安価なレンタル、出来るならコストゼロで。
この水曜日にはレバークーゼンとのチャンピオンズ第6節が控えているFCバルセロナですが、グループEの首位通過がすでに確定した後のいわゆる“手続き試合”ですから、バルサ系メディアの注目度はあまり高くありません。火曜日の段階でのニュースはイニエスタとピケが招集リストから外れたぞ、バルサBからサンペール、カマラ、グンバウ、そしてカプトゥムが呼ばれたぞ、くらいのところです。その代わりにスポーツ各紙の話題となっているのは、冬のマーケットでの補強のウワサやらネイマールの契約更新やら。うち補強話では、ルイス・エンリケがデランテロ・セントロを求めているとの件が存在感を放っています。
ルイス・スアレスを休ませられる選手
ルイス・エンリケが前線を補強したがっているという話は、新しいものではありません。もう数ヶ月前から、メッシ、ネイマール、スアレスに次ぐ第4のデランテロをバルサ監督は欲していると言われてきましたし、先日のメスタージャでひとりの選手交代も行わなかったことは、補強を求めるクラブへのメッセージだとも解釈されてもいます。バレンシア戦の前日会見では珍しく、「私はいつだってチームを強化することに賛成している」、「今年は昨年と比べて選手数で差がある」と冬での強化を促す発言もしています。
以前は“ノリートか無か”のような報道でしたが、契約解除金の高さから、ノリートの獲得は(ひとまず?)却下。またペドロ・ロドリゲスのようなエストレーモも今回は狙わず、この冬のマーケットではチームで最も替えの利かない選手の一人であるルイス・スアレスの控え選手=“9番”を一人加えることになったようです。
今のスカッドでスアレスを休ませられる選手は、ポジション的にはサンドロ・ラミレスだけで、残念ながら駆け出しのカンテラーノと世界的クラックでは実力差が大きすぎます。そこでフル稼働しているルイシートを休ませられるような、中央からサイドに流れてプレーできる“9番”を可能なかぎり安価(出来るならコストゼロ)とに獲得しよういうハードルの高い挑戦に、ロベルト・フェルナンデスSD率いる強化部門が挑んでいるところです。
FCバルセロナはこの冬のマーケットでは、負債比率云々の縛りによって大きな投資を行うことが出来ません。そこでロベルトSDに与えられた唯一の道は、買い取りが義務付けられないレンタルでの獲得(SPORT紙、MD紙)。しかもそのデランテロがサンドロ以上の実力を持っていなければ意味がないわけで、スカウトチームは困難なリスト作りに追われていることでしょう。
カルドソとネグレド
その低コストで獲得できそうな控え“キラー”候補として、8日付のSPORT紙が上げているのはトラブソンスポル(トルコ)のベテランパラグアイ人、オスカル・カルドソ(32)と、バレンシアのアルバロ・ネグレド(30)です。
カルドソはベンフィカ時代の2009/10シーズンに47試合で38得点なる成績を残したらしく、今季は10試合で4得点。トルコクラブは給与未払いで揉めているとのことで、そういうチーム事情なら安価でレンタル可能かもしれません。もう一人のネグレドはガリー・ネビル新監督次第ですが、ヌノ前監督の下では控え起用中心。もし借りられるのであれば給与はバルサが引き受ける考えみたいですが、すでにバレンシアで出場しているチャンピオンズでは起用できないのはマイナス要素です(怪我さえなければスアレスが出続けるでしょうが)。
MD紙には“冬のラルソン”候補として、マリオ・ゴメス、ベルバトフ、ルカ・トニ、クロース、パト、ディエゴ・ミリート、フォルランら16人がずらりと挙がっています。
ジョナタン・ソリアーノ
一方、そのMD紙が取り上げているのは2009年から2011年にかけてバルサBでプレーし、ノリートとコンビを組んでゴールを量産、2010/11には32得点でセグンダAのピチーチにも輝いたジョナタン・ソリアーノ(30)です。MD紙の調べでは、FCバルセロナはレッドブル・ザルツブルグに所属するこのカタラン人デランテロの契約状況や、バルサが望むなら貸し出しは可能か?などに関心を抱いているらしく。ザルツブルグは数日前、夏に新監督となったばかりのペーター・ツァイドラー氏が成績不振でクラブを去っています。
ジョニーは2011年にザルツブルグに入団して以降、リーグ戦104試合で119ゴール。今季も目下15試合13ゴールでオーストリアリーグの得点ランキング首位を走っており、刀はまだ錆び付いてはいません。それすなわちチームの主力ですから、安価なレンタルは期待しにくいといえます。ジョナタン・ソリアーノとレッドブル・ザルツブルグとの契約は2018年6月まで。夏にはレバークーゼンから1,300万ユーロのオファーがあったと言われていますが、ザルツブルグはこれを断っています。
バルサにとって優位に働く点は、ジョニー本人がバルセロナに戻る気が強いことです。10月に彼はカタルーニャラジオの取材に対し、こうコメントしました。「毎週末試合に出て、自分がチームで重要な選手だと感じているけど、もしバルサから電話があれば、僕は間違いなくハイと言うだろうね」
個人的にはセンチメンタルな部分から、このジョニーがカンプノウでプレーする姿を見たいところです。欧州の中位リーグで数度得点王になったベテランデランテロといえば、第2のエンリク・ラルソンさんとして適役、、、と思っちゃいますが、ソリアーノのことはルイス・エンリケが熟知しています。これまであまりウワサにも上がってこなかったのは、欲しいタイプではないんですかねぇ。
サンドロかムニール、どちらかはレンタル
そしてもし冬のマーケットでデランテロがやってきた場合、ムニール・エル・ハッダディとサンドロ・ラミレスのどちらか一人はレンタルでチームを離れることになるだろう、と見られています(MD、SPORT共通)。とはいえ、ルイス・エンリケが“9番”を欲しがっているという時点で、貸し出されるのがサンドロになるであろう想像は付きます。ルーチョはこの若者たちを信頼していて、メッシ離脱中の2ヶ月間の頑張りには感謝をしているとのことですが、その2ヶ月間に彼らが結果を出せなかったのも事実で、経験あるデランテロが加わった場合、1人はレンタル移籍というのも仕方ないです。
もし冬に前線の補強がなされた場合にチームに残ることになる選手も、それで安心とはいえません。1月になればバルセロナはアルダ・トゥランとアレイシ・ビダルが起用可能となり、エストレーモをこなせるアレイシがベンチの第一オプションとなる可能性が高いです。ムニール(サンドロ)が出場時間を得られるかどうか、といえば実際かなり厳しいでしょうし、新天地でプレーが出来るほうが幸せかも、、、バルセロナで生き残るのは本当に難しいことだとつくづく思います。
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