キラー・スアレス4得点、スーパーメッシ3得点。
ハットトリックを達成した選手が、その記念にボールを持ち帰る。ハットトリック巨匠たるレオ・メッシ(バルサで34回目!)の存在によって、バルセロニスタにとってはすっかり馴染みとなっているその光景ですが、二人の選手が同時にボールを持ってロッカールームへと引き上げる画となると、さすがに記憶にありません。FCバルセロナが要塞カンプノウにバレンシアを迎えたコパ準決勝イダは点差をつけて勝つことが目標で、その可能性は十分にあると予想はしていたものの、まさかこれほどの大差(7-0)が付こうとは。これにてシーズン最初のファイナル行き切符は、絶対といっても問題ないほどに確定的です。
圧勝で目標達成
今回のバレンシア戦をプレーするにあたって、ルーチョバルサにはひとつの目標がありました。それはこのカンプノウにて大勢を決してしまい、メスタージャでのブエルタを消化試合とすること。ムンディアリートのために日本へと遠征し、クリスマス休暇もそこそこに年末からすでに10試合をこなしてきたバルセロナは、2月にもみっちりと8試合が組み込まれています。3月の第2週まで毎週2試合のカレンダーが続き、10週間でプレーするのはなんと20試合。ここで準決勝ブエルタをエネルギー節約可能の場にしたのは、チームコンディションを調整するうえで非常に大きいです。
ゲームはキックオフ直後からバルサペースで進んでいきました。マラガ戦-アスレティック戦-アトレティコ戦と3つ続けて緩~く試合に入り、早々に先制点を奪われては逆転で勝つという危ない橋を渡っていバルセロナでしたが、このバレンシア戦は万事順調。選手たちは集中力十分で試合に入り、ベストのひとつと言えるパフォーマンスでバレンシアを圧倒しました。そしてルイシートが立て続けに2ゴール。カンプノウ対決を出来るかぎり僅差で乗り切り、メスタージャへと望みをつなごうとしたガリー・ネビル監督の目論みは、わずか10分ほどで崩れ去ったのでした。
リーガでは11試合勝ちのないジリ貧のチームと、公式戦25試合無敗+8連勝中のチームとでは、勢いの差は歴然でした。しかも今回、バルサのクラックたちは誰もが見事にスイッチオン状態。4得点を決めたルイス・スアレス、3得点のメッシのみならず、ゴール運にのみ恵まれなかったネイマールも、イニエスタも、アルダ・トゥランも、アレイシ・ビダルも、ブスケツも、ピケも、ジョルディ・アルバも、おまけにマティエウ(今日から呼び方変更^^;)もみんなが輝いているとなれば、自信を失っているバレンシアに青えんじの嵐を押し止める術はありません。結果、準決勝にあるまじき7-0なるスコアの誕生です。
3-0でも上出来と思っていたところが、まさかの7-0。いくらメスタージャとはいえ、今のバルサがブエルタにてこのアドバンテージをひっくり返されるなんて現実的にはありえませんし、コパ決勝行きのチケットはすでに手に入れたと考えたとして傲慢にはならないでしょう。決着の付いた試合に主力をつぎ込むことの方が疑問を持たれるわけで、出たがりトリデンテたちもさすがに次は休んでくれるんじゃないでしょうか。スアレスは試合終了後、「ルイス・エンリケがブエルタで僕を休ませたとしても理解するよ」とコメントしています。ムニールとサンドロ、出番ですぞ。
完璧ブスケツ
スポーツ各紙の表紙を飾っているルイス・スアレス、メッシがこの大ゴレアーダの主役だったのは間違いないですが、一方でこれはセルヒオ・ブスケツが完璧なプレーを披露した試合でもありました。どうやったらそれだけ次にボールの転がる場所が分かるんだ?と思うくらいにセルヒオはボールを拾い集め、昨夜の奪取数はなんと驚異の28回と(SPORT)。パス供給がすばらしいのは言うまでもなく、アシストをお膳立てするボールを何度も送り込んでいました。この出来栄えのブスケツがいれば、バルサは無敵。スアレス-ブスケツ-ピケ-テル・ステーゲン(ブラボ)の中心線が強固なんですから、このチームはそりゃ強いです。
ルイス・エンリケ 「クレにとって最高の一日だった」
スタジアムを訪れたバルセロニスタがもれなく大満足して家路についたフィエスタ後でしたから、ルイス・エンリケがチームパフォーマンスに不満を漏らす理由はありません。試合終了後のバルサ監督は満足な様子で「全体として全てがよかった」とチームを評価し、次のように理由を説明しています。「コパ・デル・レイの準決勝、しかも日程が詰まっている中で、これだけ滑らかに、自信と確信をもって応えたチームを目の当たりにしたんだ。選手たちを祝福するしかないよ。彼らはすばらしい。私たちはタイトルを獲得し続けることを目標にしているし、もしそれが良いフットボルによって達成されるなら最高だね」
そしてルイス・エンリケは珍しく、「ブエルタが残ってはいるけれど、決着は付いた」とチームの決勝進出は確実だと明言。しかしながらメスタージャで手を抜く考えはないとして、こう述べています。「他の試合と同じように、ブエルタも真剣にプレーしていくよ。目指すのは勝利だ。今回の結果が異なっていたとしても、そこに違いはなかっただろう。私たちは試合に勝ち、楽しむためにフットボルをプレーしているんだ」
トリデンテやブスケツだけでなく、チーム全員が良かったと監督は強調します。「全員が良かったよ。前線は決定力を示し、中盤はしっかりと試合を読んでスペースを見つけ出していた。(プレーした)14人はみんな素晴らしかったし、そのうちの一人だけを取り上げるのは正しくないだろう。私たちは相手に一度のチャンスも与えず、試合を通じて野心的だった」
「試合内容はこれから分析していくよ。そこで改善すべき点も見付かるだろう。プレッシングの際に幾つか間違いがあったと思う。けれども選手たちは機械ではないからね。それらは単なるエピソードだよ。全般としては私たちが非常に上回っていたし、無数のゴールチャンスを作り出していた。試合のリズムも危険を生み出すのに必要なものだった。プレッシングも効いていた。(オフサイドで)無効になったゴール以外は、トランジションで苦しむこともなかった。楽しい試合だったよ。私たちにとって最高の一日だったね」
「目指すのは可能なかぎりタイトルを獲得するために、焼き串にすべての肉を突っ込むことだ。フィジカル面で今私たちは良いレベルにある。何人かの選手は出場時間が多くなっているけれど、新たに加わった選手もいることだし、彼らを休ませる機会はあるだろう。決定的になる4月や5月に、良い状態で臨んでいきたい」
ペナルティキックをまたも外してしまったネイマールに関しては、「フットボルはエラーのスポーツだ」としたうえで、「いつものようにプレーしていたよ。彼は陽気で、機知に富み、フットボルを楽しむ選手だ。プレー面でも成長を続けているし、攻守両面でカギとなっている。他のデランテロたちと同様、不可欠な選手だよ」と称えたルーチョでした。
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