かつての斜陽について振り返った元セントロカンピスタ。
ライカー初年度となる2004年の夏、ポルトの欧州制覇の立役者としてカンプノウに降り立ったデコ。類稀なる運動量と頭の良さ、リーダーシップによってリーガ2連覇&チャンピオンズ制覇に大貢献した彼ですが、バルサ最後の2年間はなにかと良からぬイメージの象徴となり、ペップ到来とともにイングランドへと移籍しました。そんなデコも今年で36歳となり、現役を引退。バルサの天国と地獄を経験した彼がMUNDO DEPORTIVO紙のインタビューに答え、当時のアレや今のソレについて語っています。
バルサ退団時のこと
ペップ・グアルディオラは2008年6月にバルサの新監督に就任するや、デコとロナウジーニョ、エトーを構想外だと宣言。それ以前から退団の意思を表していたデコは、同月末にチェルシーへと移籍しています。このペップとの一件について、彼は言います。「心のトゲになってる?それは事実じゃないよ。ロナウジーニョ、エトー、それに僕らは、バルサを本来の場所へと戻すことに成功した。そして退団の時は、去るべき瞬間だったと思うんだ。クラブは別のことを計画していたし、僕にはチェルシーからいいオファーが着ていたしね。自分と一緒にいた選手たちが上手くやってるのを見るのは嬉しいよ。レオ、アンドレス、チャビ、、彼らのいるバルサは幸運だったね」
「バルサのようなクラブが2年間無冠だったなら、変化させようとしなければならない。そこで中心選手が矢面に立つのは普通のことさ。人はそれをドラマと考えるけど、そうじゃない。それはフットボルなんだ。これからレオがバルサでプレーしない日も来るし、チャビがプレーしなくなる日も来るだろう」
勝者のメンタリティを保つ難しさ
クレにとって予想外だったのは、もっと何年も続きそうに思われた栄光のライカー時代が、わずか2年で終焉に向かったことです。「フットボルでは普通のことさ。勝つことの問題は、自分たちが勝ち取ってそうなった事実を忘れることにある。勝ちたくなかったわけはないんだ。しっかりとした土台を手にして僕らはスタートを切り、リーガで連覇をした後にはすごい選手たち(グジョンセン、ザンブロッタ、チュラム、アンリ)が入団した。けれども僕らは同じメンタリティを持つことができなかった。1年、2年勝つことは簡単なんだ。でも勝って、負けて、もう一度勝つのは難しい」
勝ち続けることのメンタリティについて、デコはさらに説明しています。「分裂があったとかじゃないよ。誰もが良い関係のロッカールームになることは出来ても、みんなで同じ勝者のメンタリティを持ちえることはない。新しい選手は年々加入してくるからね。理論上より強力なチームを持つことが出来たとして、勝つわけじゃないんだ」
ライカーバルサは3年目の2006/07シーズン、急速に競争力を失いました。献身の精神を忘れた、ハングリーさを失った、と周囲では言われていましたが、何が起こっていたのでしょうか。そのチームの中心にいたデコは言います。「第一に、チームは常に勝つことはない。史上最高のバルサだって負けたよね。ライバルだって成長するし、弱点を分析してくる。サプライズで勝ち始めても、後に苦労するんだ。勝ち続けるためには分析が必要だ。何故自分たちは勝者のチームになり得たのか?何故自分は勝者になったのか?栄光の内にいる時、それは簡単じゃないさ」
バルサ時代で最高の思い出は、2004/05シーズンのリーガ優勝だとデコは言います。理由はバルサがそれまで5年間無冠だったなかでの復活だったこと。逆に落胆したのは2006/07シーズンでした。「僕のバルサ3年目さ。特にガックリきたのは、クラブワールドカップでポルトアレグレに負けた時だね。これだけのクオリティがあるのに、どうやったら失敗できる?と思ったんだ。4年目はすでに違ってたよ。上手くいかない感じだったからね」
「この年、僕らはクラブワールドカップでもう終わってたんだよ。僕らはヨーロッパ・スーパーカップでセビージャに負けていたけど、彼らはすごいチームだったからそれはあり得ることだった。でもポルトアレグレにやられるのはね、、、自分たちが勝つと思って、僕らは良い準備をしてなかった。勝利をモノにし、それまでのことを忘れた時、チームは死ぬんだ」
選手は夜遊びをするもの
その後、「アンドレスと比較可能な選手はただ1人しか思い浮かばない、それはジダンだ」、「イニエスタはバロンデオロに相応しい選手。問題は彼の前にメッシとクリスティアノという、2人のアニマルがいることだよ」というデコさんは、フットボル選手の夜遊びについて次のように断言しています。身もふたもない感じです。
「いつの時代も、選手は夜遊びに出かけるもんだよ。でも勝っている時は何も起こらない。フットボルは全てウソなんだ。たぶん、勝っている時は余計に遊びに出かけてたよ。これは僕のことだけれど、勝ててない時の方が家から出て人目に付きたくなくてね。家であれこれしてたよ。勝っている時の方が大人しくなるなんてウソさ。昔も今も、みんな夜遊びをする。今のバルサ選手もそうか?もちろん出かけてるよ」
では最後に、チャンピオンズでの優勝候補はバイエルンか?との問いに対するデコの見解を。「バイエルンと、バルサ、マドリー。バルサにとっての唯一の問題は、リーガのレベルが少し下がっていることだね。それはスペインのチームにとって悪いことだ。4-0やら0-3で快勝することに慣れてしまうと、いろんなことが隠れてしまうんだ。そしてチャンピオンズのハイレベルな試合で弱点が現れる。イングランドのチームは競争力の高いリーグをプレーしてるし、ドイツでもレベルは上がった。反対にここは落ちてるよね」
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