経験からくる知識を選手に伝えたい、と元カピタン。
今年の1月にFCバルセロナがぷちクライシスに陥った際、事態の収拾のためにスポーツディレクターのアンドニ・スビサレッタが解任されたことを受け、当時彼の助手を務めていたカルラス・プジョルもまたクラブを離れました。ディレクターとなるべく勉強を始めていた元カピタンはその後、会長選挙ではジョアン・ラポルタにチーム入りを誘われたり、パートナーのバネッサ・ロレンソさんとニューヨークへ行って英語を習ったりしていたわけですが、ここへきて代理人業を開始するとのニュースがメディアに登場。イバン・デラ・ペーニャたちと始める事務所の顧客第一号がマルク・バルトラになると報じられています。
ラポルテと交渉中だとAS紙が先行
カルラス・プジョルが代理人になる、とのニュースは日本でも数日前に幾つか伝えられていますが、英国発ソースの軽薄な内容につき、もう少し深く掘ってみましょう。
2013/14シーズンをもって現役を引退し、幾つか脳居曲折もあったプジョルが代理人になるぞ、と最初に報じたのはおそらく11月20日のAS紙でした。同紙は記事の中で、カルラス・プジョルは近々バルセロナに代理人オフィスを開く予定であり、アスレティック・クラブの若きフランス人セントラル、アイメリク・ラポルテ(21)と交渉中であると説明。ラポルテは去年「プジョルはフットボルの伝説。バルセロナは夢であり、みんなの羨望の的」だと仏L’EQUIPE紙に語っているので、バルサへのウインクになるかも、と伝えています。
ちなみにアイメリク・ラポルテには現在代理人はおらず、ビルバオの有名な銀行員?が顧問をしているらしく。ヒネス・カルバハル、アルトゥロ・カナレス、ペレ・グアルディオラと言った著名代理人たちからの誘いも断っているのだそうです。でもプジョルにはOKを出そうとしている。それだけ憧れの人なのでしょう。アスレティックとの契約は2019年6月までで、契約解除金は5,000万ユーロ。若手のホープで、左利きも貴重なセントラルにつき、ええお値段です。バルサにはちょっと厳しそう。
そしてそのAS紙はまた、プジョルの代理店はマルク・バルトラにも声をかけており、セントラルは代理人を変えるだろうとも報道。バルセロナのスポーツ各紙がそれに続いたのは3-4日後のことでした。
ソストレス、デラ・ペーニャとともに
SPORT紙、MUNDO DEPORTIVO紙による情報はだいたい同じです。両紙がそこで取り上げているのは、一般紙EL PAISに掲載されたカルラス・プジョルのインタビュー。元カピタンはこんなふうに代理人業を始めるにあたっての抱負を語っています。
「自分の知識を経験から選手へと伝え、彼らをよりプロフェッショナルにすることが僕の役割となるだろう。複雑な状況に置かれた選手たちが考え、決断を下し、知性をもって感情を上手く処理する、その手助けをするコーチになりたいんだ」
何故スポーツディレクターではなくてエージェントなのかといえば、スビ親分の下で経験したそのフロントの仕事というのが、彼には思った以上に退屈だったようで。オフィスではない場所でくフットボルに関係できる仕事、と探した結果見つけたのが代理人業だったみたいです。
そこでプジョルは、現役時代に自らの代理人だったラモン・ソストレスが行う事業への参加を決断。一足早く代理人となっていた親友イバン・デラ・ペーニャとともにソストレスの一門に入ることにしたのでした。ソストレスとプジョル、デラ・ペーニャが代理人オフィスを開くことを考えている、との記事は、2013年12月のDiario GOLですでに見つけることができます。わりと前から温めてきたプロジェクトでもあったようです。
AS紙、EL PAIS紙の情報を受け、その元を取ったMD紙は23日、プジョルとバルトラがすでに合意に達しており、バルトラの現代理人であるマヒコ・ディアス氏に対し、その旨を伝えたと報じました。マヒコ・ディアス氏は選手と近い関係を保ち、フットボル界で尊敬を集める代理人のひとりらしく、バルトラとは15歳の頃から9年の付き合いでした。
そしてバルトラ
プジョルが掲げる、この「自分の知識を経験から選手へと教え」ることや、「難しい状況にいる選手への助言」というのは、第一顧客となるマルク・バルトラにどんぴしゃに役立つんじゃないでしょうか。元カピタンはバルセロナのカンテラを知り尽くしていますし、毎年毎年放出候補とされながらも、ナニクソ根性でバルサの伝説の一ページとなってきた経験があります。バルトラにとってはプジョルは憧れの先輩であり、目標であり、バルサに残って挑戦しろと助言をもらってきた人物。今マルクがバルサにいるのは、プジョルあってのことです。英国メディアが伝えているような、マンチェスター・ユナイテッドにバルトラを勧めるなんてことをプジがするってのは、どうにも想像できないのです。
ということで、プジョルの顧客でむしろユナイテッドに近いのはラポルテじゃないの、なんて思ったり。クラシコ招集外のショックに挫けず、マルクが闘志を燃やしてレギュラー取りにいってくれれば嬉しいです。マテューとベルマーレンはどちらも三十路ですしね・・・。
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