入団会見にて与えた印象は上々。
22日の昼すぎ、FCバルセロナとの2年契約書にサインを済ませ、完璧に監督となったヘラルド・マルティーノ(通称タタ)が新たに完成したぴっかぴかのプレスルームにて入団会見に望んでいます。伝えられる情報では、“出来たお人”だとの印象があった新監督ですが、その実際の報道陣との受け答えによって得られた第一印象は、概ね良好。発せられる言葉のどれもが気が利いていて、さすがだなというところです。あとは過去のチームでそうだったように一体感あるグループを作り、タイトルを獲得してもらえれば素晴らしき哉。全力応援しますよ、バモス・タタ!
バルサの理念を分かっている監督を探した
サンドロ・ロセイ会長、ジョゼップ・マリア・バルトメウ副会長、アンドニ・スビサレッタSD(スポーツディレクター)らとともに、ほぼ時間きっかりに会見室へと登場したヘラルド・“タタ”・マルティーノ。冒頭ではまずバルトメウ副会長が、交渉は迅速に進んだことと、マルティーノの選出に理事会に全く異論がなかったことを明らかにしています。そしてマイクを引き継いだスビサレッタSDはティト・ビラノバ前監督へのサポートのメッセージと、サンチャゴ・デ゙・コンポステーラでの列車事故犠牲者への哀悼の言葉を送り、こう続けました。
「会長からティトが辞めなければならないと聞いたのは10日前(16日火曜)の夜のことだ。最初の1日は、後任監督を探すのは不可能だった。ティトの顔が常に浮かんできたし、彼の痛みを考えるとムリだったんだ。私たちはバルサの理念を実現してくれる監督を探したよ。そこは譲れない点だからね。実際に会いに行くことは出来なかったけれど、マルティーノとは電話で何時間も話した。世界最高のチームの1つであるバルサを率いるという挑戦を引き受けた、彼の勇気を称えたい」
その後、会場ではマルティーノ監督を歓迎するビデオが上映され、いよいよこの場の主役であるタタへとマイクが渡っています。
「メッシとネイマールが共存できなければ、監督が悪い」
ヘラルド・マルティーノ新監督はまず、自分を信じて大役を任せてくれた理事会への感謝の言葉を述べ、「とても幸せだよ。このクラブの一員となれたことを誇りに思う。ただ悲しいことに、私がここに居る理由は誰もが知っていることだ。ティトの健康を祈っている」とコメント。そして「選手たちに早く会いたくてウズウズしているんだ。私たちはこのクラブの理念を大事にしなければならない。その理念こそが私がバルサと契約した理由なんだ。バルサの哲学を継続させ、かつ新たなことを加えることによって、より完璧なチームにしていくよう努力する」と語っています。
バルサへと適応していく上で、カタランも学んでいきたい、とも言うんですから素晴らしいマルティーノさん。彼はまた、「人生において野心的であることはできても、それによってバルサを率いられるわけじゃない。1年前には自分がこの場に居ることなど、想像もつかなかったよ」と言い、自らが欧州では無名である件についてはこう流しました。
「私の名が知られていないことは、ごく自然なこととして受け取っているんだ。私はこれまで、欧州で仕事をしたことがないからね。もしそういう機会があったなら、ここでももっと知られていたことだろう」
力みのない回答。そしてネイマールとメッシが共存できるか?との問いに対しては、「私には彼らが共存できないところなど想像もできないよ。もし彼らが一緒にプレーできないとするなら、それは監督の力が足りないから。選手たちが悪いわけじゃない」と、こちらもなかなかの答えです。メッシのポジションについては、「幾つかの位置でプレーした結果、今が一番上手くいってる。彼が心地良くプレーすることが大事ゆえ、同じ位置でプレーするだろう」とのことです。
ちなみにメッシの意見がタタが選ばれるうえで影響したか?との憶測に関しては、「ロサリオの会見ではそんな気がすると言ったけれど、彼が違うと言うのだから違うんだろう。私たちはどちらもロサリオ出身だけれど、個人的な面識はないよ」とコメント。そして横のスビもまた、「タタ・マルティーノとの契約にメッシは全く関係ない」と念を押しています。タタはまた同郷のメッシを「いつかは自分がメッシの監督になると考えてた」と言ってるのですが、「それはバルセロナではなく、ニューウェルズだと思っていた」そうです。
補強について語るのは、チームを見てから
また、「監督として、私は今あるチームや選手たちに適応することを学んだんだ」と語るヘラルド・マルティーノは、この会見が終われば今日中にオスロで合宿中のチームの元へと向かう、と発表。「その後帰郷してから、バケーションから戻ってきた選手たちとコンタクトをとる予定だ」と語っています。ちなみに怪我の治療のためバルセロナに残っているプジョルとは、すでに接触済みとのことです。
気になるセントラルに関しては、新監督は慎重に「私たちのチームに何が必要かについて意見するためは、私にはもう少しの時間が必要だ。私はまだ、トレーニングに参加していないんだからね」とコメント。幾つかの質問を挟んだ後、ウワサのベルヒーニについても訊ねられているのですが、「彼は素晴らしい選手だけれど、補強が必要であるのかを知るために、まずはチームを見なければならない」と強調しています。
その他、選手の出入りに関しましては、「現時点ではチームの全選手を戦力にカウントしている」と明言。「ジョナタンもそこに含まれている」と述べています。チャンス到来、頑張れジョナタン。マルティーノ監督曰く、「私たちはカンテラの若い選手たちに支えられている、という感覚が好きなんだ。バルサとニューウェルズの下部組織へのアプローチ方法は似ている」のです。
一方でマンチェスターからのウワサが絶えないセスクについては、「彼はここに残る。クラブがすでに2回断っているのだから、3度目の私の答えもノーだよ」とコメント。これはもう満点返答じゃないでしょうか。
去就が注目されるスタッフテクニコについては、「どのようにすれば、物事が全て機能させられるかを見ていく。発表はまた後日」とのことであります。
ベストだった時代の長所を取り戻すことが、成功への一歩
そして話題は今季のチーム目標へと移っていきます。「成功するためのポイントは、選手たちがハングリー精神を持ち続けること」だと言うタタ監督曰く、「ハイプレスと素早いボール奪取が、私たちが是非取り戻したいと思っている特長の1つ」であり、「私たちがかつて見た、ベストのバルサから幾つかのポイントを復活させていけるよう努力する。そのうえで私たちのアイディアを多少加えていきたいね」。「もし良い時期のエッセンスを保つことが出来れば、成功は私たちのものとなるだろう」。我々クレも、黄金に輝くバルサをもう一度目撃したいです!
さらにマルティーノは言います。「バルセロナは勝つことに慣れている。もし私たちがタイトルを獲得できなければ、それは失敗と言えるだろう。何も残すことのない勝利や、何かを残す敗北も時として存在するけれどね。勝利したものが常に正しいわけではない。けれどもトロフィーを勝ち取らなければ、それは失敗だ」。ここまで無冠が失敗だと断言する監督さん、ちょいと珍しいです。
最後、今シーズンに用いていく予定のシステムは、「バルサが近年使ってきた4-3-3にトライしていく。選手たちが一番快適にプレーできるし、ニューウェルズでも採用していたシステムだからね」ということです。
そうそう、ビエルサの弟子と言われ、風貌もどことなく似ているマルティーノさんにはこんな質問も飛んでいます。ゲーム中にジャージとスーツのどちらを着ますか?「まだ分からないよ。自分がより心地いいと感じるほうを着るさ」。ジャージ否定せず^^。楽しみにしていますよ、タタ!
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