引き分けが続いたけれど、後退はしていないと監督。
サンシーロでのエンパテは悪い結果ではありません。しかしフィーリングとしてみれば、勝って帰途へとつきたかった試合。ミランを仕留めるチャンスは特に前半には何度かあっただけに、それを活かせなかったことが勿体なく思えます。パンプローナで感じられたパンチ力の不足が、このミラノでも継続していたのが、クラシコを4日後に控える中での不安点。マドリー戦はモチベーションが別物につき、全く違ったパフォーマンスになると信じておりますが、空模様と同様にすっきりとしない水曜日となっています。
激しさが足りなかったことに対する罰
試合終了を告げるドイツ人主審の笛を、不満足げな表情で聞いていたヘラルド・マルティーノ監督。その後のメディア対応においても彼は、この結果(1-1)を残念がっています。「感想はオサスナ戦の後と同じだよ。私たちは試合をコントロールし、勝ちに相応しいプレーを行い、勝利への意思を持ち、そのためのチャンスを手にしながらも、勝利をモノにすることができなかった。内容的により相応しかったのは3ポイントだ。けれどもグループリーグにおいての状況を見れば、これは良い1ポイントといえる。私たちはこの結果を評価しなければならない」
ミスターはそしてもう一度「3ポイントを持ち帰る必要があった」と繰り返し、次のように反省点を述べました。「私たちはわずかに1つだけエラーを犯し、それが相手の得点へとつながってしまった。最初の10-15分間激しさが足りなかったことに対する、大きすぎる罰だよ。けれども前半25分を回る頃から私たちのプレーはとても良くなっていたし、後半もイニエスタとアドリアーノに得点のチャンスがあった」
後ろにしっかりと引いて守る相手に対しては、今回のメッシのような、速攻によるゴールの方が可能性があると監督は言います。「前線でプレッシャーを掛けてボールを奪い返し、そこから一気に攻める方がゴールするのは容易い。ショートパスを回して囲い込んでいくと、相手に守備組織を作るための時間を与えるからね」
これでバルサは2試合連続のエンパテ。それに関し、「フィーリングの観点からは十分ではない」と認めるエル・タタさんではありますが、「チームのパフォーマンスは心配はしていない」と強調しています。「私は楽観主義者だからね。2試合続けての引き分けになったし、オサスナにもミランにも勝ちたかったとはいえ、チームは前進し成長している。私たちのプレーは低下してはいないし、後退してもないんだ」
雑感
ミラン戦の前日会見にて、この試合に勝利するためには“バルサのプレーをしなければならない”と語っていたマルティーノ監督。バルサらしいフットボルと聞いて連想するのは、正確で流れるようなパスワーク、相手のマークを外し少し先のスペースへと送られるパス、前線からの激しいプレッシングなどでしょうか。クレが期待していたのは、躍動感の溢れるフットボル。それがサンシーロではあまりお目にかかれなかったことが、このエンパテは悪い結果ではないと承知しつつも、満足できない大きな理由です。
怪我人もほぼ回復し、ベストといえるメンバーでプレーしながらも、輝きを放てなかったバルサ。監督が強調するように後退はしていないとしても、成長を続けているとの見解は素人目には高難度です。メッシ、ネイマール、アレクシス、チャビ、イニエスタ、セスクらの出来は、ビッグゲームで期待される活躍レベルには遠かった。クラシコ目前だけに、少々不安が顔を覗かせてきます。
キックオフ直後のぼんやり感。守備での単純なエラー。パス・シュートの精度低下。シュート数の少なさ。鬼門パンプローナ、難地サンシーロと困難なスタジアムが2つ続いたとはいえ、連続エンパテはカンプノウ周辺にどんよりとした雲を呼んでいます。メッシの右起用は試みとしては好いのだけれど、ネイマールが左で浮いてしまうのが難点。まず甦らせてほしいプレー全体のスピードと激しさは、クラシコでは自ずと改善されると思っていいのでしょうか。弱気ではありますが、なにぶん心配性なもので、つい。
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