右は新戦力らしからぬ適応、左はメッシと抜群の相性
エルネスト・バルベルデがバルサを率いるようになって、公式戦はまだ5試合を終えたところですが、監督の持ち味はじわじわと形を表し始めています。8月になってネイマールを引き抜かれたことは大きな痛手だったでしょうし、スーペルコパでは残念な思いもしたでしょうが、そこからの対応が良かった。ペップ時代のカギだったハイプレッシングや集団の連動性が戻ってきたことが、今後へ向けた期待を高めてくれます。新戦力たちのここまでの働きに不満はないですし、ネルソン・セメドに関しては去年からいましたっけと錯覚しそうです。
すばらしいラテラルとなりそうな予感
バルサデビュー戦などは、どこまでいくべきか分からないといった様子でラテラルをさ迷っていたセメドでしたが、今ではもう第二のウンティティになるんじゃないかと期待されるほどにバルサに馴染んできています。彼が元気であるかぎりセルジ・ロベルトがラテラルに戻ることはないでしょうし、アレイシ・ビダルとのポジション競争にもリード。現時点ではセメドが右ラテラルのレギュラーとしての信頼を、監督やファンから勝ち取ったと言えるでしょう。
なんというか、ネルソン・セメドがボールを持つと、そのキビキビとした動きに胸が弾みます。まず迷わず前へと進んでいくのが好いですし、その攻め上がりのスピード感が良い。だいたい時速30kmほどを計測するようなので、控えめにいって右サイドの弾丸ってとこです。前方のデウロフェウが果敢にチャレンジを繰り返していたので、セメドの攻撃は控えめでしたけれど。
その速度を活かした守備も冴えていて、すばやく帰陣してボールを奪取し、スタンドの拍手を受ける様子は見ていて嬉しくなります。まだまだ改善すべきことは多いにせよ、わずか5試合でこのパフォーマンスですから、どんどんと申し分ないラテラルに成長してくれるだろうと期待は膨らむ。獲得を推していた選手だけに、カンプノウで大輪の花を咲かせてほしいです。
復活したジョルディ・アルバ
左サイドを疾走する弾丸ラテラルの先輩、ジョルディ・アルバもバルベルデチームになって恩恵を受けている選手の一人です。昨シーズン後半は悩めるルーチョが3バックへと変更したことで、ジョルディ・アルバの出場機会は大幅に減少。くすぶってた感もありましたが、今季はチングリに高速フリーウェイを用意され、才能を存分に示しているところです。デウロフェウやデンベレを右に配置したことから、バルベルデの信頼の篤さが伝わってきます。
そしてアルバはミスターのその信頼に結果で応えています。メッシとの相性の良さも彼の武器の一つ。アルバのボールにマークを外してニアに詰めたメッシが決める、のは今季の黄金パターンの1つとなっており、アラベス戦で1つ、先週末のエスパニョール戦でも2つの合計3アシストと、5得点でピチーチ競争で首位を走るレオの最高の相棒となっているジョルディです(昨季のリーガは1年で6アシスト)。
このジョルディ・アルバの好調を受け、バルベルデがいつまで左エストレーモを置かないシステムを続けるか、も興味深い点です。上手くいっていることはイジらない、の法則に従うのであれば、メッシの偽9番と共に、デウロフェウやデンベレはもうしばらく右サイド担当でしょうか。
ネルソン・セメドとジョルディ・アルバ。彼らにエストレーモを加えた両翼が敵陣をえぐるフットボルを見ると、これぞバルサの伝統芸とクレは嬉しくなります。強豪ユベントスを相手にバルベルデがどう出てくるか、楽しみです。
両選手のエスパニョール戦後のコメント
ネルソン・セメド
「プレーできて幸せだし、勝てたからさらに幸せだよ。勝つことがこのデルビの目標だった。今はもう次の試合のことを考えてる」
「僕の気分は良いよ。この数日間で良いトレーニングができた。デンベレとは先週から一緒にハードワークしているし、デウロフェウとも初日から通じ合えたんだ」
ジョルディ・アルバ
「僕はサイドを上がるのが好きなんだ。もし僕に全部を使わせてもらえるなら、最高だよ。僕はあらゆることに順応するし、エストレーモのようにも良いプレーをした。今のところは誰がプレーをしてもすごく上手くいってるね」
「結局のところ、僕らは全員が仕事バカで、何をしなければならないのか全員が知っているんだ。ミスターが僕らにそれを求めている」
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