現在はメッシ、ネイマール、スアレスの時代だと元バルサの10番。
バルセロナ系のスポーツメディアではここ数日、ロナウジーニョの話題がよく登場しています。今週バルセロナで賑やかに催されたMUNDO DEPORTIVO紙主催によるセレモニーに出席し、功労賞を受賞されたロニーは、さすがにバルサを暗黒時代から救い出した英雄だけあって注目度も抜群。すでにカタルーニャを離れ、3日にはバチカンにてフランシスコ教皇と面会したことでも話題になったクラックですが、木曜日にはCADENA SERの番組 Que t’hi jugues! のなかで彼のインタビューが放送されるなど、バルサ周りにまだまだ余韻を残しているところです。卓越したプレーだけでなく、人柄もまた魅力ある選手です。
ロナウジーニョ伝説
このインタビューの中でロナウジーニョは、バルセロナ時代のことやネイマール、メッシについて楽しく語っています。まずは彼自身のこと、彼にとってもクラブにとっても一大転機となった、バルサ入団についてはこんな感じです。
「僕がバルサと契約をしたのは、（当時副会長の）ロセイとすごく仲が良かったことと、ロマーリオやロナウドといった僕のアイドルたちが全員バルサでプレーをしていたからだよ。マドリーに行く可能性？兄の元へはかなり電話がかかってきていたし、彼はたくさんの人と話しをしていたけど、おかげさまで僕はバルサに入団した」
バルサにおけるロナウジーニョ伝説は、“ガスパチョの夜”から始まります。それは2003年9月3日、代表戦絡みの諸般の事情により、なんと深夜0時5分からキックオフとなったセビージャ戦でのことでした。58分、まだ髪の毛をふさふささせていたビクトル・バルデスが投げたボールを自陣で受けたロナウジーニョが、ドリブルを開始。スピードに乗ってひらり、ひらりとセビージャ選手を二人かわすと、30mはあろうかという位置から右足を振り抜き、漫画のようなドライブシュートがクロスバーに当たりながらもネットを揺らすのです。期待の若手がいきなり決めたこのゴラッソに、深夜にもかかわらずカンプノウを訪れた8万人の観客が大熱狂。数キロ離れた地震計が揺れた、などの逸話も残しています。
「あのガスパチョの夜から全てが始まったね。真夜中に試合をするぞ、って言われた時、初めは冗談だと思ったよ。でもそれが事実だと分かった時、僕は自分にこう言ったんだ。“申し分ないじゃないか、0時は僕の時間だ！僕が起きてる時間だ”ってね」
さすが^^； ちなみにこの試合（というかこの節）は日本でのテレビ放送がなく、当時のファンはすごいのを見逃した！とかなり立腹していました（時間が時間だけに、現地でも中継されなかった）。時を同じくして“リーガゲッツ事件”なんてのもありましたね。まあそれはさておき。。何故“ガスパチョの夜”なのかといえば、深夜の観戦を盛り上げるため、クラブがファンにアンダルシア名物のガスパチョ（冷製スープ）を振舞ったから。伝説には良いネーミングも欠かせません。
ロナウジーニョ伝説といえば、サンチャゴ・ベルナベウの拍手も外せません。「僕にはミモっていう友人がいるんだけれど、その彼がベルナベウで僕に拍手したセニョールにすごく似ていてね、今でも僕らは、あれは本当にキミだったんじゃないかってからかうんだ… ベルナベウでの拍手のような幸せな経験をした選手がごく僅かなのは事実だよね。今ではベルナベウの拍手が何を意味するのかを知っているし、すごく嬉しいよ。以前は自覚していなかったんだ。でも時間が過ぎて、分かった。あの試合、あのプレーは何度も見返したよ」
秘奥義・背中落し
エスパルディーニャ ロナウジーニョ・ガウチョといえば、超絶技巧に遊び心を加えたトリックプレーが魅力です。彼が行うことで有名になった技は幾つもあり、背中でトラップして落とすエスパルディーニャもその一つ。この技について、クラックはこう説明しました。「あれは狙ってやったプレーだよ！僕は相手を欺くために、いつもトレーニングで新しいことを探しているんだ。チームにとってプラスにならないことは決してやらないし、トレーニングで僕にバカなことをさせてくれたチームメイトたちには感謝をしてるよ。あれはチームに役立ったしね」
どの試合かは分かりませんが、ロナウジーニョは右からのクロスを背中で落とし、ジュリのゴールをお膳立てしています。相手のデフェンサたちは意表を突かれ、一瞬動きが停止。ロニーの狙いは大成功でした。ESPALDINHA で検索すると動画が出てきます。
ベストゴール 数々のゴラッソを決めてきたロニーにとって、自身のベストゴールは子供時代に決めたゴールだそうです。「自分が決めた中で一番好きなゴールは、子供の頃にフットサルで決めたやつだね。今でもあれはモンタージュ（編集）じゃないかって訊ねられるんだけど、そうじゃないと断言するよ。CMにも使われたから、いまだに本当かって訊かれるんだ」、「バルサでのベストゴールは、チェルシー戦のやつだよ。あれはダンスのようなゴールだったね。フットボルにはダンスの全てがある。革新やら、身のかわしやらね…」
親友メッシ、そして後輩ネイマールについて
メッシ バルサの10番の後継者、レオ・メッシについても、ロナウジーニョは楽しそうに語っています。「メッシは僕の最高の友だった。ロッカールームで僕らは一緒に座っていたし、彼はいつだって特別だったね。理由は知らないけれど、神は誰かを選ぶ。彼もそういう人間だよ。メッシを初アシストしたこと？あのね、僕だって良いことをやったんだよ！僕がしたことの全てが悪事ってことはないんだ」
「メッシは常に他とは違っていたよ。彼がトップチームに上がってきた時から、僕らは上手くいった。僕はただ彼を手助けしたいと思っていたね。コービー・ブライアントに僕はメッシが史上最高になるって言ったよ。彼を毎日見ていたものからすれば、そう考えるのは簡単なことだったんだけど、コービーのように毎日見ていない人にとっては難しかったみたいだ。ジョーダンの後、コービー・ブライアントは僕のアイドルさ」
「僕はこれまで目にした選手の中で、メッシが最高か？僕の後では、そうだね（笑）。フットボルにはその瞬間ってものがあるし、現在はメッシ、ネイマール、スアレスの時代だ。でも僕の時代なら、彼らは控えだったろうけどね（笑）。ああ、メッシは控えじゃないだろうけど、他の二人は控えだよ（笑）。冗談冗談。メッシ、ネイマール、スアレスが現在のベストさ」
ネイマール ブラジリアンクラックは母国の後輩ネイマールに関してもコメントしています。「僕はフットボルを発明したりはしなかった。他人のプレーをコピーして、ドリブルに自分の色を出したんだ。ネイマールはブラジル人であることやポジションによって、僕と比較をされるだろう。でも彼には彼の道がある。ネイマールと僕のプレーは違うし、選手にはそれぞれのスタイルがあるんだ。彼は自分のプレー方法によって、世界最高選手になっていくよ。比べる必要なんてないさ」
「ネイマールがマドリーへ行くか？僕が望むのは彼が幸せであることだよ。友人だからね。彼がバルサで歴史を作り続けるなら、僕としては大喜びさ。でも残留すべきか、あるいは移籍すべきかの助言を僕から送ることはない。彼はただ自分の心に従えばいいんだ。誰かにとって良いことが、別の人にも良いとは限らないしね」
参考までに、ロニーはMD紙のセレモニー後のメディア応対においては、「ネイマールがマドリーに行くとは思わないよ。彼は世界最高のチームで世界最高の選手たちとプレーをしているんだ」との見解を述べています。
作り話には腹が立った
バルサとの別れ この世界に変わらないものなどないように、バルサの太陽王となったロナウジーニョにもまた、クラブとの別れの時は訪れました。2003年の入団から5年後の夏のことです。「自分のバルサ時代が短かったとは思わないよ。チャンピオンズで優勝したのは一度だけだったけど、、バルサがクラブの歴史の中で優勝したのは全部で何回だ？って話でね。ファンはいつだってより多くを求めるものだけど、僕らは多くのタイトルを手にしたんだ。僕らはクラブの歴史に多くを残した。でも人はいつだってもっと多くのことを求めるんだ」
夜遊び このインタビューではロナウジーニョのプライベートな話題、有名なる夜遊びについても訊ねられています。ロニーさん、お怒りです。「僕が出歩くのが好き？キミたちと一緒だよ！それがパブリックな人間の場合は、話が何倍にもなるんだ。フットボル選手の周辺には、たくさんの伝説がある。僕が不愉快だったのはウソ話だよ。僕が水の入ったグラスを持っていたなら、ウォッカって言われるんだ。キミがウイスキーを飲んだところで誰もキミのことを気に留めないけれど、キミが有名人だった場合は多くのことを要求される。僕がグラス一杯飲んだら、それで僕は飲んだくれだよ。そういうのに僕は苛立ったね」
「ここではブラジルよりも敬意を持って扱われるね。ここではアスリートは感心される。でもフットボルに記憶ってものは存在しないんだよ。水曜日にやったことが、日曜日にはもう忘れられてる。それにフットボル選手は機械じゃないしね。物事が上手くいかないことも時々はあるさ」
コメント