ダニのインタビューはいつもステキ。
8月12日のMUNDO DEPORTIVO紙に、ダニエル・アルベスのインタビューが掲載されています。ストレートな性格で歯に衣着せぬダニのため、彼のインタビューはどれも面白い。今回もまたその独自の世界を作り出していて、他の選手とは違った味わいです。
プロフェッショナルの心構え
2006年にセビージャでUEFAカップを獲得して以降、バルサやブラジル代表で20ものタイトルを獲得してきたダニ・アルベス。まさに勝利の星の下に生まれてきた、という彼ですが、あらゆるトロフィーを手にした今でも“魔に憑かれたようにボールを追いまくれるのは何故なんですか?と問われたダニはこう答えています。
「僕らの一番の悪習、それは勝つことなんだ。人は勝ちまくった時、どうなる?その後負けた時により痛みを感じるようになるよね。バルサのように多くを要求されるクラブでは、よく競うだけでは不十分で、タイトルを獲得しなければならない。それに人生においては勝った者は思い出されるけれど、二番手は忘れられるものだからね。僕はね、自分の子たちの手本になりたいんだ。彼らの見本になることが、僕のモチベーションだ」
それはバルサの精神と同じですねと言われたアルベスは、「ここの選手たちは皆、自分の仕事によってボスを満足させるために毎朝起床する。ここでは少しハードルを下げただけで、競争から外れてしまうんだ」とコメント。自分がレギュラーだと思っていないように聞こえますが、と訊ねられると、こう断言しています。
「(レギュラーだと)思ってないよ。その理由は第一にチームメイトへの敬意によるものさ。人生では敬意は欠かしてはいけない。自分をレギュラーだと思った瞬間から、チームメイトへの敬意を欠いていくことになるからね。それに僕は彼らのお手本でもありたい。チームのために全力を尽くすプロフェッショナルな競争者が前にいると思ってほしいんだ」
ではそこにユニフォームは影響するのか?ダニの答えはこうでした。「僕らはおそらく引退した時、このバルサでプレーすることが夢の世界を生きているんだと気付くんだろうね。僕にはまだずっと先のことだけれど、もし明日そうすることになれば、自分の目標を実現した男として引退するだろう。僕はクラブレベルで狙っていた物の全てを手に入れた。代表ではそうじゃないけど、僕にはもう1回チャンスがあるし、もし神が望むのなら次のムンディアルで得られるだろう」
そしてアルベスは「自分よりも良い選手はたくさんいたけれど、彼らにはきっと僕のような決意や成功への願望がなかったんだろうね。僕は自分が今どこにいて、どこからやって来たかをよく分かってる」と述べています。
ティト・ビラノバとタタ・マルティーノ
話は移り。ダニはティト・ビラノバについて、こうコメントしました。「彼はとても良い監督だったよ。第2監督だった時、彼はとても重要な役割を担っていた。表にいる人間がいつも一番重要だとは限らないんだ。彼は正しい決断を下したと僕は思うよ。どんな場合も、仕事よりも命の方が大事だからね。健康がなければ仕事も続けられない。彼が病気を乗り越えると僕は確信してるよ」
では、タタ・マルティーノについては。「彼の新しい哲学とコンセプトを僕は支持するよ。それは僕らが失っていたものだからね。僕らはそれを取り戻すために頑張ってるんだ。もし彼が計画するものを全て僕らが消化吸収できれば、すごくステキな一年になるのは間違いないね」
チーム内でのブラジル人とアルゼンチン人の関係はどうなのでしょう。「バルサでは僕らは同じチームでプレーをしている。上手くいく可能性はものすごく大きいんだ、ハハハ。同じ船に乗っている以上、同じ方向へと向かって漕がなければならない。僕らはみんな、同じ願いを抱いてるんだ。タタの提案はものすごく価値あるものだよ」
友人ネイマールに、バルサを知ってほしかった
そしてインタビューの一つの核心であるネイマールについて。「彼がサントスを出るなら、バルサに来るとは確信していた」というアルベスですが、入団を知ったのは世間と同じタイミングだったそうです。そこで質問。ネイマールの移籍に協力したことで、ロセイ会長にご褒美を要求しましたか?「ハハハ、してないし何も望みはしないよ。僕だって友人にはフットボルやこのチームのすごさを楽しめるよう、バルサに来てほしかったしね。ネイマールはチームメイトたちから多くを学んでいけると思う。彼はすごくいいヤツだよ。まだ子供なんだ。彼が子供から大人へと移り変わっていくなかで、少しずつ学んでいってほしい。それが僕の希望さ」
ダニは続けます。「みんなは心配する必要のない人間のことを心配してるよ。ネイマールは世界最高のクラブで勉強したいという希望を持ってきている。それが簡単に悪い方向へ行ったりはしないさ。彼はかなり謙虚な性格だしね。ここにはムンディアルやら、あらゆるタイトルを勝ち取った選手がいる。彼らはとてもグレートで、僕にとってもお手本だよ。彼らがそれだけのものを得られたのは、人となりや育ち方、メンタリティやプレー、謙虚さのおかげさ。僕はネイマールにはここへ来て、彼らを知ってほしかったんだ」
メッシも最初はぼちぼちでした。「そうなんだ。メッシがトップチームでプレーし始めた時、プロジェクトのリーダーはロニーだった。レオは自分の時が訪れるのを待ち、順応していった。人生では待つことも必要だよ」
チアゴの退団、ダビド・ルイスのウワサ
昨シーズンのチャンピオンズ準決勝でバルサは、トラウマになりそうなほどバイエルンに叩きのめされました。「言い訳は役に立たないけれど、僕らはあれが単なるアクシデントだったと証明したいんだ。あんなことはもう二度とは起こらないってことをね。準決勝で7-0負けなんてありえない。このレベルのチームでは馬鹿げたスコアさ。僕らの負けは順当だった。フットボルの良いところは、良い仕事をしていればまた別のチャンスが与えられる点だよ」
この夏はチアゴが出番を求めてバイエルンへと去った反面、セスクとテージョはオファーを受けながらも残留を選びました。ダニも去年は去就が注目をされた経験があります。「僕は毎年マーケットに出てるからね、ハハハ。でも僕はいつだって直球勝負だし、クラブもそれを分かってる。僕が彼らに望むのは、僕が構想外となった場合は、それを伝えてほしいということなんだ。逆に自分がもう役に立たないと思えば、それを彼らに伝えるだろう。それが僕のやり方。いつだって直球勝負さ。自分の中にハッキリとしたものがあれば、他は重要じゃない」
では、退団したチアゴには何かアドバイスはしてましたか?「バルサで戦えっていうのが僕のアドバイスだよ。でも同時に、バルサにいるだけで良しとしない選手は勇敢だとも思う。僕個人としてはチアゴは急いでいたと思うし、それは彼にも伝えたんだ。けれどもここで満足せずに別の可能性を求めた姿には脱帽もする。そういうところは好きだね」
バルサは今、ダビド・ルイスの獲得を目指しています。「もし彼が来れば、そりゃ嬉しいよ。僕はいつも友人たちの最善を望んでいるし、もし可能ならここへ来なよって彼らに言ってるからね。ただ問題は、彼が来たいと思うだけではダメだってこと。モウリーニョに彼を手放してもらう必要があるし、それは簡単じゃないだろう。ダビド・ルイスをバルサに行かせようなんて彼は考えないよ。少なくとも僕らを強くしようなんて思わない。相当に難しいし、ほとんど不可能じゃないかな」
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