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R. フェルナンデス「監督とのフィーリングの一致が不可欠」

バルセロナのスポーツ紙編集部をハシゴしたスポーツディレクター。

FIFAウィーク真っ最中のこの9月始め、FCバルセロナの新たなるセクレタリオ・テクニコ(強化部長)に就任して約1ヵ月半となるロベルト・フェルナンデスがバルセロナのスポーツ紙SPORT、MUNDO DEPORTIVOの両編集部を訪問、それぞれのインタビューを受けています。今夏は補強活動に大きな制限があったバルサですので、これまでに行った主な決断はアレン・ハリロビッチのスポルティング・ヒホンへのレンタル移籍。現在はラフィーニャ・アルカンタラとの契約延長交渉に取り組んでおり、続いて冬のマーケットでの活動計画、ネイマールとの契約更新など重要任務が待っているディレクターです。

ルイス・エンリケとは上手くやれると直感

ロベルト・フェルナンデスは1962年生まれの53歳。ディレクター職に着く前はフットボル選手として活躍しており、バルセロナでは暗黒時代~ドリームチーム前期(1986~1990)に196試合に出場し、47ゴールをあげています。80年代のトップスペイン人選手の一人に数えられるほどの実力者だったそうです。前任者のアンドニ・スビサレッタとは現役時代からの友人で、バレンシア時代の1994年にはチームメイトだったこともある間柄だったとMD紙のインタビューで語っています。

それによるとバルサから最初の接触があったのは1月中旬だったそうですが、オファーはスポーツディレクターではなく例の技術委員会のメンバーだったことで一度は拒否。その後何度か話し合ったのですがすぐには答えは出ず、チャンピオンズ決勝の数日後に監督と直接話し、フィーリングが合うと感じたことで強化部長就任を承諾したとのことです。ロベルトはこのインタビューの中で何度も、「監督と話し合い、良いフィーリングがあるかどうかを知ることが重要だった」と繰り返しています。

セクレタリオ・テクニコと監督の関係性を重視するロベルト・フェルナンデス。補強を巡ってフロントと監督の意見がぶつかるのが常であることを指摘されると、彼はこう述べました。「合意へと辿り着けるよ。多くの人たちが私たちに問題が生じるだろう、勝つのはいつもどちら一方だろうと考えているけれど、バレンシアやアトレティコで働いてきた私の経験上、そういうのは良くないんだ。監督と同じフットボル観がなければ、私はここには居なかっただろう。自分にとっては監督との関係が最重要だったとすでに言ったけれど、最初のミーティングが終わった後、“いける”と思ったよ。フィーリングが合う時は分かるものさ。選手としても私たちは似ていたしね、上手く機能していけることだろう。疑念は一切抱いていない

また前任者スビサレッタについては、SPORT紙のなかでこう称えています。「契約をする前と後に彼と話をしたよ。スビとはとてもいい関係なんだ。バルセロナでチームメイトだったしね。実際、彼はバルセロナですばらしい仕事をしたと思う」、「彼への批判?バルセロナのようなビッグクラブで働くのは簡単じゃないし、人々に注視されていることを自覚していなければならない。けれどもスビがスポーツディレクターとして優れた仕事をしたことに疑いはないよ」(SPORT)

ペドロの後釜、獲得することは可能

ロベルト・フェルナンデスへのインタビューはMD、SPORTともに結構長いものとなっていますので、幾つかのコメントをピックアップしてみます。

ペドロがMARCA紙に、イニエスタが移籍をサポートしてくれたと発言 「イニエスタはチームで非常に重要な選手。彼とは何度か話をしたよ」(答えずとも否定せず)(MD)

冬のマーケットでペドロの後釜を獲得するか? 「冬のマーケットは良い市場ではないからね。これからの4ヶ月間で、状況が変わる可能性はある。選手を獲得するのはとても簡単なことだけれど、バルサにとって良い選手を獲るとなると、非常に難しい。デランテロであれば尚更だよ。出場することも難しいしね」(MD)

「どうだろうね。確かなことは、カバンの中に複数の名前があること、1月には私たちが獲得を可能だということだよ」、「ペドロの退団が私たちにとって問題だったのは明らかだ」、「プレッシャーは感じていない。最終的に1月に補強があるかどうかも定かではないしね」、「私たちにはすでにすばらしいチームがあり、それをさらに良いものとしていくのはとても難しい」(SPORT)

学びにくる若手と、控えを受け入れるベテランとどちらが良いか 「複数の選択肢が出てくるだろう。若くて活きの良い選手は、おそらく来ない。選手が望まない、高額、他のチームへ行くなどの理由でね。おそらくは別のポジションの選手を必要としている時に、プレー時間の少ないであろう選手に出費することが利益になるかどうか、分析しなければならない。人々が何故だと訊ねるような決断をすることもあるだろう。それはクラブのためなんだ」(MD)

スビサレッタはバルサ出身選手を高額で呼び戻すことに反対 「私の場合、バルサにとって必要で良い選手であれば、呼び戻すだろう」、「ノリートやセルタとの合意?それはない」(MD)

ノリートはお好き? 「バレンシアで15歳の彼を獲得したのは私だ。ルイス・エンリケもまた彼のことをよく知っている」(MD)、「ただし、彼に関して真剣に動いたことは一切なかったことは確約できる」(SPORT)

サンドロとムニール 「就任会見で彼らについて触れなかったのは、ここへ来たばかりであり、どんなことも起こりえたからだ。もしペドロが残留していれば、状況は異なっていただろう。ペドロが不在となっては、彼らを出すわけにはいかない」、「これからの4ヶ月間が彼らにとってのテスト期間だとは見ていないよ」(MD)

「自分たちが一歩前に出なければならないことを、彼らは知っている。彼らの時が訪れたんだ。それを活かさなければならない」(SPORT)

メッシはずっとバルサでプレーする

バルサの居ないメッシを考えているか 「ノー。彼は生涯、ここでプレーをするだろう。残念なことに常にプレーをするというわけにはいかないだろうけど、メッシにはまだ何年もの時間が残されているさ。先は短いと考える人は多いけれど、彼は非常にインテリジェントな選手だ。ピッチでの場所を見つけるだろうし、常に決定的な存在となっているだろう。当然、人は年を取るし、幾つかのものを失いはするけれど、頭の良い彼だから成績はいつも並外れているんじゃないかな。彼には天賦の才能がある」(MD)

ネイマールの契約更新 「私の責任はスポーツ面まで。その件はすでに執行部へと行っている」、「ネイマールのスポーツ的な評価は最高クラスだよ。彼のことは数年前から知っているし、アトレティコのために獲得したかった選手だ」(MD)

ラフィーニャとアドリアーノの契約更新 「サイン手前まできている」(MD)

「監督はアドリアーノが多くの貢献が出来る選手だと考えており、私たちは彼に同意してるよ」(SPORT)

この夏の主役だったポール・ポグバ 「挙げられているような金額では、彼がバルセロナへと来るのは不可能だ」(SPORT)

マドリーがアセンシオやバレホといった若手を獲得 「他のクラブがしていることには首は突っ込まないよ。ハッキリさせておくべきは、私たちはマーケットで関心のある選手たちの情報を集めてはいるけれど、スカッドでどの箇所を補強すべきかを見なければならないということだ。非常に良い選手であっても、すでにスカッドでカバーされているなら、獲得することはないだろう」(SPORT)

カンテラーノについて

トップチーム昇格の可能性のあるカンテラーノ 「何人かの選手たちは、カンプノウへと辿り着ける力がある。けれどもバルサのレベルは非常に高く、プレーするのは非常に難しいんだ。上がってくる選手をサポートすることは、私たちの責任(義務)だ」(MD)

カンテラパワーの低下を感じるか 「ノー。この3年間の他チームの状況を見れば、バルセロナは育成部門から最も多く選手を引き上げているチームだ。エリートチームに残ることが、どんどん難しくなっているんだ。けれども私たちは今季サンドロムニールをフィリアルから昇格させ、去年はセルジ・ロベルトマシップを上げている。チャビ、イニエスタ、メッシのようなジェネレーションは再現不可能であることを、私たちは知らなければならない」(SPORT)

「フットボルバッセは私の担当ではないけれど、成長を続けていけば3-4年でブレイクすることが可能な選手が数名いるよ」(SPORT)

Bチーム選手のレンタル政策 「現在のところはアダマ、ハリロビッチ、デニス・スアレスがレンタルに出ているね。私はレンタルには大いに賛成だよ。フットボル選手はプレーしなければならないから、貸し出すのは良いことだ」(MD)

アダマ(アストンビラ)は完全移籍。もっと良い方法はなかったのか 「良い質問だね。私としては、ある案を考えることができるけれど、最終的にはどこへ行くのか決めるのは選手と代理人だ。キミたちもそれは知っているだろう。彼の場合はそうなったということ」、「もちろんペップ・セグラ(Bチーム担当のSD)は説得したことと思う。例えば私は、ハリロビッチと何度も何度も話し合ったよ」(MD)

Bチームのトップチーム昇格条項を維持していくか 「義務が生じることは好きではない。ハリロビッチに関しては、彼と代理人を説得するのにとても疲れたんだ。彼はまだ何も成してはおらず、大きな可能性を秘めてはいるけれども、まずは私たちと好い関係にある監督のいるプリメーラのチームへ行くべきだとね」(MD)

ハリロビッチのヒホン移籍を決めたのはあなた? 「そうだ。バルセロナのテクニカルディレクターとなって、最初に下した決断がハリロビッチについてだった。私はアレンには大いに期待しているし、良いタイミングで成長するために理想的なチームに行けたと思う。問題だったのは、トップチームでプレーするという約束だった。けれども彼と話をした後では、説得するのは簡単だったよ」(SPORT)

デニス・スアレス 「彼の問題はセビージャでの出場時間がないことで、ビジャレアルへと行くのがベストだと私たちは考えた」(SPORT)

自転車狂がまたひとり

ちなみにルイス・エンリケとフィーリングが合うと直感したロベルト・フェルナンデスですが、彼にはもう一つ、ルーチョと心が通じ合いそうな部分があります。それは彼が大の自転車好きである、という点です。SPORT紙によると、彼はこれまでに様々な競技会に参加するほどのサイクリストで、距離285km、高低差5,500mというレース(LA TITACICA)にも出場したツワモノだとか。これはもう趣味の域をゆうに超えています。53歳となった今もスポーツマンの体力は維持しているということで、ルイス・エンリケウンスエらと休日サイクリングに繰り出す日は遠くないんじゃないでしょうか。

 

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