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さらばチャンピオンズ:アトレティコ戦

ヨーロッパ連覇は夢と消えた。

無敵は言い過ぎとして、ちょっとやそっとでは負けようがないと見られていたチームが、わずか2-3週間で負けの泥沼に陥ってしまう。スポーツの世界はなんとも恐ろしいものだと改めて痛感します。ビセンテ・カルデロンにて行われましたチャンピオンズ1/4ファイナル第二戦は、グリースマンが2度ネットを揺らしたアトレティコ・マドリーが2-0で勝利。バルセロナはカンプノウで手にした2-1のリードを守ることができず、大耳連続獲得の夢にサヨナラを告げることになりました。

勝負事なので負けるのは仕方ないとして、ここ最近のチームの元気のなさはどうしたことか。一応頬をつねって見ますが、悪い夢でした、なんてオチはありません。

最悪のタイミングでガス欠

ロッカールームが今季どのタイトルよりも熱望していたというチャンピオンズの生き残りを懸けた試合ですから、選手たちが呆けていたなんてことはありません。彼らは自分たちのやれるベストを尽くそうとしたはずです。しかし可能だったのはゴールへとつながらなかったポゼッションくらいで、バルサ対策を見事に講じてきたシメオネチームの堅く気合の入った守備を崩すことはほとんどなかった。オレたちだって鋭くパスをつないで崩したい、でも出来ねえんだよ!との叫びが聞こえてきそうです。

バルサが全くバルサらしくなくなった理由については、まず考えられるのが疲労です。プレシーズンが始まるやUSAツアーに出て、基礎体力作りもそこそこに移動と試合。それが終われば2つのスーペルコパとリーガ開幕。代表戦のある選手は9月から今まで、ほとんど毎週2試合のスケジュールをこなしています。FIFA制裁で夏に選手の新規登録が出来なかった事も、ボディブローのように効いてきました。1月2月ではなく、この4月にガス欠になってしまったのも誤算だったでしょう。3月末の代表戦からのチームの失速は、正直あまりに予想外でした。

いずれにせよ、ルーチョバルサに残された2015/16シーズンはあと7試合です(リーガ6+コパ決勝)。今週末から始まる中2日でのリーガ3連戦(17日バレンシア、20日デポル、23日スポルティング)を乗り切れば、あとは週末の試合のみ。リーガのライバルであるマドリー勢がチャンピオンズ準決勝をプレーする間、身体を休められるのは不幸中の幸いといえます。逆の立場なら、充実したしんどさなら大歓迎と答えるのは間違いないですけれど。

前半のゲームプラン

チャンピオンズの舞台から去らなければならないのは、いつだって辛いことです。しかしかつて連覇したチームが無いことから分かるように、このコンペティションで勝ち続けるのは至難の業。敗退もまたチームの権利のひとつです。

ただ残念なのはルイス・エンリケの立てた、前半は0-0でいきましょうというゲームプランです。戦略としては間違っていはいませんし、後半に上手く0-1に出来ていれば、してやったりの結果になっていたかもしれない。けれどバルサがバルサであるためにはゴールを狙う必要があり、前半45分間のシュートがわずか3本、枠内は1本だけなんて悲しいじゃないですか。体力的に見て、後半勝負に賭けたのだとは思うのですが…。

しかしバルセロナのプランは36分のグリースマンのゴールで崩れます。バルサの弱点となってしまっている左サイドを突き、クロスを送り込んで中央の選手が決める、というのはレアル・マドリー戦やレアル・ソシエダ戦でもやられたパターンで、チョロ・シメオネがそこを見逃すことはありませんでした。スコアを守りにいって、それでやられては厳しいです。

バルサのアイデンティティ

攻撃面で気になるのはやはりレオ・メッシのポジション取りで、最近は中央下がり目の位置にばかりこだわっているのは何故なのか。ラジオ局SERが報じた筋肉系トラブル説をバルサは否定しているとのことですが、ここ4試合の彼を見ていると、あながちウソではないんじゃないか、と思えてきます。そしてメッシが輝かなければ、ルーチョバルサは苦悶する。繰り返されたピケの9番プレーも効果を発揮せず、ネイマールは試合のほとんどで行方知れずでした。

怪我や出場停止でないかぎり、南米トリデンテは交代させないとの特別扱いが、結果としてチームの硬直化を生んだように思えます。もしルイス・エンリケがトリデンテとなんらかの“協定”を結んでいるのなら、このチャンピオンズ敗退はそれを見直すきっかけになるのではないか。劇薬とは言わずとも、なんらかの変化でチームに新しい風を起こすことが必要ではないか。変えるといってもさほど選択肢は多くないのですが、このままではマズイです。

らしくないプランで敗れるのは、フラストレーションが溜まります。圧倒的にシュートの雨を降らせながらも、ディ・マテオのチェルシーに上手くやられ、誇り高くチャンピオンズを去った2011/12シーズンとは後味が全然違う。あの時はペップの「私たちの順番ではなかった」という名言が、すっと心に入ってきましたが、今回はどうでしょうか。ルイス・エンリケが常々否定している“様子見プラン”で敗れてしまったわけですから、監督への信頼も危うくなるでしょう。

勝負事なので、勝ち負けは仕方ない。でもバルサは面倒くさいチームなので^^;、アイデンティティや哲学も守らなければ失意を生みます。バルサ暮らしの長いルーチョはそのあたりを百も承知でしょうから、それだけどうにもならないチーム状態だったんですかね。悲しい前半45分でした。

ということで、さらばチャンピオンズ。また会う日まで。日曜日のバレンシア戦まで嘆いている時間はほとんどないですから、なんとか立ち上がって勝利をもぎ取りましょう。クレ諸氏の元気も一晩眠って復活しますように。

 

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