公式戦まであと1週間、プレシーズンを振り返る。
ティト・ビラノバが病気のために監督を辞任し、ヘラルド・マルティーノ体制に急きょ変わるという出来事で始まった2013年のプレシーズン。主にレベルの下回るチームを相手にこなしてきた親善試合では、ネイマールやアレクシス、セスクの活躍など新シーズンに期待を抱かせる話題も多々あったのですが、強豪チームとの手合わせがなく、いまひとつチーム状態が見えないのはマイナスポイントでした。この夏の準備が成功だったかどうかはいずれ判明するわけですが、最初の公式戦(対レバンテ)まであと1週間と迫った今、このプレシーズンを一つまとめておきましょうか。
強豪との仕合のなかったツアー
バルサはこの夏、親善試合を6つプレーしています。その戦績は4勝1分1敗、得点27の失点6です。このプレシーズンの特徴は、いわゆる格下と言われるチームとの対戦がほとんどだったこと。トップレベルのライバルと試合をしたのはプレシーズン初戦のバイエルン・ミュンヘン(2-0)のみで、この日はさらに直前にビラノバが監督を退任していたうえ、コンフェデに出場した代表選手たちが10人不在で参考にはなりません。
その後はバレレンガ戦が0-7、レヒア・グダンスク戦が2-2、サントス戦が8-0、タイ代表戦が1-7、そしてマレーシア選抜戦が1-3。欧州の強豪との手合わせはなく、チームの競争力を測ることが出来ていないのが、シーズン開幕を週末に控えるなかでのちょっとした不安要素となっています。しかも暑さと湿度で疲弊し、ペドロ、メッシ、セスクが軽いながらも負傷。経済面ではガンペル杯を除いた5試合で1,000万ユーロを稼ぎ、マーケット面でもタイとマレーシアの市場を拡大するなど、充実していたのですが。
ネイマール効果で前線活性化
一方スポーツ面でプラスとなったことの1つは、ネイマールがバルサにフィットすると確認できたことです。この数年間のバルサは、アンリやビジャといった外様のクラックたちを半ば強引に左エストレーモに当てはめてきました。そして彼らはその新ポジションへの適応にずいぶんと苦労したのですが、ネイの場合はどうやらそんな心配は無用。得意の1対1を仕掛けたり、サイドを開いたり、エリアに切れ込んだり、大事なところではゴールも決めたりと、そのポジションに求められることを伸び伸びとやってのけています。ハイレベルなライバルと対峙した時にどうなるかですが、その頃には彼も更にフィットし、イニやアルバとともに恐怖の左サイドとなっているでしょう。
そしてブラジルの若きエースが加入したことで、アレクシス、ペドロ、テージョも加えたポジション争いも活性化。特に右サイドでメッシやネイマールとともにトリデンテの一角を占めそうなアレクシスは、昨シーズン終盤の勢いのままに活き活きプレー。充実したプレシーズンを送っています。テージョとペドロの調整が怪我によって水を差されたのは残念ですが、今季の前線はなにかと楽しめそうでなによりです。
セスクが躍動
中盤ではセスク・ファブレガスが目立っていました。土曜日のマレーシア選抜戦では負傷してしまったものの、バルサ復帰3年目を迎え、少年時代からの夢を果たすには勝負の年と気合の入っているセスクはピッチを躍動。サントス(2得点1アシスト)、タイ代表(1アシスト)、マレーシア選抜(1得点2アシスト)との3試合の出来はいずれも納得のいくものでしたし、この調子で活躍していければ、2013/14シーズンのキープレーヤーとなれそうな予感を漂わせています。ただマルティーノ監督がセスクをどう活かしていく考えなのかは今のところナゾ。今後、彼がどんな役割を与えられていくのかに注目です。
チアゴ・アルカンタラの退団を受け、チャンスの回ってきたセルジ・ロベルトも手応えのある夏を過ごした1人じゃないでしょうか。ド派手な結果は残しませんでしたが、ピッチに立った際は落ち着いたプレーで自分が戦力となれることを証明。残留を勝ち取ったジョナタン共々、チャビやイニエスタの後継者への道を進んでいってほしいところです。ただプレシーズンでは持ち味である前線への飛び出しは抑え気味だったので、本シーズンではもっとギラギラした感じのロベルトに期待。
両ラテラルはOK、セントラル問題は変わらず
最終ラインでは、両ラテラルには問題はありません。右はダニ・アルベスとモントーヤで、左はジョルディ・アルバとアドリアーノでカバーされている。タタさんが上手く使い分け、また不運な大怪我などがなければ、彼ら4人できっちり回っていくでしょう。
問題はやはりセントラルです。レギュラー候補のピケとマスチェラーノは計算が立つとして、リハビリ中のプジョルがどこまで復調できるかと、バルトラの成長がかなり未知数。マルティーノ監督がバルトラを戦力に数えているのは確かなのですが、この夏はむしろバグナックに主役の座を奪われているのが気になるところです。もしセントラルの補強があれば、“5番目の男”となるバルトラ。彼もまた生き残りを賭けたシーズンが待ってます。
最後にポルテーロはバルデスとピントで問題なく。プロフェッショナルな両人につき、心配はこれといってありません。契約が満了するバルデスだけでなく、ピントにとってもこれがバルサで最後のシーズンとなるでしょうから、思い残すことのないようフルパワーでチームを救ってくれることでしょう。またオイエルですが、タタはポルテーロ3人でのトレーニングを望んでいるため、そのままチームに残ることになるみたいです。
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