およそ40分間にわたる就任スピーチで希望を語った新会長
クラブを再び栄光の道へと戻していくために尽力するという
ジョアン･ラポルタのFCバルセロナ新会長就任式典が昨日、カンプノウのパルコにて執り行われました。彼の理事会メンバーやファーストチームの選手たちに見守られながら、6年間の会長生活を始めたジャンさん。選挙から就任までの10日間にもいろいろありましたが、無事就任を終えたことでバルサもようやく前進していくことができます。内乱などのない、成功に満ちた6年間となりますよう。
パルコでの就任式典
さて、ジョアン･ラポルタ新会長の正式誕生です。121年前に産声を上げたこのクラブの、第42代プレジデンテ。その就任式典が昨日（3月17日）カンプノウのパルコにて執り行われ、300人以上の招待客が駆けつけています。
下がその動画。みなさんマスク着用ですが握手とかハグとか盛んに行っていて、文化の違いを感じる次第です^^
オープニングでステキな歌声を披露しているのは、地元タラッサの歌手 Gemma Humet さんです。調べてみたら、日本のAmazonやHMVでも取り扱いがありますね。いい声。
曲はカタルーニャ人歌手で小説家、独立運動にも積極的に参加しているという Lluis Llach の Un núvol blanc（白い雲）です。1985年7月6日にカンプノウにて行われた10万人コンサートで歌われた･･･ らしく。本家も良い歌唱なので、興味が引かれた方は是非。
ジョアン･ラポルタの会長就任スピーチで感心したのは、40分近くも続いたそれを、原稿を一切読まずに喋っている点です。弁護士で政治家とはいえ、長すぎる演説は辛いとはいえ、これはさすが。父について言及した際には、目に涙を浮かべ人々の感情を刺激しています。
選挙キャンペーン時から「バルセロニズモ全体の団結」を訴え続けた会長は、支持者となる人々だけでなく選挙戦のライバルだったビクトル･フォンとトニ･フレイシャ、前会長ジュゼップ･マリア･バルトメウやサンドロ･ルセイ、クラブ職員、各スポーツセクションの選手たち、各種スタッフなどを全方面的に招待した模様です。
メッシへのウィンク
そのなかでも注目を集めたのが、ファーストチームのカピタンで伝説の レオ･メッシ。 ラポルタはメッシに対し、次のようなメッセージを送っています。メッシもしっかりラポルタの目を見て応じていますね。
「私はここにクラブを率い、決断を下し、言い訳することなく責任を引き受けるために来ました。状況に立ち向うためにです。そして同時にレオが残留するよう説得を試みるためでもあります。出来ることは全てやっていきますし、彼はすでにそれを知っています」
「私たちが彼の残留を試みるのは、彼が史上最高の選手だからです。彼は良いと思うことをすれば良いのですが、私たちは説得を試みます。そしてこの場で話すことを許してほしいのですがレオ、キミは私がキミをとても尊重していることやバルサがキミをとても愛していることを知ってるよね。もし試合の時にスタジアムが満員に埋まるなら、キミは出て行けないと私は確信しています」
新たな世代のお手本となることを願う新会長
ラポルタは就任スピーチにて、他には次のように語っています。
選手たちに向けて
「何百万人のバルセロニスタに希望を取り戻せるのはキミたち選手たちです。私がサンティアゴ･ベルナベウの前に“あなたたちにもう一度会いたい”という横断幕を掲げたのは、キミたちに向けたものでもありました。キミたちに再び会えたことをとても嬉しく思います。キミたちはクラブの魂だ。キミたちを手助けし、守るために私たちはここにいます。キミたちの仕事がタフであり、キミたちの才能が並外れたものであると私たちは知っている。パンデミックの中、キミたちがかつてなく一人なのを知っているのです。今まで以上にソシオが彼らを愛する時です。私たちは私たちの選手をこれまで以上に愛さなければならない。私たちはキミたちを一人にはしないし、成功の道へと向けてキミたちに付き添っていくでしょう。キミたちがクラブで心地よくいることを私たちは目指しています」
クーマンに向けて
「ロナルド、新理事会はキミを信頼しています」
ラ･マシアについて
「ラ･マシアが私たちの柱のひとつとなるでしょう。数日前、イライシュがラ･マシアでいかに学んだかを感動していました。この夢の工場へとやってくる若者たちには、バルサのシャツを身につけることの重要さを意識してほしいと思っています」
クラブの経済状況について
「バルサが経済的に持続可能な状態に戻ることが、私たちの優先事項です。経済状況はソシオの中にたしかな不安を生じさせました。新たな収入源を作るよう試みていきますし、状況を回復させるための決断を下していきます。その能力のあるプロフェッショナルチームが私たちにはあります」
フットボールチームの今後
「チームは良くなっていますし、もっと良くなっていくことを期待しています。非常に競争力あるチームがあるというのが私たちの意見であり、バルサとチャンピオンズとの成功関係が戻ることを私たちは望んでいます。スポーツ選手たちのおかげで私たちは勝ち慣れ、その勝ち方によって私たちは敬服されるクラブとなった。ピッチ外の振る舞いで私たちは愛されました。私たちには大きな挑戦がある。バルサが喜びを取り戻すために、最大限の希望と楽観を持って臨んでいきます。バルサ史の壮麗なる時期となることを私は期待しています」
父の思い出
「前回会長になった時、私は父の涙を初めて見ました。父は非常に真面目な人でしたが、感動していたのです。彼はものすごいクレで、あれほどのクレを私は誰も見たことがありません。今いるところから、私が上手くやるよう手助けしてください。私たちが新しい世代の手本となれますように」
バルサが再びフットボール界の光り輝く場所へと戻るよう、全力を尽くすと語るジョアン･ラポルタ。巨額の負債、来季の補強、メッシとの契約延長と多くの課題を抱える新会長が、その希望に満ちたスピーチのようにひとつずつ前進していくことをクレとして願います。
疑惑やら派閥闘争にまみれたクラブ運営はもう終わりにし、透明性ある運営をすることが新理事会には求められる。バルサは伏魔殿ですし、間違いなくなんらかの攻撃が内部からしかけられるでしょうが、だからこそ全部を説明し尽くすくらいの姿勢が必要でしょう。そして新しい世代の手本とならんことを。
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