってきた“バルサ哲学の信奉者”が、ファンを喜ばせつつも勝てるスタイルを練り上げられますように!

 

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