◇ペップ 「消耗とモウリーニョは無関係」
ペップ・グアルディオラが監督に就任して4シーズン。これまでに500回近くは行われてきたミスターによる記者会見も、残すところあと8回ほどになりました。なんて難しい表現を使うお人か・・・!と思ったことも多々あるペップですが、もう当分彼の言葉に出会えなくなるのかと思うほどに悶絶。そんな管理人の個人的感情はさておき、マラガ戦を前日に控えた会見でのペップコメントをさくっと紹介してみましょう。
金曜日の続投しません会見において、グアルディオラは「私は消耗してしまった。空っぽ状態で、エネルギーを再充填しなければならない」と言っていたわけですが、そこで全クレがきっと真っ先に思い浮かべたのが、アノ男とのムダにエネルギーを消耗させたであろう戦いです。ペップ、あなたの消耗はモウリーニョと関係があったのではないですか?このド直球の質問に、バルサ監督はこう答えました。「私の消耗とモウリーニョは関係ないよ。そうやなくて日々の練習や、多くを勝ち取ったことに疲れたんや」
将来バルサに戻ってくる予定は?という問いには、「分からない」と回答した監督。後任となるティト・ビラノバに対しては、改めて信頼感を示しました。「私たちがティトへのハードルを上げたか?もし彼がいなければ、私はこれほどのタイトルを獲得してはいなかったやろう。指揮権の移行をクラブはとても上手くやったよ。ティトは来るべき挑戦にとても意欲を燃やしている。必要な決断は彼が下すことやろう。ティトはこのチームの成功の一部なんや」
「ティトはこのチームに継続性をもたらしていくと思う。私と彼の関係性には、何の変化もないよ。私を必要とする時はいつでも側にいると、彼には感じてほしい」
リーガ優勝の可能性がほぼ消滅した今、チームは25日のコパ決勝に全照準を合わせています。ペップ曰く、「全ての練習や試合が、コパファイナルの準備に役立つ」。一方でチームのエースであるレオ・メッシは、CR7と激しすぎるピチーチ争いをしています。しかしグアルディオラは、レオの得点王獲得を最優先にする必要はないと語りました。「その件については気にする必要はない。彼はすでに数多くのゴールをあげているし、良いプレーをするなら点は入るやろう。私たちはマラガ、エスパニョール、ベティスを相手にベストの攻撃をするだけ。後のことは、フットボルが決めてくれるさ」
ペップはこの会見でも、ペドロへの気遣いを示しました。「彼にはもっと時間を与えるべきやったんやろう。おそらく私は、何度か間違いを犯したんや。もし彼を不愉快にさせたなら、それは私の狙うところではなかった。彼は私たちの成功に大きく貢献してきた。彼が望むかぎり、このチームに残っていくことやろう。困難を乗り越える力を彼は備えている」
ちなみに・・・・・あれだけ「工事があるからダメ!」といってベルナベウでのコパ決勝開催を拒んでいたレアル・マドリーですが、決勝戦からほんの数日後の6月3日、OBたちによる親善試合をカサにて実施すると発表しました。これについて問われたペップ、皮肉を込めてこう答えています。「きっとそれまでには、工事は終わっているんやろう」
◇助監督はジョルディ・ロウラ?
バルサトップチームの来季の監督は、今季の助監督ティト・ビラノバが務めることになりました。では彼の助監督は、一体誰が務めることになるのか。あれこれと推測は為されるわけですが、監督をカサから連れてくるのであれば、助監督だってカサから連れてくるというのが、このバルサ流。ティトの右腕になると言われている人物は、ジョルディ・ロウラという、これまた多くのクレにとってもナゾの人物です。
ジョルディ・ロウラは現在、ペップとティトが率いているテクニカルチームのメンバーです。具体的には何を担当しているのかといいますと、ふたりにとって非常に重要な意味を持っている、ライバルチーム分析班のひとりなんですな。カルラス・レシャックが横浜フリューゲルスの監督を務めていたとき、助監督だったのがこのロウラであり、ティトがテラッサでスポーツディレクターをしていたときにも、チームの助監督は彼だったそうです。そしてペップとティトの強い希望によって、現テクニコのメンバーとなった。つまり、戦術分析力については折り紙つきの人物です。
まだ決定したわけではないようですが、このジョルディ・ロウラの人選については、昨日のこちらでも紹介したFCバルセロナの下部組織の象徴ともいえるアルベール・ベナイジェスさん(イニエスタやメッシを見出した人物。現在はドバイのクラブのカンテラ責任者)も太鼓判を押しています。ラジオ局カデナ・コペの番組内での発言です。「フィジカルトレーナーはアルティミラが続投すると思うし、ティトの助監督はジョルディ・ロウラが好いやろう」
またベナイジェスさんは、ビラノバ次期監督に就いても高く評価しています。「ティト新監督というのは、とても嬉しい驚きやったよ。それはプロジェクトとチームの継続を意味しているからね。このチームとクラブを完璧に知っている人物といえば、それはティトなんや。彼はこの4年間ロッカールームにいたし、パーソナリティがあって、選手たちの信望も厚い。バルサのフットボルを熟知している。私たちが一緒にいた時に彼はそれを証明しているし、彼はすばらしい人物。彼は働き者で、このチームの根本となる存在やったんや」
◇ペップ対ティト
ペップバルサの最終試合となる5月25日のコパファイナル(対アスレチック)の2日後、何気に注目のイベントが開催されます。TV3のチャリティキャンペーンによる企画なんですが、ペップ・グアルディオラとティト・ビラノバがそれぞれに指揮を執るチームが激突する、というのです。
ただし、こちらはフットボルではなく、フットサル。バルサのトップチーム選手たちが2つに分かれ、それぞれにチームペップとチームティトとしてプレーするといいますから、むしろ興味が沸くというものであります。会場はモンジュイックにあるパラウ・サンジョルディ。おお、行けるものなら行きたい。
◇ペップの父上 「ホッとしている」
少し前のことにはなるのですが、ペップ・グアルディオラのお父上であるバレンティ・グアルディオラさんがカタルーニャ・ラジオの取材に対して、息子が今季かぎりでバルサ監督を退任することに関し、こう語っています。「今はだいぶ落ち着いていますよ。そのことを知ったのはほとんど昨日(発表当日?)のことでしたからね、この数日間に特になにか難しいことがあったわけでもありません。私たちが仄めかしたことも何度かありましたが、彼はなにもハッキリと言わないので、こちらもしつこく訊かなかったのです」
そして。「妻は息子にこう言っていましたよ。”決断をしたのなら、私たちがラジオやテレビでそれを知る前に、どうか教えてちょうだい”。息子はそれを守ってくれました」
父上はまた、こうも言っています。「私たちはこの数年、苦しい思いをしてきましたが、(今回の決断に)悲しさもまた感じています。とても多くの人々が、私たちの息子を愛してくれましたから。それと同時に、チームが悪いプレーをしないかと心配することもなくなり、ホッとしてもいますよ。彼が13歳でバルサに入団してからどのようなことを経験してきたか、物事が上手くいかないときにどれだけ苦しいかを知っていましたから、私たちも苦しみました。ペップはすべてをクラブに与えたんです」
◇ボナーノ 「ペップはバルサに戻ってくる」
では本日最後は、ペップ・グアルディオラの退任に関する、元バルサ選手たちのコメントです。まずはこちらも”ティト”というサブネームを持つという、ロベルト・ボナーノの言葉。COMラジオの番組内での発言です。「僕は将来、ペップはバルサに戻ってくると思うよ。それがどんな役割になるのかは分からないけどね。ディレクターかもしれないし、GM、スポーツディレクター、あるいは会長かもしれない」
元ポルテーロはこうも言います。「ポスト・グアルディオラを受け入れるのは難しいだろう。でも後継者がプロジェクトを継続させていくよ。ファンは安心していればいい。バルサには哲学があるんだ。グアルディオラが記したサイクルがここで終わり、これからは新しいサイクルが始まっていく」
クーマン 「驚きはなかった」
続いて、ペップとはドリームチームの中心となって一つの時代を築いたロナルド・クーマンの言葉です。「ペップの退団はバルサにとって残念なことだけれど、物事には全て終わりが来るからね。私は彼のアディオスの知らせに、驚きはしなかったよ。私もタイトルを勝ち取りながらチームを去ったことがあるし、ペップがバルサのファーガソンになりたがってないことは知ってたからね。監督にとって、正しい去り際を見つけ出すのは難しいことだけれども、ペップはそれを見つけたと私は思う」
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