最終決戦前にチームを去ったポルテーロに波紋。
ビクトル・バルデスの去り方が波紋を呼んでいます。それはチームがまさにタイトルの懸かった最終決戦へと臨もうとしているまさにこの瞬間に、一人さっさとサヨウナラをするのはいかがなものか?というもの。3月26日のセルタ戦で右ヒザ前十字靭帯を損傷したビクトルは、この5月に入り、無事リハビリの第一段階を終了しました。そしてこれよりアウグスブルグへと飛び、執刀医であるウルリッヒ・ボーニッシュ医師率いるチームの下で第二段階を続けていくことになるのですが、それをあと数日先延ばしせず、あっさりと去っていったことを不愉快に感じているクレが多くいるのです。
リハビリのためドイツへ
ビクトル・バルデスは月曜朝、シウター・エスポルティーバを訪れました。ヒザの手術を受けてからは、ティトの惜別セレモニーでしか顔を合わせていなかったポルテーロのロッカールーム訪問に、選手たちは驚いたようです。
バルデスがロッカールームを訪れた理由は、ドイツでのリハビリの前にチームメイトたちに別れを告げるためでした。ポルテーロは同僚たちやスタッフに一人ずつ声をかけ、全員を前に短いスピーチも行ったそうです。長年苦楽を共にしたチャビ・エルナンデスや、親友であるアンドレス・イニエスタには特別な言葉も送られたらしく、SPORT紙によるとチャビに対しては、「キミには人間としても選手としても、すごく多くのことを教えられたよ。それを僕はいつまでも胸に抱いていく」と語ったとされています。
そして土曜日にアトレティコ・マドリーとの優勝決定戦をプレーするチームに向けては、「幸運が味方しますよう。僕の身体はキミたちと共にないけれど、ドイツから全力で応援するよ」と、スタッフに対しては「キミたちがいなければ僕はここまで来れていなかっただろう。僕はハッキリとそう思っている」と述べたとか。
彼のスピーチが終わるとロッカールームは大きな拍手に包まれ、バルデスはチームメイトたちと熱い抱擁を交わしていった・・・とSPORT紙の記事は感動的な仕上がりとなっているのですが、、、
英雄がまた裏門から去る
ビクトル・バルデスは月曜に自分のロッカーも整理し終え、事実上の退団となりました。これよりドイツへと向かうため、彼は土曜日のアトレティコ戦にも、木曜日のカピタンプジョルの退団イベントにも参加しませんし、ファンへの別れの挨拶や、彼の栄冠に相応しいピッチでのセレモニーなどもどうやら行われません。バルサ黄金期を支え、10年以上に渡って正ポルテーロとして活躍したビクトルはつまり、裏門からクラブを去っていくわけです。
バルデスはリハビリの第二段階開始をあと数日延ばし、プジの送別式典にカピタンの1人として参列し、アトレティコ戦にてリーガトロフィーの行方が決まってから、ピッチでファンに手を振るなどした後でドイツへと向かうことも出来たでしょう。故に土曜日を待たずしてチームを去った彼の振る舞いは、バルセロニズモに波紋を呼びました。理解を示す者、驚く者、怒る者などあらゆる反応があるのですが、その多くは彼に否定的な意見です。SPORT紙電子版のアンケートでは、「あなたはバルデスの去り方に納得しますか?」との問いに対し、92%もの人が「いいえ」と回答しています(6,564票時点)。
ビクトルが理事会(スビサレッタ)に対して腹を立てているとしても、チームやファンに対してそれはないんじゃない?と思うところです。ビクトルが契約を延長しない考えと知るや、なんとかして翻意させる方法はないかとバルデスコールを送り、セルタ戦で大怪我を負った際には「嗚呼なんてこと!」と悲しむなど、時に批判をしても彼を愛していたファンに手を振ることもなく、土曜日にシーズンを賭けて戦う同僚たちに付き添うこともなく去ってしまうなんて。バルサの伝説の1ページとなったポルテーロが裏口から出て行くのは、とても残念なことです。
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